配管フランジの設置位置は内部点検に直結します。
フランジを切り込むとよく言いますが、フランジをどこに設置するかで作業性が大きく変わります。
液やガスの配管ならあまり意識しなくても、スラリー配管なら意識はしておきましょう。
フランジに点検口の機能を持たせたりして複雑な形状にすることもありますが、シンプルな例だけに絞って解説します。
フランジ位置と点検の基本
配管フランジを付けて内部を点検するということは、どういうことでしょうか?
フランジを配管両端に付けたシンプルな例を見ましょう。
直線の配管の両端にフランジを付けると、フランジを外すことでフランジから内部を見ることができます。
配管距離が長いと直線部が撓んで見にくくなりますが、それでも全く見えないということはあまりありません。
片方から内部を見て、反対側からの光を確認できれば、内部が貫通している証拠。
光の量の有無などで、配管内部のスケールの確認がある程度できます。
配管が直線だけで構成されるということは普通はなく、次に複雑な形としてのエルボを付けたタイプがあります。
エルボ1個だけの場合なら、両端のフランジからそれぞれ内部を見ることができます。
光を当てることで、エルボ部での反射を確認できるでしょう。
これらの形が点検を意識した配管フランジの基本です。
点検できない例
配管はエルボ1個ではなく複数のフィッティングを繋ぎ合わせることができます。
典型例としてエルボを2個接続して、両端にフランジを付けた以下の例を見てみましょう。
この場合、フランジを取り外して内部が見える部分と、内部が確認できない部分が発生します。
言われるとごく当たり前に見えますが、配管図を書いているタイミングや、レビューでも意識していない場合には、見落としてしまうことです。
多くの配管があって、多くの内容物に対する危険性をチェックしていく中で、1事例であるスラリーによる閉塞をチェックできるのか。
見落としが起こる背景は意外と複雑です。
フランジの工夫
点検を意識した配管にするには、フランジをどこに設置するかがポイントになります。
真ん中にフランジ
エルボを2つ付けた例で、点検をしようとしたら真っ先に思いつくのが、真ん中にフランジを付けるという例です。
この場合、エルボが2つ付いていた状態から1つの状態に変わるので、点検は可能です。
単純で分かりやすいですね。
直管をできるだけ維持
フランジを付けるにしても、以下のようなパターンが可能です。
付けるフランジ数は1個から2個に増えます。
点検を意識したときには、直管部を綺麗に分割できることがメリットになります。
エルボが1個付いているのと1個も付いていないのとでは、点検のしやすさは違います。
当然、エルボが1つも付いていない方が楽です。
フランジを割って、配管をずらして中身を見ようとしたときに、エルボが1つでもあるとずらしにくかったり干渉したりします。
交換を前提に
フランジは直管に対して付けることが基本です。
とはいえ、エルボが1つも付いていない配管はありえませんね。
よくある例として、エルボで方向転換をする例を考えましょう。
長い直管部に対して点検できるように、直管部の末端にフランジを付けるとこういう形になります。
赤色の部分はエルボが2個付いているので点検できない部分があります。
ここもフランジを1つ加えると点検は可能ですが、漏れのリスクは上がってきます。
フランジを付けることでの、「漏れのリスク」と「点検のしやすさ」のどちらを取るかという世界になります。
赤色の部分に対して、フランジを増やしたくないなら、予備部品を準備して交換するという方法になります(実施する例は少ないですけど)。
参考
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最後に
配管フランジの設置位置と内部点検について解説しました。
直管の末端にフランジを付けるのが最も見やすいです。
エルボ1つ付いていても見えますが、2つ付くと見えません。
見えなくなる部分に、1か所フランジを入れるか、直管部をできるだけ長く点検するか、予備部品を持つかという選択が可能です。
漏れのリスクと点検のしやすさのどちらを取るか、という選択になります。
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