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配管

液とガスを同じラインで処理してない?タンク設計で避けたいNG構成

ガスラインの単独化 配管
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 化学プラントのタンク設計において、ノズルの配置は単なるレイアウトではなく、安全性や運転性に直結する重要事項です。特にガスライン液ラインを同じノズルで扱う構成は、見落とされがちなリスクをはらんでいます。

 本記事では、なぜガスラインを単独ノズルで設置すべきなのか、その理由と背景について、設備設計の基礎から解説します。NG構成の具体例とともに、正しいタンク設計の考え方を紹介します。

現象自体は難しい話ではありませんので、基礎からしっかり理解しておきましょう。

正しいガスラインの配置

まず、今回考えている問題について、ガスラインの正しい設置パターンを見てみましょう。

ガスライン単独化(gas line)

ガスラインを、単独のタンクノズルに設置しています。

これが基本です。

ところが、意外とこの通りの構成になっていない場合があります。

こういう配置はNG

本記事で想定している、NGの例を紹介します。

混合ヘッダー(gas line)

正解との違いは、ガスラインと液ラインが同じヘッダーで繋がっているという部分だけ。

赤色のラインです。

さて、この例がなぜNGなのか答えることはできるでしょうか?

少し考えてみてから、先の回答を読んでくださいね。

ガスと液の流れ

タンクのガスラインと液ラインを接続するのがNGの理由は、ざっくり言うと以下の通りです。

タンク内に液が入らない(入る速度が遅い)

タンクが破裂する

タンクが破裂する、というのは結構衝撃的な内容ですよね。

これ、起こりえます。

さて、なぜこんなことが起きるのか、詳細を見てみましょう。

配管内のガスと液の流れを見ていきます。

ヘッダー混合(gas line)

液ラインから液を受け入れるとき、液の流量と同じ分だけタンク内の気層部は外部に排出されます。

ガスラインと液ラインを同じノズルで接続したとしても、配管内で液が流れる部分とガスが流れる部分が分かれて、上手く作用する場合はありえます。

これは液の流量や配管口径などに依存するので、毎回問題なく機能するというわけではありません。

例えば、接続ノズルの配管口径が小さい場合を見てみましょう。

タンク破裂(gas line)

液は強制的にタンク内に入ろうとします。

タンク内のガスは外部に逃げようとしますが、液によって蓋をされてしまい逃げれません。

タンク内の気層部の体積はどんどん小さくなっていき、その分だけ圧力は上がっていきます。

大気圧タンクなど圧力に弱いタンクであれば、ちょっとした圧力上昇だけでもタンクが破裂してしまいます!

耐圧タンクでも、タンク内の圧力が高いと受け入れる液の流量は下がってしまいます。

タンク内の圧力がある程度高くなると、受け入れる液の圧力を越えて、ガスラインから気相部の気体が排出されます。

圧力が下がっても、液を受け入れ続けると同じことの繰り返し。

不安定な状態で運転をすることになります。

ノズル数が極端に少ないなどの特別の理由がない限りは、ガスラインは単独化させましょう!

参考

関連記事

さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

タンク設計において、ガスラインと液ラインを同じノズルで接続する構成は危険なNG事例です。

  • ガスが逃げ場を失い、タンクが加圧される
  • 圧力上昇により液の流入が阻害される
  • 大気圧タンクでは破損リスクあり

ガスラインは単独ノズルで外部へ逃がすのが原則。例外はあっても、基本設計としてこのルールを守ることで、安全で安定した運転が可能になります。

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