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化学設備メーカー

オンライン検査は楽じゃない?化学設備立会の新常識を解説します

オンライン立会 化学設備メーカー
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 近年、化学プラントの設備検査においてオンライン立会検査(Web立会、リモート立会)が注目を集めています。移動の自粛やテレワークの普及、多忙な業務環境など、様々な背景からオンライン検査を選ぶユーザーも増加中です。
 しかし、オンライン立会検査は単に「楽にできる」ものではなく、事前準備や現場との調整が非常に重要です。
 本記事では、化学プラント設備のオンライン立会検査の手順やメリット・デメリットを詳しく解説し、新しい検査の常識をお伝えします。

監督官のイラスト(男性)

オンライン立会検査の手順

化学プラント向け設備のオンライン立会検査を行うためのステップを解説します。

オンライン立会の手順
  • ステップ1
    事前準備
  • ステップ2
    検査本番
  • ステップ3
    検査後

事前準備

オンライン立会検査は事前準備が大事です。

段取り八分とはよく言ったものです。

オンライン立会検査を行うためには環境が整備されていることが大事なので、事前準備をしっかりしましょう。

エンジニアはこういう気配りが弱い傾向があります。注意したいですね。

メーカーの環境確認

そもそもメーカーがオンライン立会検査に対応できるかどうかを調整することが大事です。

オンライン立会検査はmicrosoft teamsなどのビデオ通話サービスを使用するといいでしょう。

ソフトの好みや規制など各社バラバラですが、手堅い会社ならteamsなどのソフトを購入しているはずです。

フリーのサービスも世の中にいっぱいありますが、使う場合はセキュリティをしっかり考えておくべきでしょう。

zoomでも良いですが、この辺は会社のセキュリティの考え方を良くチェックしましょう。

メーカー工場の機密情報が露呈するリスクがあるので、メーカー側がむしろ厳しくチェックしておくべきですね。

化学プラント向け設備ならメーカーが中小企業ということも多く、知識・技術・資金など様々な面で対応が後手後手であったり対応できなかったりという場合もあります。

自主検査記録

オンライン検査ができることが分かったら、メーカーの自主検査記録をチェックしましょう。

オンライン検査でもオフライン検査でも自主検査は当然行いますが、オンラインでは特に大事です。

オフライン検査なら立会検査前日ギリギリにメーカーが検査することも可能です。

オンライン検査だと検査時間の短縮や合理化などが付随する課題なので、検査当日に揉めないようにするためにも事前の検査で確認できる部分はしっかり見ておきましょう。

  • 寸法記録
  • 耐圧気密記録
  • 運転記録

立会検査の内容とほぼ同じ情報を事前検査記録で入手できます。

自主検査記録を正式な記録書にまとめ上げるのに時間が掛かるので、自主検査記録を事前提出する要求を出しても敬遠するメーカーが多いです。

速報値としてメールで良いので結果だけは貰っておきたいですね。

ここまで細かく言うのは、メーカーの事情を考えずに「オンライン立会検査前に自主検査記録書の提出を要求する」ユーザーが一定数居るからです。

動画撮影

メーカーが自主検査で動画撮影ができる場合は、有効に活用しましょう。

上手くいけばオンライン立会検査そのものを無くして、自主検査記録の確認だけで完結することも可能です。

検査内容を動画に保存しておいて、そのデータを多少加工してユーザーに送付する方法です。

DVDなどの外部メディア、ファイルストレージサービス・・・

方法はいくつかあります。

メーカーには知見が少ない場合が多いので、ユーザーから提示していく方が良いでしょう。

オンライン立会検査本番

検査本番はオンライン会議と同じように環境確認をした後は、さっそく検査を行いましょう。

書類検査から始まる杓子定規な部分はカット。

いきなり耐圧気密検査運転検査から入ります。

オンラインなので待ち時間があっても自分の仕事ができるので、ユーザーは大助かりですね。

オンラインでは見れない部分がありますが、見れるかどうかをテストする意味でもメーカーに撮影場所の要求をしてみましょう。

現状は、溶接の概観などはオンラインでは見にくいです。

検査後

検査後は納入されます。

ここでしっかり引き取り検査をしておきましょう。

