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ライニングとコーティング:化学プラント装置の保護技術入門

保護膜被膜 材料
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化学プラントの装置は、過酷な環境にさらされることが多く、腐食や劣化を防ぐための保護が欠かせません。その代表的な方法が「ライニング」と「コーティング」です。しかし、この二つは似ているようで異なる役割や特徴を持ちます。

本記事では、化学プラント装置の保護技術としてのライニングとコーティングの基本をわかりやすく解説し、適切な選択や施工のポイントを紹介します。

1mm程度の世界の話ですが、安全安定運転を大きく左右する大事な要素。特に分かりやすく理解しておきたい個所を、7つ絞り込んで解説します。プラント設計以上に保全で役に立つことが多いでしょう。

塗装

塗装は立派な保護膜の1つです。

色を付けて景観・美観を良くするというのも立派な目的の1つですが、保護膜としての目的もあります。

鉄が空気に触れて錆びることを防止します。

錆止め塗装などという表現で、炭素鋼やSGP管の表面に塗るということはごく普通に行います。

化学プラントでは多数の設備や配管に塗装をするので、塗装だけでもかなりの仕事になります。

ステンレスには塗装をしないというだけでも、気が楽になります。

塗装は配管など幅広く使います。

メッキ

メッキは塗装よりも保護目的を強くしたもの、というイメージで良いでしょう。

溶融亜鉛メッキがあまりにも有名。

どぶ付けメッキというくらいで、溶融した亜鉛液体の中に金属を入れて表面に膜を付けます。

塗装は人が刷毛で行うことが多いですけど、メッキは機械で行います。

化学プラントでは設備の床・SGPWなどの配管材質・電気ダクトとして登場します。

鉄でも良いけど、ちょっと耐食性を上げたいという場合に便利です。

内容物に対する耐食性よりは、外気に対する耐食性を上げて寿命を延ばしたいという狙い。

その気になれば、無くても何とかなってしまうのでは?と思ってしまいます。

メッキは床やダクトなどの亜鉛メッキとして使います。

溶射

溶射は金属表面に別の金属を吹き付ける方法です。

メッキが亜鉛、溶射は亜鉛以外

くらいのざっくりとした理解をしています。

亜鉛以外の金属でも保護膜として使えるので、例えば強度を上げる目的を付与することができます。

化学プラントでは回転部や接触部といった強度が求められる部分に使います。

ポンプなどのシャフト・ろ過器などの搔き取り羽根の部分的に、高級な金属を溶射して強度をアップさせます。

ちょっとした工夫のように見えますが、これがあるとないとでは寿命に結構な差が出ます。

もちろん高価です。それても適切に選べば効果はあります。

逆に溶射をせずに、定期的に部品を交換すると決めてしまえるケースもあるでしょう。

溶射は強度アップ目的で回転部や接触部にときどき使います。

ライニング

ライニングと次にあげるコーティングはあまり使い分けをしなくてOKです。

どちらも金属表面に金属や非金属の薄い膜を付けます。

違いは厚み

ライニングの方が厚くて、コーティングの方薄いという使い分けがあるようです。

化学プラント的には、グラスライニング・フッ素樹脂ライニングという2大ライニングがあまりにも有名。

どちらも炭素鋼の耐酸性材質を大きく向上させる頼もしい設備です。

グラスライニングが1~1.5mm程度の厚みであるということは、化学プラントのエンジニアなら機械系に限らず知っておきたいですね。

ライニングは耐酸性アップ目的でグラスライニング・フッ素にとても良く使います。

コーティング

コーティングはライニングより薄い厚みです。

ライニングよりも不安感があります。

化学プラントではほとんど使いません。

一部のフッ素樹脂系に使っている場合がありますが、

「コーティングか・・・不安ですね」

という印象を持ちます。

コーティングはあまり使いません。

クラッド

クラッドは金属同士を物理的につなぎ合わせます。

膜というカテゴリには当てはまらないくらい、厚いです。

ライニングよりも厚いと考えて良いでしょう。

化学プラントでは大型のステンレス反応器などに使います。

これは完全にコスト目的。

ステンレスの板で30mm程度の圧力容器を作ろうとしたら、非常に高価です。

これに対して26mmくらいは炭素鋼・接液部の4mmくらいをステンレスで作ろうとしたときにクラッドという方法を取ります。

一昔前は爆着がとても流行ったのですが、溶接で付けることも多くなってきました。

クラッドはステンレス反応器などのコスト目的で使用します。

その他

上記のほかにも、保護膜的な機能を持つ方法があります。

化学処理と酸化被膜を取り上げます。

化学処理も保護膜を付ける方法の1つです。

プロセス反応的にはイオン交換処理を扱うことがあります。

ただし定期的な洗浄・再交換といった処理が必要で、設備の保護という意味から少し外れます。

酸化被膜は錆と捉えても良いです。

錆自体は鉄の腐食が進行していくのを止めるために、役立っています。

その錆が剥がれるたびにさらに錆ができていき、鉄の厚みが減っていって最終的にはピンホール。

そうならない限りは立派な保護膜です。被膜という方が良いでしょうか。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントの装置保護にはライニングとコーティングが欠かせません。どちらも腐食や劣化から装置を守る役割を果たしますが、その特徴や適用範囲は異なります。設備の耐用年数を伸ばし安全に運転を続けるために、正しい知識と適切な施工を理解することが大切です。

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