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化学工学

濾過速度の式とケーキ抵抗・濾布抵抗

濾過速度 化学工学
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濾過速度の式(Ruth formula)について化学工学的な視点で解説します。

濾過速度に関する式から濾過を考えていきます。

詳細はRuthの式を使いますが、その一歩手前の直感的な式を見ます。

この辺りのことは、機電系エンジニアは実は何も考えなくても仕事ができてしまいます。

たいていの場合は既存と同じ設備で購入すればいいし、必要があれば専任の部門が検討した設備をメーカーと共同で設計することになるでしょう。

濾過の設備である加圧濾過機や遠心分離機などは、まさにこの典型例。

濾過の基礎式

まずは濾過の基礎式を見てみましょう。濾過速度を表す式です。

$$ u=\frac{gΔP}{γμ} $$

  • g:重力加速度
  • ΔP:差圧
  • γ:抵抗
  • μ:粘度

単位は省略します。

今回は濾過の運転や設計において定性的に知っておきたい部分に絞り、手計算は触れません。

この式が言うことはとても簡単で、

  • 差圧が高い方が濾過速度が速い
  • 抵抗が低い方が濾過速度が高い
  • 粘度が低い方が濾過速度が高い

というだけです。

差圧と抵抗は他の化学工学や物理の基礎式と同じ形を取っていて、理解しやすいでしょう。

粘度が独立したパラメータになっているということは、頭の片隅に留めておいても良いかもしれません。

とはいえ、濾過速度を上げようとして粘度が大きいから何とか解決しよう、という方向にはなかなか行かないと思います。

差圧

差圧ΔPは濾過において、とても基礎的な要素です。

差圧は駆動圧と読み替えても良いです。

学校の理科の実験でしたような漏斗で濾過する方法、加圧濾過機、遠心分離機は差圧という点で明確な比較ができます。

差圧の低い順番に

漏斗 < 加圧濾過機 < 遠心分離機

となります。

漏斗は周囲が大気圧で液高さの重力分の圧力が差圧、加圧濾過機は上部から気体の圧力で押し出す分だけ差圧が上がり、遠心分離機は遠心力という高圧の分だけ差圧が上がります。

濾過速度が十分に取れない場合には、圧力を上げる工夫をします。

  • 加圧濾過機は気体の圧力を上げることで差圧を上げます。ただし、機器の耐圧の問題があり圧力は限界があります。
  • 遠心分離機は機器のサイズ(半径)回転速度を上げることで差圧を上げます。サイズも回転速度も機器の仕様でほぼ上限が決まってしまいます。

濾過抵抗

濾過抵抗はケーキ抵抗と濾布抵抗の2つからなります。

濾過抵抗 = ケーキ抵抗 + 濾布抵抗

濾布抵抗(Ruth formula)

ケーキ抵抗

ケーキ抵抗はケーキによる抵抗です。そのままですね。

スラリー液の中にあるケーキは、濾布の上にどんどん溜まっていきます。

ケーキが溜まるほどスラリー液は通りにくくなるのは直観的にも理解できるでしょう。

抵抗増加(Ruth formula)

ケーキ厚みとケーキ抵抗は反比例すると考えて良いです。

運転上でケーキ厚みの増加速度は、運転条件に大きく依存します。

1日に数回ケーキを取り除く場合もあれば、1年に1回しか実施しない場合もあります。

濾布抵抗

濾布抵抗は濾布そのものの抵抗です。

濾布の網目が細かいほど抵抗が高くなります。

濾布抵抗はケーキ抵抗のように運転条件に大きく左右されるものではありません。

抵抗に関して、濾布の隙間とケーキの大きさを比較すると

濾布の隙間 < ケーキの大きさ

となるため、同じ厚みで比較すると濾布抵抗の方がケーキ抵抗よりも大きくなることが予想されます。

濾過速度が悪くなる原因

濾過の運転上は濾過速度が悪化することが問題になります。

なんとなく濾過速度が悪くなってきた

こういう場合に原因を解析するために考えることをまとめました。

  • ケーキの粒子が細かい
  • 液の粘度が高い
  • ケーキの粘度が高い
  • ケーキの圧縮性が高い
  • ケーキの粒子にばらつきがある

粘度は内容物が決まれば、あとは温度でほぼ決まるので変更できる要素は少ないでしょう。

ケーキの粒子径などケーキそのものに原因を求める場合が多いです。

例えば反応や晶析でいつもと違うことがなかったか、原料に変わったことがないか・・・という方向です。

参考

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最後に

濾過速度の式から濾過の運転で必要な要素を解説しました。

濾過速度は差圧に比例し、抵抗に反比例します。抵抗はケーキ抵抗と濾布抵抗の合成です。

機電系エンジニアとしては濾過設備を導入するときに、知らなくても仕事ができてしまう部分です。

トラブルがあった場合には知っておかないと苦労するでしょう。

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