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化学機械

アナログな慣性力集塵がプラントで効果的な理由

慣性力集塵 化学機械
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慣性力集塵(dust collector)は原理は簡単でノーメンテで使える割に、一定の効果がある装置です。

化学プラントのように粉体を扱う場所では、粉体を集める集塵は必須の設備。

教科書的には、電気集塵機などの大型集塵機の話題になりがちです。

もちろん大事なことですが、その前段にはアナログ処理があって、全体の処理性能を左右することもあります。

アナログな装置は、原理が理解しやすく設計の自由度も高いので、エンジニアの能力が試されるでしょう。

基本的な考え方を紹介します。

流れを変える

慣性力集塵の基本的な考え方は「流れを変える」という点にあります。

同伴と分離

ガスと粉が同じ流れで移動している同伴状態から、ガスと粉を別の流れにする分離状態に切り替える部分を、慣性力集塵が担います。

慣性力という単語を難しく考えなくてもOKです。

動いていない物が動こうとするとき、動いている物が止まろうとするときに、力が必要だと思えばいいです。

この力の大きさは質量に比例します。

ガスと粉では質量(密度)が全然違うので、流れを変えるために必要な慣性力が違います。

慣性力という難しい言葉を使わなくても良さそうな気もしますが、一言でいうには少し難しいですね。

重さを利用して流れを変えて分離する集塵、のような表現になりますから。

慣性力集塵(dust collector)の基本

慣性力集塵装置の基本を紹介します。

T管集塵

簡単なタイプは単純なT管で分岐する方法です。

これでもある程度は分岐可能です。

T管の付け根部に向かってガス・粉が移動していき、衝突します。

ここでガス・粉ともに速度が0に近づきます。

ガスは密度が小さく慣性力が低いので、管の流れに逆らわずに流れます。

粉は密度が大きく慣性力が高いので、管の流れに従って動くとは限りません。

重力の影響で下に落ちようとする力が強い場合は、下に落ちようとします。

分離性能はT管の入口出口の流速で決まると考えて良いでしょう。

入口出口の口径が同じである場合は、ガスの流速も変わりがなく、衝突後の粉体の一部もガスと一緒に流れに従おうとします。

性能を少しでも上げようとすると、T管の主管部分(出口)は口径を上げる方が良いでしょう。異径T管と呼ばれる継手を使います。

典型集塵1

このような装置は現実に使用されています。

慣性力集塵(dust collector)の典型例

慣性力集塵の典型例をいくつか見ていきましょう。

衝突板

管の流れの中に衝突板をそのまま付けるパターンです。

典型集塵2

慣性力のイメージをそのまま実現したようなシンプルな構造です。

このタイプでは衝突板の強度が問題になります。

板の厚みを上げる・材質を上げるなどの工夫は大事ですが、そのうち劣化していくでしょう。

衝突板部分を交換できるような、フランジタイプにするなどの工夫が必要になってきます。

フランジタイプなど取り外し可能な機構にすると、構造が複雑になることとガスケットなどのシールが必要になるので、注意が必要です。

トラップ型

トラップ型は言葉通り粉を集めるようなトラップを設けます。

キャッチ

上から見た構図です。

流れのいたるところにトラップを設けて、粉を集めつつ、ガスはトラップをすり抜けて流れていきます。

何となく防衛ゲームのようにも見えますね。

衝突型よりもガスの流れの変更が多く、圧力損失が高いです。

これに限らず慣性力集塵は、性能を上げようとしたら圧力損失が高くなっていくのがデメリット。

反転型

最後に反転型です。

反転型

衝突型のように粉側を止めようという発想とは逆で、ガス側の流れを変えてしまおうという方法です。

ガスの方が流れを変えやすいという点に着目したもの。

粉が下になるような流れでしか使えずに、粉塵を集める配管ルートに制約が加わってしまいます。

逆に、衝突板の摩耗などのデメリットは少なめです。

私もあまりこのタイプは使ったことがありませんが、少しでも集めたいという場合には効果があります。

流れを変えるガス側ラインの曲率半径が小さい方が、効果は上がります。

圧力損失

慣性力集塵は、効果を上げようとすると圧力損失が高くなります。

装置部分の空塔速度(ガス流速)は1~2m/sという、圧力損失が影響を与えない程度の小さくする必要があります。

集塵装置前後の配管では流速が10m/s程度で設計しても、圧力損失的には影響が大きくはありませんが、装置部だけは速度を落とす必要があります。

衝突型や反転型だと、管の圧力損失のT管としてみなして相当長を考えることになります。少し余裕は見ておいた方が良いです。

トラップ型だと、ガスが通り抜ける部分の面積とガス流量から決まるガス速度が、1~2m/sになるようにしておくと良いでしょう。

配管設計という点で見ると、口径が大きくなってコストが上がるので敬遠しそうになりますが、他の集塵装置と比べると安価なので、導入を検討する価値はあります。

参考

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最後に

アナログな集塵装置としての慣性力集塵について解説しました。

T管のように流れを変えてガスと粉を分離します。

衝突型・トラップ型・反転型などがあります。

圧力損失が問題となるので、流速の適切な設計が必要となります。

本格的な集塵装置の手前に付けて、前処理的な位置づけで設置すると良いでしょう。

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