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化学機械

粉体集塵装置の典型6機種|化学プラント向け

粉体集塵方式 化学機械
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集塵装置は化学プラントでも特に粉体を扱う場所では、必須の装置です。

粉体を直接扱う作業員だけでなく、近隣地域や地球環境にも影響を与えかねないので、対策は十分に取ります。

プラントを建設する場合や系列を増強する場合、新しい粉体を取り扱う場合など、集塵装置の設計をする機会は多いので、集塵方法を知ることは大事です。

そこで、集塵の代表的な方法を簡単にまとめました。

集塵方式の分類

集塵方法を6つに分類してみます。

方式原理分離要素
重力集塵重力重力加速度
慣性力集塵慣性力速度
遠心力集塵遠心力速度の2乗
濾過集塵通路面積目開き
洗浄集塵液体の吸収・粘着など速度
電気集塵クーロン力電圧

重力・慣性力・遠心力・濾過・洗浄・電気の6つです。

それぞれ分離の原理としての外力が違います。

下に行くほど、除去性能が大きくなると考えたら良いでしょう。

重力

重力集塵とは自然沈降による集塵方法です。

排水処理中の最初の処理として使われることが多い、化学工学的に基本となる方法です。

連続分液と同じ考え方を使っています。

連続分液配管

装置の流れ方向と高さ方向に対して、流速と流体抵抗で分離性能が決まってきます。

流体抵抗はストークスの式で決まる一般的なものです。

$$ F=3πμd_pv $$

重力加速度を受けている粉体が流体抵抗に逆らうように下に落下していきます。

最終的には終端速度で落下します。

この関係で収まるように、装置の大きさを決めます。

流れ方向:高さ方向=流速:終端速度

という関係です。

下に落下する速度は終端速度に到達するまで速度変化があり、初速がゼロ・終速が終端速度となります。

その分だけ、高さ方向には余裕を設ける考え方となります。

とはいえ、粉塵濃度や流速分布などの影響を受けるため、綺麗に分離できるわけではありません。

慣性力集塵と同じで、前段の処理と考えましょう。

ガス中の粉塵を重力で除去するときは、流体抵抗が少ないので重力集塵の効果はより見込める方向にあります。

慣性力

慣性力集塵は、ガス中の粉塵の流れや流速を変えることで粉塵を分離する方式です。

重力集塵よりも設計の自由度が高く、私はこの方式を好んで使います。

困った時に役に立ちます。

遠心力

遠心力集塵は、分離の力に遠心力を使います。

サイクロン流れ

簡単にいうとサイクロンです。

掃除機でも有名です。

分離性能が速度の2乗で決まるため、重力集塵や慣性力集塵よりも効果的に除去が可能です。

細かな設計は難しくてもある程度の除去であれば、小型のサイクロンから徐々に大型化していって試すという方法でも十分可能です。

サイクロンのような装置を作れる会社が近くにないなど、応急的な方法として重力集塵や慣性力集塵を使っても良いでしょう。

洗浄

洗浄集塵は洗浄塔を使った液体による集塵方法です。

充填塔流れ

充填塔のような方式がよく使われます。

液体の種類も粉体に対してさまざま。

水が一般的です。

水に対して吸収される粉体なら良いですが、そうでなければ酸性・アルカリ性などの液を使う場合も多いです。

他の方法に比べて水を使う点で、処理費用のランニングコストが掛かります。

濾過

濾過集塵はフィルターの方式です。

フィルターという細かい通り穴よりも、大きなサイズの粉は物理的に通ることができません。

言葉通りキャッチするという方法です。

この方法も一般的。

電気集塵ほどではないけども、ほぼ除去したいという時に重宝します。

私もこの方式は良く使います。

洗浄集塵に比べて、水を使わずに処理が可能なので、選択肢は広がります。

ただし、粉塵爆発などの問題が出ますので、注意して設計しましょう。

電気

電気集塵は粉体交じりのガスに電圧をかけることで、粉体を集める方法です。

空間中に電圧をかけて、コロナ放電という放電を起こします。

この環境に粉体を通すと、粉体が電荷を帯びます。

あとは電気的な力で強力にキャッチするという流れ。

電圧で能力を決めれるので、他の方式のような制約(装置サイズ・流速・圧力損失)がありません。

最終集塵装置としてよく使われます。

化学プラント的には防爆の問題がありますので、危険物製造所から離した場所に設置しましょう。

その分、配管コストは上がることになります。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

集塵装置の分類と基本的な原理を紹介しました。

重力・慣性力・遠心力・濾過・洗浄・電気の6パターンがあります。

重力・慣性力が前段処理として使われます。

遠心力・濾過などの中間処理を通した後に、洗浄・電気などの処理方法で最終的な集塵をします。

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