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化学工学

粉体製品の品質は晶析で決まる!設備と条件を変えてはいけない本当の理由

晶析条件変えない 化学工学
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化学プラントで粉体を製品として取り出す工程において、「晶析」は非常に重要なプロセスです。しかし、この晶析という工程は、ちょっとした運転条件の違いや設備の差で、製品品質が大きく変化してしまう繊細なものでもあります。晶析により粉体を製品として取り出すプロセスでは、晶析は条件を変えてはいけない最重要ポイントです。

機電系エンジニアの中には、化学工学的な理解が浅いまま設備導入や保全に携わるケースもありますが、晶析に限っては設備や条件を「変えない」ことが品質維持に直結します。

本記事では、なぜ晶析で設備・運転条件の変更がNGなのか、その理由と注意点を解説します。

粉体が最終製品

化学プラントでは粉体が最終製品という場合が結構あります。

液体が最終製品の場合も多いですが、液体でなければ固体すなわち粉体と言っても良いくらいです。

プラント内では多くの液体を使って、液体の状態として反応をさせていきます。

これを粉体にするためには、晶析というプロセスで結晶を取り出す必要があります。

その後に、濾過をして固形分を取り出し、必要に応じて乾燥させます。

粉体を取り出すには、晶析→濾過が必要

晶析で粉体物性が決まる

晶析は、液体の状態から固体を取り出すプロセスです。

固体化させる操作が晶析なので、晶析で固体の性質が決まると言っても過言ではありません。

粉体物性としては、メジャーなもので色目・粒径・傘密度・流動性などの目に見えるものから、組成・化学的性質など目に見えないものまで、さまざま。

これらの性質に対して品質保証として合否判定がなされます。

製品である粉体の性質を決める晶析は、プロセスの最重要部分と言っても良いでしょう。

運転条件や部品は同じものを

晶析で大事なことは、運転条件を変えないということです。

液量・温度・圧力・装置サイズ・撹拌回転数など多くのモノは、決められた状態からズレてはいけません。

液量・温度・圧力は運転条件だけでほぼ決まりますが、装置のサイズ・回転数は装置で決まります。

例えば、装置が壊れたからと言って、大きさが少し異なる別の装置や部品を使ってはいけません。

大きさに合わせて量を調整しても、上手くいくとは限りません。

部品の形状が少し変わるだけで、晶析の条件が変わる可能性があります。

撹拌回転数を変えるなど、持ってのほかですよね。

設備が壊れたからと言って替えが効きにくいからこそ、保全としては日々の点検と計画的な更新が必要となります。

設計でも、最新の設備を安易に導入できるわけではなく、昔ながらの装置が求められたりします。

異物はNG

晶析では異物が入ってはいけません。

製品に異物があると当然駄目ですよね。

その異物はプロセス中のどこからでも入る可能性があります。

ある部分では許容できても、他の部分では許容できない。

粉体製品の場合には、プロセス後半にある晶析からが異物を入れてはいけないポイントになります。

設備の気密性が求められるので、気密試験など漏れが無いことをチェックしましょう。

部品交換などをする場合には、組付け前にしっかり清掃・吹き上げをしましょう。

油で洗浄する場合には、その油の組成を明確にしておく必要があります。

かつ、それが異物として問題になるかどうかを、生産開始前に確認しておきましょう。

後々になって、異物として検出された場合には、大問題になります。

参考

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最後に

晶析は、化学プラントの中でも最も運転条件や設備変更に敏感な工程です。粉体の品質を決定づけるこのプロセスにおいては、

  • 条件変更は極力避ける
  • 装置は壊れる前にメンテナンス
  • 設備交換時も同一仕様を守る

といった運用の徹底が不可欠です。晶析ではとにかく運転条件を変えてはいけません。

プラント設計・保全の現場でも「晶析装置」と聞いたら警戒レベルを一段上げる意識が必要です。晶析の理解があるかどうかで、プロセス全体の品質と安定稼働が大きく変わります。

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