Oリングとベローズの違いを、シール性に着目して解説します。
ベローズは化学プラント向け設備で、とてもよく使います。
Oリングと似た感覚で使用できますし、ベローズの方が便利な場面も多いです。
ベローズでもOリングでも良いという場合も多いので、どちらが安心感があるかという比較ができるようになると、機械屋として一歩成長できるでしょう。
Oリングの方が強い
Oリングとベローズでは、Oリングの方が強いです。
シール性がOリングの方が優秀なので、耐圧強度を確保したい場合には、Oリングタイプを選びましょう。
というのも、Oリングとベローズでは可動寸法が違います。
静止面に使用するOリングでは、一度セットしたらOリングは動くことは基本的にはありません。
運動面に使用するOリングでも、シャフトの回転に引きずられて多少動く程度です。仮にシャフトと同じ速度で運動している状態ではOリングはシールとしての機能を失っています。
一方で、ベローズは伸縮長さを担保する部品であるがゆえに、一定の可動寸法を持ちます。
変形量が多い部品ほど強度が弱くなるのは、物理的な原則ですので、ベローズの方が強度的に弱いと考えて良いでしょう。
化学プラントでは反応器の軸封などで、Oリングタイプとベローズタイプがあります。Oリングタイプの方が強度が強いので、そういう目でカタログをご覧ください。
Oリングの方がコンパクト
Oリングの方がベローズよりもコンパクトに仕上げることができます。
シール部が動いて変形に追従することが求められるベローズの方が、サイズが大きくなるのは当然です。
装置が大きくなることはできるだけ避けたいので、Oリングはメリットがあります。
とはいえ、化学プラントでOリングだからコンパクトになって助かった、という例は私は出会ったことがありません。
ベローズは内部部品向け
ベローズは化学プラントでは内部部品向けによく使います。
プラントで扱う薬液に対して、装置の内部部品はいろいろな性質を求められます。
Oリングだと内部部品が動く場合には向きません。
内部部品は、動きが求められるものが多くOリングで無理矢理構造を作るよりも、よっぽど楽に作れます。
粉体設備などは内部部品をしっかりシールしていないと、設備が壊れたります。
少なくとも動く部分にOリングは使わず、ベローズを使います。
もちろん、動かない部分なら内部部品でもOリングという場合はあります。
ベローズは異物混入に強い
ベローズは異物混入に強いです。
シール性では劣るベローズですが、動作型Oリングのように摩耗の心配がありません。
粉体設備では、異物混入のリスクを抑えるために、ベローズが好まれます。
価格はベローズの方が有利
化学プラント向けにはベローズの方が安い場合が多いです。
Oリングはフッ素系でも高価なパーフロ系などを使う必要があります。
ベローズの場合は、フッ素の種類を問うことが少ないため、パーフロで作るよりも安い場合が多いです。
Oリングでも汎用的なフッ素系なら、安価に仕上げられますが、化学プラントに限定すると汎用的ではありません。
この辺りが、化学プラントならではですね。
ベローズは回転に注意
ベローズを回転部シールとして使う場合は、注意しましょう。
長手方向の伸縮に追従することが求められるベローズが、回転方向の動きにもつ以上させようとすると、受ける力が複雑になります。
1つの部品で1つの機能を持たせると分かりやすく、寿命も長くなることが期待できますが、複数の機能を持たせるほど、寿命が短くなります。
便利なように見えて、デメリットはしっかりあります。
参考
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最後に
化学プラント向けにOリングとベローズのシール性の違いを解説しました。
シール性はOリングの方が強く、コンパクトに仕上げられます。
異物混入が求められる場所や装置の内部の動く部品にはベローズを使います。
ベローズの方がトータルで安い場合も多いです。
便利ですが寿命が短くなりがちなので、ベローズを使う場合は適切なメンテナンスをしましょう。
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