バッチ系化学プラントのはさみ込み(sandwich)部品と典型的な配管構成について解説します。
挟み込み部品は何も考えずに配管を取り付けると、後々大きな問題になります。
挟み込みのことをジゴクと呼びこともあります。
一度付けてしまうと取り外しが困難になる部材で、メンテナンス性が悪くなるのが挟み込み部品。
具体例を紹介します。
図面では気が付きにくいですが、いざ現物を触ってみると、こんな単純なことで・・・と気が付く失敗です。
みぞ型フランジ
みぞ型フランジは見落としがちな挟み込み型です。
みぞ型フランジは下の図の一番右のタイプですね。
本質的には真ん中のタイプも同じです。
これらのフランジを配管と取り付けて使いだしたときに、取り外そうとした時を考えましょう。
下のようなイメージです。
反応器内への入槽作業や切替作業時の遮断板取り付け作業などで、この問題が起こります。
みぞ型フランジとFFフランジを接続する単管部分に遮断板を入れたり、単管を取り外したりしたいケースです。
ここで、単管を取り外そうとしても、横に引き抜くことはできません。
「みぞ」が邪魔をするからです。
単管の上部の配管フランジを外したり持ち上げる作業が必要。
これを見落として、装置などの固定装置と繋いでしまうと地獄となります。
バタフライバルブ
バタフライバルブは分かりやすい挟み込み型です。
バタフライバルブを挟み込む場合、その前後にパイプを繋いであげる方が確実です。
というのも、バタフライバルブは開けるときに、面間より外に弁体が出る構造だからです。
上の図の左側はバルブを閉めている状態、右側は開いている状態です。
バルブを開けた時に挟み込みのフランジ内部に弁体が食い込む形になります。
ここですぐに装置を付けたり、エルボなどを取り付けてしまうと、物理的に干渉してしまうケースがあります。
いざこんな状態になると、情けない気分になりますよ。。
反応器ヘッダー
反応器ヘッダーも典型的な挟み込み型です。
下の図のような挿入管を付けているパターンです。
挿入管は装置と配管の間に挟み込まれます。
反応器のヘッダーは多くの配管を集合させている部分です。
ヘッダーと装置の中間にフランジが1個もない場合、挿入管を付けたり取り外したりする場合に、
多くのフランジを取り外さないといけません。
挿入管の抜き差しだけでなく、遮断板の挿入も同じですね。
ポンプ分解点検時のポンプヘッダーも形としては似ていますが、作業性やリソースの面では、反応器のヘッダーの方が被害が大きいです。
フランジ1個を間に挟み込むだけですが、気が付かないと大きな問題になります。
一般には、ヘッダーはグラスライニング配管やフッ素樹脂ライニング配管で構成しているので、エルボで接続するだけで問題は解決できます。
多管式熱交換器チャンネルカバー
多管式熱交換器チャンネルカバーも挟み込みになりがちな部分です。
とはいえ、これはかなりメジャーな問題。
バッチ系化学プラントに限らず、化学プラントで使う多管式熱交換器では共通の問題です。
チャンネルカバーを取り外すために、取り外す配管を最短とするために、
エルボとフランジで構成した配管を組みつけます。
反応器ヘッダーと同じで、グラスライニング配管やフッ素樹脂ライニング配管で構成していると問題になりません。
参考
最後に
バッチ系化学プラントのはさみ込み部品と典型的な配管構成について紹介しました。
みぞ型フランジ・バタフライバルブ・反応器ヘッダー・多管式熱交換器チャンネルカバー
何も考えていないと、地獄となりがちな例です。
配管図をさっと見て判別しないといけないので、割と難しいですよ。
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