化学プラントの従業員の机配置(desk arrangement)から、その組織の課題を考えたいと思います。
組織にいると内部の課題は分かりやすく見えても、組織の外部の課題は結構見えにくいもの。
それでも、同じ会社であれば机や座席の配置からある程度は推測できますよ。
私が所属する組織の典型的な島型配置から、どういうことが読み取れるか具体例を紹介します。
島型配置でなくても、チーム編成とラインの考え方がその会社でどうであるかを知ることで、何となく推測することは可能ですね。
基本形
化学プラントでは課長-主任-担当というラインが基本です。
これを島型配置にすると以下のようになります。
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設備エンジニアを例に挙げましょう。
規模にもよりますが、1製造部あたり担当が1人付きます。
担当とプラントは以下のような対応をしています。
担当A1 | 製造部「一課」 |
担当A2 | 製造部「二課」 |
担当B1 | 製造部「三課」 |
担当B2 | 製造部「四課」 |
主任は担当を1~3人見ます。
今回の例では主任Aが担当A1と担当A2、主任Bが担当B1と担当B2を、
課長は主任Aと主任Bをそれぞれ見ます。
これが基本形です。
課長が端っこで窓側に配置されることが多いでしょう。通路とは逆方向です。
これは課長だけが管理すべき情報などを、周りの人が見れないようにする意味があります。
パソコンや書類が周りの人から簡単には見られないようにするためですね。
窓際族として課長がいるべき位置ですね(笑)
課長と課長以外の席の間に通路を設けるケースもあるでしょう。
ここから先は異常な例の紹介です。
その組織のポジションと座席の配置から組織の課題がある程度透けて見えてきます。
主任不在
基本形は綺麗な形をしています。
最近では徐々に崩壊していて、異常な例が見えてきています。
その1つ目の例を紹介します。
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いきなり主任不在。
主任が不要と言っているわけではありません。
年齢構成のバラつきの結果です。
主任クラスの人間が退職して、若手をいっぱい採用したけど、主任のスキルにまで到達していない。
これは課長が苦しむパターンです。
「課長 兼 主任」という日本独特の兼務スタイルが横行します。
座席の配置にもこだわりがあり、主任の席を空けて、課長と担当の間にスペースができてしまいます。
主任が不在のケースで、上の図のように主任の場所に担当が座るということをしないケースは結構あります。課長と担当の距離が離れるので非合理的なように見えると思いますが、こういう発想をする組織はまだまだいっぱいあります。
担当不在
次の例を見てみましょう。
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これは担当不在のケース。
主任が涙目。
担当Aは製造部「一課」だけを見ているわけではありません。
「一課」も「二課」も見ています。
主任Bは担当すら付いていません。
主任 兼 担当
ここまで露骨になっていれば、採用活動に活発的になっています。
この場合、若手が少ないので平均年齢が高くなっているでしょう。
若手の競争率も低いので、昇進もスムーズに進むと思います。
主任兼担当とか課長兼主任兼担当ということが横行している組織はとても危険です。人が足りていないことを内部的にアピールするだけでなく、外部的にもアピールしてしまいます。こういう組織にはなるべく近づかない方が良いと思います。
特定業務
最近増えている例を紹介します。
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特定担当というポジションがいます。
これは、年齢・経験年数を問いません。
その事務室に必要な人間だけど、課長-主任-担当というラインではない人間。
課長よりも位が上でも、この位置に座ることが普通です。
それを固執して、課長と同じ席に座ろうとする老害もいますけどね…。
特定担当は、かなりの確率で「訳あり」です。
事情は様々ですが、「訳あり」。
訳あり野菜がなぜか安いけど、聞いてはいけないのと同じ。
触れてはいけません。
入社して組織編成表を見て特定担当の数が多ければ、ブラックかどうかのサインとして使えます。
疑ってください。
