転倒は仕事でも日常生活でも起こりうる危険です。
頻度がとても多くゼロにすることはできない割に、被害度もゼロではない危険です。
化学プラントのように事故を徹底的に少なくしたい現場では、転倒対策はかなり徹底しています。
中でも「ちょっとした突起」には、結構気を使っています。
むしろ「ちょっとした突起」こそが危ないでしょう。
プラントでは突起ができやすい
化学プラントでは突起ができやすいです。
なぜかというと、増改築など日常的な工事が多いからということでしょう。
具体例を見てみましょう。
左の図のように、プラントができたときにはスタンドなど柱上の物体が床に溶接されていたり、配管の開口部があったりします。
建設したときはこれで良いのですが、長く使っているうちに不要になって取り払われます。
その結果が右の図。
スタンドは床と溶接されているので、グラインダーなどでカットしても完全に取り除くことは難しいです。
これは確実に突起になります。
配管を取り払って開口部ができているままでは、足を入れたりする危険があるので上から蓋をするために板を床と溶接します。
床と同じ面に蓋が付くわけではないので、この蓋部分も段差になります。
特にこれらの突起は床面と同じ色で塗装されることが多いので、目で見ることが難しいです。
工事のたびにプラントの環境が変わるので、数年間その現場を離れているだけで危険性に気が付きにくくなります。
かといって目立たせるように黄色などの塗装をすれば、美観的に少し問題になりそうですね。
プラント内部の鉄骨造ではこういう突起ができやすいです。
プラント外部ではアスファルトやコンクリートの凹みという形で、突起が出てきます。
人の目で気が付きにくいという意味で、プラント内部でも外部でもちょっとした突起がいっぱいありますね。
突起があるとこんな危険が
ちょっとした突起は思わぬ危険があります。
その場で転ぶ
一番起こる頻度が高いのは、その場で転ぶという単純なもの。
それでも擦り傷ができたり、低い位置にある配管類などに顔や目などを当てるリスクは十分にあります。
突起の数が多く、体と当たる設備がいっぱいある化学プラントでは、転んで痛いという以上に人体に影響が出る恐れがあります。
だからこそ、ヘルメット・ゴーグル・長袖の作業服で最低限の防御をしようとしているわけです。
夏でも長袖にする理由の1つですね。
大きく落下する
突起の位置によっては、階段の踊り場や梯子の上のステージなどに設置されている不幸なケースがあります。
この突起に躓いてしまうと、最悪数メートルの高さで落下します。
床面に立っている状態で転ぶだけでも大けがになるリスクがあるのに、もっと高い位置から落ちてしまうと人命に関わります。
どこに突起が付くか予想が付きにくいので、工事が終わった時にはしっかり対策ができているかチェックしましょう。
危険物が漏洩する
怪我をするというだけでなく、危険物が漏洩するという問題も起こりえます。
例えば台車の上に少量の危険物を乗せた状態で、床面を移動しているシーンを考えましょう。
ここで突起にぶつかってしまうと、危険物が台車から落ちて周囲に拡散してしまいます。
最悪火事になりますし、漏洩した危険物から発生したガスで人命に影響が出る可能性もあります。
台車でなくて、危険物の入った容器を人が持ち運ぶ時も同じです。
転んだ本人が怪我をするだけでなく、周囲の人や全く関係ない工場外の人にまで影響が出る恐れがありますね。
危険物を扱う工場では、転落一つとってもリスクがぐっと上がります。危険に対する感度を上げたいですね。
参考
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最後に
化学プラントではちょっとした突起こそが危ないです。
突起ができる可能性が街中よりも高く、転んだときには人命に関わります。
危険物の漏洩によって転んだ本人以外にも影響が出る可能性もあるでしょう。
危険感度を上げたいですね。
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