オンラインで確認できなかった部分で、問題があったかどうか確認できる最初のタイミングです。

ここをスルーしてしまうと、後で問題が発覚してもメーカーに賠償することが難しくなります。

オフライン検査のメリットは、不具合をメーカー工場で即指摘することです。

オンライン検査で失われるメリットなので、代替手段としての引き取り検査は強化しておきましょう。

オフライン検査後の引き取り検査では雑に検査していたとしても、オンライン検査後の引き取り検査は一段階レベルを上げるという思想ですね。

オンライン立会検査のメリット

オンライン検査のメリットを改めて表示します。

  • 事故や感染などの移動リスクの低減
  • 移動時間の削減
  • 移動費用の削減
  • 業務時間の創出
  • 検査費用の削減

移動リスク

移動リスクはコロナの感染リスクが現座は目立っていますが、それだけではありません。

移動時の交通事故などのリスクもあります。

慣れない地域に移動して、車と衝突したり道路で転んだり・・・

これらの要素も労働災害になるので、できればリスクを下げたいと思う会社はオンライン検査を推奨するでしょう。

移動時間

オンライン検査は移動時間を削減できるメリットが大きいです。

田舎の工場だとメーカーが遠い場所にあって前泊する場合もあるでしょう。

これだけでも移動時間を犠牲にしています。

移動時間も立派な勤務時間。

オンライン検査で移動時間がなければ、その時間を別の業務に割り当てができます。

移動費用

移動費用を削減することはオンライン検査のメリットの1つ。

電車代・タクシー代・ホテル代などの費用が確実に削減できます。

業務時間の創出

オンライン検査を行うと、ユーザーは業務時間の作り出すことができます。

というのも、立会検査って待ち時間が結構あります。

この時間を例えば簡単なメール処理をしたりチャットで回答したり・・・という時間に使うことがオンライン検査で可能です。

検査費用の削減

オンライン検査は実はメーカーの検査費用を削減していく方向になりえます。

というのも動画を撮影すれば、水張・耐圧気密などの労力のかかる検査を検査本番で省略するユーザーがもいるからです。

環境整備のために初期投資が必要ですが、数をこなすとメリットが出てくるはずです。

ここに気が付いた会社ほどオンライン検査の環境を作り上げていくでしょう。

オンライン立会検査のデメリット

メリットが多いオンライン検査ですが、当然デメリットがあります。

オンライン検査で見れない検査

オンライン検査では肉眼で見れる部分の要素が弱くなります。

例えば溶接線の検査・ピンホール検査など。

人間の眼より優れたカメラも存在しますが、オンライン検査で使うカメラはそこまでの精度はありません。

初めてオンライン検査をする人は、メーカーに溶接線周りをアップして欲しいと要求してみましょう。

溶接線をちゃんとチェックする意識のあるエンジニアなら違和感を覚えるはずです。

ピンホール検査では高電圧の装置を使うので、カメラ撮影が危険という場合もあります。

工場の実態が見れない

立会検査の隠れた目的である工場の実態調査

これがオンライン検査ではできません。

工場の稼働率・在庫管理・安全対策・勤務実態・設備構成・・・

立会検査に付随してオフライン検査ではメーカーのいろいろな実態を見ることができます。

「重要だか緊急でない」というカテゴリーの内容。

エンジニアとしてはオフライン検査を通じて、メーカーの実態を探ろうとするのは大事なことです。

オンライン検査が一般的になるとオーナーエンジニアの知識・スキルは確実に低下していくでしょう。

メーカーとしては誤魔化すことができる要素が増えるので、良い方向ですね。

遊べない

オンライン検査では移動ができません。

これは遊ぶことができないというデメリットがあります。

旅行感覚で見知らぬ場所に移動できる数少ない期間。

勤務地が固定化されているオーナーエンジニアにとっては、立会検査は1つの楽しみだったりします。

参考

最後に

 化学プラント向け設備のオンライン立会検査は、事前準備を徹底し、効率的に検査を進めることが成功の鍵です。移動リスクや費用の削減、業務時間の創出など多くのメリットがある一方で、映像による検査の限界や工場実態の把握不足といった課題もあります。オンライン検査は決して「楽」なだけの手段ではなく、使い分けや補完の工夫が必要です。
 今後ますます重要になる新しい検査の常識を理解し、賢く活用していきましょう。

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