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化学機械

排ガス処理塔の設計の基本的な考え方

排ガス処理 化学機械
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排ガス処理塔は化学プラントなど危険なガスが発生する場所では、必須の設備です。

専門のメーカーがパッケージとして販売していたりしますが、自前で組み上げることもあるでしょう。

セイコー化工機株式会社
「耐食」のコア技術を生かした、社会インフラには欠かすことができない耐蝕ポンプ、工場や研究設備、下水処理施設等で排気・換気で活躍する耐蝕送風機、製造現場や化学プラントから発生するガスを確実にとらえ、除去する高性能の湿式スクラバー。それらの研究...

基本的にはメーカーに依頼する方が安いですが、運転の質を上げようとすると自前になります。

どちらにしても基本的な考え方を、エンジニアは知っておかないといけません。

基本フロー

まずは基本フローを解説します。

除害塔フロー

大なり小なりありますが、基本の構成はこのフローになります。

バッチプラントで見かけるような汎用性の高い処理塔をイメージしています。

処理するガスによって変わる部分も多いですが、設備上は気を付けるポイントは限られます。

これから各部の考え方を解説します。

塔の考え方

排ガス処理塔であるため、塔が最重要部です。

塔径

塔の能力の最重要部は塔径です。

ガス発生量に対してフラッディングを起こさないように塔径を決めます。

充填物が先にあるように感じますが、充填物は一般的なもので決めてしまって、発生量に対して塔径を決める方が楽です。

というのも、充填物の性能とガス処理性能を正確にシミュレーションしようとすると結構面倒です。

すでに設置されている塔のサイズと処理能力から類推して決めても、大きな問題は起きないでしょう。

不安ならこのフローのような1塔ではなく2塔にします。1塔のサイズを下げれば、2塔でも大きなインパクトはありません。

バッチプラントだとφ600~700程度が多いです。

塔高さ

塔高さも汎用性から決めて良いと思います。

充填高さとして約4mが1つの判断。

これを越えると、液の分散性能が悪くなってくるので、再分散板が必要になります。

つまり、塔のサイズが大きくなりすぎます。

接続

塔の下部から処理したいガスを入れます。

ガスは液体で処理しますが、液体は塔の上部から入れます。

材質

材質はステンレスもしくはFRPが一般的です。

腐食性が高いガスならFRPの方が良いでしょう。

ステンレスだとFRPよりも装置を大型にできるメリットがありますが、ガスの種類を選びます。

小型のFRPで予めガスをあらかた処理しておいて、残りをステンレスで処理するなんて使い方も考えれますね。

計器

排ガス処理塔のレベルだと、塔としての計器はほぼ不要です。

塔なら温度計や圧力計が典型的な計器です。

ただし、サイズが小さい塔ならこれらの計器すら不要でしょう。

貯槽の考え方

貯槽は結構考え方が分かれます。

容量

容量は1バッチ当たりの処理が可能な液量として選定するのが基本です。

酸系のガスを処理する場合、苛性水を貯槽に貯めておき、1バッチの処理が可能なくらいの苛性量にします。

液量管理

貯槽は液量管理が大事です。

液量が少なすぎると塔の運転ができず、液量が多すぎると液が塔側に流入してガスが排出されなくなります。

適切な液量にするためには、水を一定量入れ続け、オーバーフローラインから常時排出することが考えられます。

フロー例のように貯槽底から配管を通し、バイパスのバルブを付けておくと良いでしょう。貯槽内の液を完全に排出する時にも使えます。

苛性水を使う場合には、水だけでなくて苛性も必要です。

材質

材質は塔の材質に依存します。

塔がFRPの場合は、貯槽もFRPで良いかもしれませんが、強度を上げるためにフッ素樹脂ライニングの方が安心です。

計器

貯槽の計器は必ずしも必要ではありません。

苛性水を貯める場合には、苛性の流量計が必要でしょう。

液面計は無くてもオーバーフローラインの管理で対応できます。

ポンプの考え方

ポンプの考え方はかなりシンプルです

常時運転

ポンプは貯槽から塔への循環目的で使います。

ポンプの最低流量は塔への必要流量で決まります。

この流量と塔高さまで液を送るための揚程が、ポンプには求められます。

流量計が必要

計器としては、循環ラインに流量計が必要です。

DCSへの取り込みは不要で、現地式で良いでしょう。

常時運転することが基本なので、一度セットしてしまうと触れることは多くはありません。

省力化をするなら、流量計と自動調整弁を付けると良いでしょう。(高価ですけどね)

排出時も運転

ポンプの能力としては外部への排出の流量も加えておくと良いでしょう。

ここは使い方に依ります。

  1. 循環と外部排出を常時行う場合
  2. 循環は常時行うが、外部排出は間欠的の場合

1の場合は、ポンプの能力を循環と外部排出の合計値として決めれば良くて楽です。

2の場合でも、最大値としては1と同じです。

ただし、外部排出の流量が多すぎると、ポンプを別にセットしないといけません。ポンプの運転可能範囲を越えるかもしれないでうすからね。

とはいえ外部排出の流量が多いということは、流入液の流量がおおきくならないといけないかも知れない点は注意しましょう。

外部排出と言っても、常時はオーバーフローから異常時に初めてポンプで送り出すということが考えられます。

使い方がいくつか考えられるので、どういう使い方をしたいかを決めないとフローは決めれないし、配管口径も決められません。

排ガス処理塔を設計するときの、最も重要なポイントかも知れませんね。意外と気が付きにくいですけど。

スラリーに強い

ポンプはスラリーに強い型式が良いでしょう。

貯槽の処理液には塩が混じる可能性があります。

少量だとフッ素樹脂ライニングでも耐えるでしょうが、多量だと駄目です。

処理ガスや処理液の物性によってFRPの塔を選ぶ場合には、フッ素樹脂ライニングのポンプを選びがちですが、スラリーの問題はしっかり対策しましょう。

参考

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最後に

排ガス処理塔の設計の基本的な考え方を解説しました。

塔・貯槽・ポンプそれぞれ個別に考えないといけません。

ガスの処理量と液体の処理方法が決まらないと、設計ができません。

選択肢はいくつもありますので、どんどん絞り込むようにしていきましょう。

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