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化学工学

なぜ貧溶媒晶析の前に蒸留(濃縮)が必要なのか?装置構成から考える化学工学の基本

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濃縮は晶析の前 化学工学
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貧溶媒を使った晶析プロセスでは、晶析の前に蒸留(濃縮)を行うケースが非常に多くなります。
これは「そういう設計が多いから」ではなく、プロセス上ほぼ必然的にそうならざるを得ない理由があります。

結晶を取り出すという一見シンプルな操作の裏には、
・液量
・装置サイズ
・溶媒回収
といった現実的な制約が強く関係しています。

この記事では、貧溶媒晶析において蒸留(濃縮)が前段に入る理由を、装置構成やプラント設計の視点から整理して解説します。複雑な化学プロセスを何となく理解しようとしたら、最初にこういう分かりやすい部分から手を付けていくと良いでしょう。

濃縮と晶析

濃縮が晶析の前に必要な理由を見てみましょう。化学プロセスの反応で、製品である固形分ができたとしましょう。

このとき、固体として目に見える形で現れる析出をしているわけではなく、溶媒である液体に溶けていることが多いです。この状態では、結晶を取り出すことはできません。溶けていますからね。。。

そこで、結晶を取り出すためには、溶媒の入れ替えを行います。その溶媒は結晶を溶かさない性質が最初に求められます。貧溶媒と呼びます。

反応をした後のプロセス液は、過剰な溶媒に結晶が溶けている状態です。ここに貧溶媒を加えても、結晶が出るまでには膨大な液量が必要です。タンクや反応器の容量が相当大きなものとして必要になるでしょう。

そのために、貧溶媒を入れる前に濃縮が必要となります。

貧溶媒

濃縮蒸留をして過剰な溶媒だけを抜き取り、そこに貧溶媒を加えてから、晶析します。蒸留でなくて濾過などで結晶だけを取り出す場合もあるでしょうが、濾布が細かいものが必要になるなど、一定の条件が必要です。蒸留により液体である溶媒だけを抜き出すというのは、手堅い方法でしょう。

プロセスの固定化

化学プラントの装置という点では、粉体を取り出すプロセスでは、以下の装置が固定化されることになります。

プロセス固定化

濃縮や晶析は反応器で行い、濾過乾燥は専用装置で行います。

粉体で取り出すプラントだと濾過乾燥装置回りがどこにあるかをチェックして、その手間の装置では濃縮や晶析を行っていて、プロセス的に変更が効かない重要な装置であるという認識ができます。

濾過乾燥は専用装置なので一目でわかっても、反応器は似たものがいっぱいあって分かりにくいでしょう。濾過乾燥の装置の近くにある反応器が、濃縮や晶析である確率はとても高いので、そういう目で見てみると運転やプロセス設計の思想に触れることができるでしょう。

濾過で取り出した液体である濾液から再利用できる溶媒を回収するために蒸留をしたり、乾燥で蒸発した液体を再利用するということも考えられます。もちろん濃縮によって得られた液体は再利用する可能性が高いです。

液体のリサイクルという蒸留の目的を考えると、晶析前の濃縮は重要な要素ですね。

濃縮と晶析はセットの場合も

濃縮と晶析を分けて考えましたが、1つの反応器で同時に実施する場合があります。特殊な例ですが、無くは無いです。

  • 元の溶媒を濃縮することは可能だが、濃縮しすぎるとスラリーが濃くなってポンプで送れなくなるかも知れません。
  • 溶媒を濃縮しても、貧溶媒をかなりの量投入する必要があるかも知れません。

この辺のギリギリの部分を狙うために、蒸留をしながら貧溶媒を足していくという方法があります。貧溶媒も蒸留される可能性があるので、貧溶媒の性質と蒸留の運転条件をしっかり決めないといけません。

参考

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最後に

貧溶媒を使った晶析プロセスでは、晶析の前に蒸留(濃縮)を行うことがほぼ必須になります。

これは経験則ではなく、
・液量の問題
・装置サイズ
・溶媒回収
といった現実的な制約から導かれる必然です。

粉体製品を扱うプラントでは、濃縮・晶析・濾過・乾燥が一連の専用工程とて組み合わされます。
濾過乾燥装置を起点にプラントを眺めると、プロセス全体の構成が理解しやすくなるでしょう。

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