SGPの配管は、水系など汎用的な配管として非常に多く使われています。
化学プラントでも、当然ですが非常に多く使っています。
SGP配管の中に何を流すかは、会社によって結構違いがあると思います。
こんな使い方をSGPに対して考えることはできるけど、それって本当に適切なの?ということを考える少し深い話をしようと思います。
保全向きの内容ですが、だからこそ設計者の方が知っておきたい内容です。
苛性・硫酸
苛性ソーダや濃硫酸に対してSGP配管を使う場合は、意外とあります。
SUS304でも使える場合が多いのに、SGP。
こういうケースをよく見かけます。
これはコストを少しでも削減するという背景が強いです。
設置コストの削減効果はもちろんあります。
しかし、デメリットも当然あります。
- 外面腐食は進行する
- 鉄錆が系内に混入する
イニシャルコストを重視したとき、メンテナンスコストはかなり無視されます。
30年40年先だから、その時になって考えればいい。
こういう思想で安いSGPを設置して、40年経ったら外面腐食の問題で漏れが多発。
この時になって初めて、こう思います。
やっぱりSUSにしておけば良かったのに・・・
問題が起きてから対処しようとしても、数が多くてどうにもなりません。
BMの対応をせざるを得ず、撤退戦の雰囲気が出てきます。
錆などの異物の問題は起きえますが、これはストレーナーでかなりカバーできます。
ストレーナが破れることで異物が入ってくるリスクはあるので、定期的な監視や分析でカバーできるなら安心ですが、それができる余裕はどんどん無くなっていますよね。
それでもSGPにこだわりますか、ということを考える段階だと思います。
エアー・窒素
エアーや窒素もSGP配管を使うことがあります。
エアーはSGPWを使うかも知れませんね。
どちらにしても、SUSにしなくて本当に良いの?という疑問です。
背景は苛性ソーダ・硫酸と同じくコスト目的。
定期交換を前提としてSGP配管でフランジ接続をした結果、フランジの腐食が進んでいき、交換しようとしても範囲が広すぎてどうしようもない。
こうなっているプラントは多いです。
材質はSUS
プラント内の、交換や取外しを前提とする箇所はフランジ接続
プラント外のスタンドなどの、ノーメンテを前提としている箇所は溶接接続、
こんな風な切り分けをすると、安定感は増します。
異物に関する問題も苛性ソーダ・硫酸と同じです。
窒素の方が、影響度はより大きく深刻な問題になりかねませんね。
排水
排水でもSGPは結構使います。
溶媒系の廃油ならSUSにするでしょうが、水だからSGPと条件反射するパターンがあります。
他にも前処理をしてアルカリ系にしているから、SGPを使いたいという場合も。
一般的な排水ならこれでも良いのですが、化学プラントの場合は酸やアルカリが混じった複雑な排水が多いです。
この場合に、SUSにしてしまったら返ってピンホールができるということも。
それなら全面腐食に期待して、SGPにするということは考えられます。
SUSよりも交換タイミングが読みやすく、信頼感が出てきます。
ちょっとは板厚を上げて寿命を延ばすようにしたいですね。
トレース
トレース配管をSGPにする場合は、結構多いです。
Cu(銅)との比較として、たびたび議論になります。
個人的にはどちらも一長一短ある、と思っています。
- SGPは口径を上げれるが加工しにくい
- Cuは加工しやすい
どちらも錆や詰まりの問題が起きます。
多少の問題には目をつぶるという場合なら、これらの材質を選ぶ一般的な方法で良いでしょう。
気にするのであれば、SUSのトレースを考えましょう。
錆の問題は解決できますが、詰まりの問題は残りますし、もちろんコストは上がりますけどね。
参考
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最後に
SGP(鉄)の配管を使っているのが当然でも、実はそれでいいのか疑問になるケースを考えてみました。
設置コスト目的でSGPを使っている場合がよくあります。
苛性ソーダや硫酸なら漏れのリスクが増えますし、エアーや窒素なら異物の原因が増えます。
ランニングコストやメンテナンスを考えて、適切な材質選定をしたいですね。
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