【分配比・溶解度】抽出は量ではなく回数で勝負

化学化学工学

NEONEEETです。

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、抽出操作の基本原理を知ることができます。

抽出は分配比

抽出とはバッチ系化学工場では液液抽出を意味します。

こちらの抽出装置の記事のように、反応の後処理としての抽出が一般的です。

この抽出は分配比で決まります。

油から固形分を水に移す操作を考えましょう。

この時の分配比は以下のように定義されます。

水層中の固形分濃度 / 油層中の固形分濃度

この記事では、分配比を使った例を紹介し、抽出は分配回数が多い方が効果的であることを示します。

この具体例は後で紹介します。

10m3の油層を合計30m3の水で抽出

簡単な例を使って紹介しましょう。

反応が終わって油層中に固形分が残っているケースです。

油層10m3中に固形分が1000㎏あります。

この固形分は余計な物なので除去しないといけません。

これを水を使って抽出総裁によって除去します。

ここで分配比は9とします。

水層中の固形分濃度 / 油層中の固形分濃度 = 9

なので、水層の方に多くの固形分が移るという系です。

分配比が1以下なら、油層の方に固形分が残ることになります。

これを30m3の水で抽出しますが、以下の2ケースを考えます。

10m3の水3回で抽出

30m3の水1回で抽出

先に答えを言いますが、10m3の水3回の方が効果的です。

10m3の油層を10m3の水3回で抽出

10m3の水を1回注入したとしましょう。

注入直前のイメージは以下のとおり。

これで抽出を行うと、水層に900㎏の固形分が移動します。

分配係数が9だからですね。

油層には100㎏の固形分が残ります。

水層10m3は適切な処置をするために、別の場所に輸送します。

これが1回目の抽出

2回目も同じ操作を行います。

2回目は固形分が100㎏残っている油層に対して、10m3の新鮮な水を加えます。

1回目と同じように2回目も、水層に90㎏の固形分が移ります。

3回目も同じですね。

3回目の抽出前はこの状態。

抽出後の状態は以下のようになります。

3回目の抽出を行うと、輸送中に残る固形分は1㎏になります。

10m3の油層を30m3の水1回で抽出

先ほどは、10m3の水を3回に分けて抽出しましたが、

今回は30m3の水を1回注入して抽出しましょう。

抽出前は以下のとおり。

抽出後は以下のとおりです。

油層中には36㎏程度の固形分が残っています。

10m3を3回に分けた時は1㎏でした。

36倍も違いますね…

水の量が3倍多いため、1回あたりの抽出量は多いのですが、

3回に分けた時よりは効果が低いです。

溶解度ではない

抽出が溶解度の依存すると勘違いする人がいます。

溶解度は単一の液体に対する単一の固体の溶解の度合いです。

抽出は異なる液体に対する固体の溶解の度合いと考えて良いでしょう。

液体が2つ以上あることが条件です。

この2つの液体の組み合わせと抽出される物によって抽出性能は変わります。

個別の溶解度が分配比に影響を与えることは確かですが、

化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアがそれ以上知る必要はあまりありません。

というより、私も知りません(笑)

反応装置の大きさも限界がある

30m3の水を1回注入すると安易に書きましたが、このケースは非現実的です。

というのも10m3の油層と30m3の水層で合計40m3ほどの大型タンクが必要になるからです。

10m3の水層を3回分けて注入する場合は、1回あたり20m3が最大容量になります。

それだけでもタンク容量は半分の20m3

設備の大きさやプラントの大きさを考えても、20m3の方が安価ですね。

回数を増やすほど効果は上がる

抽出は回数を重ねるほど効果があります。

10m3の水を3回ではなくて、5m3の水を6回の方が効果はあります。

回数を増やすほど、操作は面倒になります。

特に分液操作は多ければ多いほど、ミスが発生する確率が高くなります。

この辺りの事情も含めて、抽出操作をバッチで行う場合は、2~3回が限界でしょう。

最後に

抽出が分配比で決まること、回数が多いほど効果があること

という話に対して、プラントや設備のサイズ・作業性を考えると

抽出回数は自ずと制限されていきます。

この辺りのロジックが化学工場の特徴ですね。

この記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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