特定業務という名前を付けると内部外部問わずに察せられるので、そうは見せないような編成表を作りつつ実態は特定業務というケースが増えています。主任兼担当には目を向けずに、特定業務にだけ気を配るのは、アンバランスな気がします。
手荷物置き場としての机
自分の机を持っているかどうかで手荷物の置き場所が変わってきます。
事務所班は自分の机
事務所班は自分の机の周りに手荷物を置きます。
普通は机の引き出しの中に入れているでしょう。
外に置いていると最悪盗まれたりしますからね。
課長クラスの机は他の人がアクセスしにくい端っこなので、机の外に手荷物を置くケースもあります。
課長クラスになると机が大きくなったり、引き出しの数が増えたり、椅子にひじ掛けが付いたりするようです。
特権ですね。
まぁ、紙の電子化をちゃんと取り組んでいれば、机の大きさや引き出しの数なんて本当にどうでもいいことになりますけど^^
オペレータは計器室のロッカー
オペレータは自分の机がありません。
手荷物はどうするのだ?というと計器室内に専用のロッカーを配置されるでしょう。
とても小さいロッカーです。
それでも大丈夫。
そもそもオペレータは計器室に体を持ち込めば基本的にはOKだからです。
食べ物・飲み物・財布・ケータイ・鍵
これくらい持ち込めば大丈夫。
手提げバッグで通勤する人もいます。
事務所の人も基本的には同じですが、人によってはパソコンを家に持ち帰ることもありますのでリュックサックを使うことが多いでしょう。
固定デスクは必要
事務職が固定デスクが必要か?
ということは見直しができる時期になっています。
テレワークができる会社もありますからね。
化学プラントのエンジニアクラスではまだまだ固定デスクが必要というのが私の意見です。
デスクを毎日自由に変えることができる仕事の仕方ができれば、コミュニケーションの流動化が進んだり機械・電気・計装・土建の垣根が変わったりと良いこともありますけど…
JTCでは難しいでしょうね。
紙の資料が多すぎる
固定デスクが必要という最大の理由は紙の資料が多すぎるからです。
エンジニアリング資料は紙がまだまだ基本です。
紙の資料を発行して回覧するためには、回覧先の人がどこにいるかを把握していないといけません。
私の机にはA4のデスクトレーが1日で満杯になるほど書類が集まります。
これの承認決済をして各担当に配布するのが、実は結構面倒です。
各担当の机と移動ルートを考えて、書類のソートをしないといけないからです。
本当に面倒。
どこか1つに担当者のロッカーを作ってそこに集約することも考えられますが、非効率です。
紙さえなければ…
そう思っても紙を電子化することをほとんど考えないエンジニアばかりなので、動きは極めて遅いです。
もっと簡単に考えて変えれば良いのに。
変えたくない理由をみんなで必死に探している構図です。
物を片付けられない人が多い
機電系エンジニアの9割は机の上が汚いです。
少なくとも私の会社では。
身の回りの整理なんて簡単でしょ。
って思いたいですけど、これがとても高度なスキルのようです。
机の上にキングファイルが山積み、机の下にもキングファイルを立てて並べる
これが常態化しています。
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エンジニアは図面で仕事をするから紙で溢れるのは仕方のないことだ!
って言い訳ばかり。
一部の人は机の上を綺麗に整理できているのに・・・
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彼は特別だ。自分にはできない。
と簡単に思考放棄をしてしまいます。
机の上が整理できないなら、フリーデスク化は夢のまた夢の話。。。
探す手間が省ける
固定デスクにするとその人を探す手間が省けます。
電話の取次ぎが典型的な例ですね。
外部から誰か人が訪ねてきたときも同じです。
携帯電話を個人に付与しても、電話先が携帯電話の登録をするのが面倒で固定電話に掛けるというパターンが本当に多いです。
どれだけハードを揃えてもソフトが駄目なら何をやっても駄目。
最後は人です。
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最後に
化学プラントと机の関係について考えました。
JTCでは島型配置が多く、課長・主任・担当のラインと席の配置を綺麗に整える傾向が強いです。
オペレータは自分の机がありません。
固定デスクはまだまだ必要で、紙の問題と人の問題が根深く残っています。
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