プロジェクト(project)の予算管理について解説します。
オーナーエンジニアの小型プロジェクトや毎年配賦される予算の管理を対象にしています。
ある程度は決まった業務になるので、数回実践すれば習得できるものです。
ただし、習得を早めるには相当の意識をしないといけません。
予算管理って管理職の仕事だから知らない!
こういう風にサジを投げてしまう人が結構います。
管理職になろうがなるまいが、ある程度の考え方は習得しておいて損はないのですけどね。。。
レベル5:プロジェクト(project)全体管理ができる
最初に最高ランクのレべル5からいきましょう。
担当するプロジェクト全体を見れる人です。
プロジェクトのメイン4段階を抑えています。
設備調達→資材・工事調達→工事精算→試製造
それぞれがプロジェクトのどのタイミングで到達するかを見極めて、そこで予算の管理を掛けていきます。
また、プロジェクト予算内で大きな金額が動く場合にも、全体予算をチェックして今後の使用用途を調べていきます。
そうして、プロジェクトとして割り当てられた全体予算を管理します。
レベル4:自分が関連する範囲の予算管理ができる
レベル4は自分が関連する範囲だけの予算管理をします。
化学プラントのプロジェクトでは設備-配管-土建-電気-計装というような区分が多いと思います。
いくつかの部門は統合されていたりもう少し細かく分かれていたり、部署によってまちまち。
いくつかの部署に分かれているということがポイントです。
個々の部署には個々の担当者が割り当てられます。
その担当者は自分の部署に配布されている予算を管理します。
管理のタイミングはレベル5と変わりません。
見ている範囲の大きさだけの問題です。
逆に、レベル4がしっかりできればレベル5はそこまでハードルが高くないと言えるでしょう。
レベル3:自分事として考えるようになる
レベル3は自分事として考えるようになったタイミングです。
残念ですが、予算管理を他人ごとと捉える人は非常に多いです。
大きなプロジェクトだと予算管理をする専門者や工程管理をする専門者など分かれているようですが、小型のプロジェクトだとその必要はないはずです。
実際には日常業務管理に追われてちょっとした予算管理でも、優先順位を落としてしまって忘れがちになっています。
日々の発注依頼や図面チェックをしているだけで時間が過ぎてしまい、予算をどれだけ使っているか気にしない。
気が付いたときには予算オーバー。
どうしましょう。
こういう無責任な行動をする人は本当に多いです。
レベル3の場合は、その一歩手前で止めてくれます。
- 大きな金額が動きそうだから、上司や関連者に相談する
- 依頼時の予測値と発注実績を比較する
これがレベル3。
自分事として考えると、大きな金額に対して敏感になります。
レベル2:過去の実績を調べようとする
レベル2は過去の実績を調べようとしてくれます。
レベル3のような大きな金額が動くときは例外です。実績が少ないから調べる方向に気が向きません。
過去に何回も購入した部品に対して、今回の実績がどうであるかを比較検証します。
あれ?去年と違うかも・・・?
何回か経験していくと、金額のズレに目が行くようになります。
そうすると、前回や去年の実績との違いを調べようとします。
- 依頼前に過去の実績を調べて予想しておく
- メーカーの見積結果を過去の実績と比較する
これらができればレベル2ですね。
この辺りから、主体性が生まれてきます。
レベル1:丸投げ
レベル1は予算管理は基本的に丸投げです。
- 依頼前にメーカーに見積させておき、その結果を上司に伝える
- 金額が越えていても、対応策は考えない
誰かに依頼して、その結果を誰かに伝える。
こういう作業だけで留まってしまうのがレベル1。
初心者ならこれでもOKですが、保全の場合には30年務めている人でもこの仕事の仕方をする人が少なくありません。
レベル3~1に共通するのは、予算が足りなくなった時のことを重く考えていないという点です。
予算が足りなくなれば、①何かを我慢する②誰かが予算を取ってくれると考えています。
我慢した結果、現場でトラブルがあっても、予算をくれなかった人に不満を言う
予算を取る苦労なんて考えずに、管理者の仕事と割り切る
この思考から脱却するかどうかは、行動として現れるでしょう。安心できる人は細かな報告や調整をしてくれます。
参考
関連記事
プロジェクトの予算管理は、最初の予算設定が特に大事です。
さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
化学プラントのプロジェクト予算管理をレベル別に5段階で考えました。
プロジェクト予算全体を管理する→自分の部署だけ管理する→自分事として考えるようになる→過去の実績を調べる→丸投げ
考え方さえしっかりできればレベルアップは難しくありません。
その考え方を醸成することこそが難しいわけですが。。。
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