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酸素は化学プラントの工場技術系の必須知識

酸素の基本 運転
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酸素(oxygen)について解説します。

身近にある当たり前の元素で常識過ぎていますが、化学プラントではそれ以上の意味を持ちます。

化学プラントに入社して1年目の技術系のエンジニアなら、ここだけは知っておいた方がいい内容に限定して解説します。

化学系出身者なら基礎的過ぎる内容ですが、機電系だと初めて知るような内容でしょう。

共通知識を持っているほど、仕事はスムーズに進みやすくなり、化学プラントの場合は化学の知識がそれに当たります。

少しずつでも習得していきましょう。

生きるために必須

酸素は人間が生きるために必須の元素です。

呼吸として酸素と二酸化炭素を交換します。

空気中には酸素が一定量(21%)含まれていて、空気を吸うことで空気中の酸素を体に取り入れます。

爆発する

酸素は人間にとっては有益なものですが、化学プラントの反応ではそうとも言えません。

逆に有害の場合の方が多いです。

というのも、化学プラントで圧倒的によく使う有機溶媒と酸素が混じると、可燃性ガスとなるからです。

可燃性ガスは目に見えるが近づくと燃えます。ガスの量が多いと爆発します。

目に見える火以外にも静電気でも爆発する可能性があります。

可燃性ガスは目に見えなくて、人間が気が付くのに遅れることもあります。

有機溶媒以外にも粉体でも爆発する可能性が十分にあります。

気が付いたときには爆発していた。。。

そう考えるととても恐ろしいです。

一般的な「ものつくり」では気にしない酸素が、化学プラントでは大きな制約になっています。

反応する

酸素は物の反応に使われます。

化学を勉強した人なら酸化や酸化物という単語を聞いたことがあるでしょう。

鉄の錆という話でも酸化という単語が出てきます。

健康の話で糖化とセットで酸化という単語も出てきます。

酸素と反応することを、一般に酸化と呼びます。

物が燃える燃焼も酸化の1つで、目に見える炎が上がっているかどうかの違い。

それだけ酸素が反応に影響を与える場面が多いということですね。

少し脱線(専門的)

酸素の一般的な話を抑えたうえで、化学プラント技術者向けには少し専門的な内容を解説します。

機電系エンジニアなら2年目以降に順次学習していく内容でしょう。

気体中の酸素濃度

気体の中には単一の元素だけが含まれているというケースは、ほぼありえません。

例えば、空気中の酸素濃度が21%ですが、空気中には酸素以外に窒素や二酸化炭素などさまざまな元素が含まれています。

呼吸で吐き出す息の中の酸素濃度は16%程度です。

呼吸で酸素濃度21%から16%に下がった分だけ、人間が酸素を使っていることになります。

微量のガスも当然含まれています。

臭いと感じるときには、この微量のガスを人間の鼻が検知しています。

ppm(100万分の1)のオーダーです。%(パーセント)の1万分の1。凄いですね。

化学プラントで危険な反応をするときには、酸素濃度はできるだけ低い方が好ましく5%以下に抑えるべきと言われています。

空気中の酸素21%の環境から5%以下に抑えるためには、窒素で空気を追い出す作業をします。

窒素で充満された環境下で化学反応を行い、生産活動が終わったら人が内部に入って洗浄します。

この時には酸素濃度が一定以上確保されている必要があります。

空気を装置内に押し込みます。

18%未満の酸素濃度の空気を酸素欠乏と呼び、18%以上の環境が確保されている状態を作り上げないといけません。

濃度という概念は化学工学でよく登場する話で、機電系エンジニアは大学で触れる機会が少ないので、馴染むまでに少し戸惑うでしょう。

液体中の酸素濃度

気体中の濃度と同じように、液体中にも濃度の概念があります。

これは炭酸飲料とかビールなどが分かりやすいでしょう。

固体なら砂糖水・塩水としても濃度の概念が出てきます。

化学プラントで液体中の酸素濃度という話題は、あまり出てくることはありません。

BT(活性汚泥処理)ではたびたび登場します。

20mg/l以下の世界で酸素濃度の話をすることになるでしょう。

濃度の単位が色々あるのも、初心者にとっては分かりにくいと感じますね。

酸素濃度計

機電系エンジニアで酸素というと、酸素濃度計が典型的な設備です。

仕組みは結構複雑です。

化学プラントで爆発を起こさないように、系内の酸素濃度を測定する大事な装置です。

普通は、窒素で空気を押し出す作業手順を確立して流量や時間で管理するため、酸素濃度計は使いません。

この手順が無い初回は、手順通りに行った後に酸素濃度を測定して問題ないことを確認します。

装置の型式や配管のつなぎ方でも、変わってくる世界です。しっかり確認したいですね。

反応は安定する方向

酸素は人間にとって大事という話から、化学プラントでは危険という話をしていくと、酸素が悪いものという認識を過度に高めてしまう人が居ます。

例えば、鉄錆も悪いもの、というように。

しかし、反応は物質を安定状態に持っていくということは、理解しておきたいことです。

酸化で燃焼して炎が出るということは、反応してエネルギーが解放されて、エネルギー的に低い安定な状態に移行しようとしています。

鉄も錆がある状態が安定していて、錆のない綺麗な鉄という状態の方が異常です。

酸素は良い面もあれば悪い面もある。バランス感覚を持っておきたいですね。

参考

関連記事

化学物質に関する知識は、プラントエンジニアとして必要不可欠です。

基本的な物質から理解を深めていきましょう。

最後に

化学プラントの工場技術者向けに酸素の性質を解説しました。

人間にとって不可欠・爆発する・反応に寄与する。

気体や液体中の濃度という概念や酸素濃度計など発展した知識としても、使う機が出てきます。

機電系エンジニアにとっては慣れるのに時間が掛かる部分かも。

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