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運転

冷水は化学プラントで重要な冷却源

チラー水 運転
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チラー水(cold water)について解説します。

化学プラントの運転上とても大事なユーティリティの1つです。

プロセス反応の温度制御のメインを担当するのがチラー水。

チラー水の大小は、運転を左右する重要な要素となります。

機電系エンジニアは、ユーティリティの能力設計に関わる機会が少ないので、単に冷凍機として認知することも多いでしょう。

この場合でも、冷凍機だけしか考えずに、システムとして考えない人がかなりいます。

この記事を読めば、チラー水やそのシステムについて概要を理解できます。

そのうえで、冷凍機など具体的な設備の検討業務にあたると、習得できることが増えていくでしょう。

チラー水(cold water)とは

チラー水と化学プラントの場合は「冷凍機で冷やした水」の意味で使います。

温度的には5~10℃程度冷たい水です。

チラー水のことを冷水と呼ぶこともあります。

循環水を冷却水と呼ぶことがあって、冷水と冷却水の違いが分かりにくくなるので、個人的にはチラー水がおススメの表現。

化学プラントでは水と言っても、いろいろな温度で使い分けをします。

チラー水の作り方

チラー水は冷凍機を使って生成します。

簡単なフローを示しましょう。

チラー生成(cold water)

チラー水は、常温の水を冷凍機によって冷たい水に変えることで生成します。

常温の水 → 冷たい水

ということで、常温の水や冷たい水を貯めておくタンクが必要となります。

常温の水を入れたタンクから冷凍機に水を送って、タンクに戻す循環運転をします。

循環運転を続けていくうちに、所定の温度まで冷やし込んでいきます。

最終的には、以下のいずれかの条件で落ち着くでしょう。

  • 冷凍機に入るチラー水の温度が一定値以下に到達
  • ポンプ入熱 + 外気入熱 = 冷凍機除熱

冷凍機では故障しないように、各種状態の監視をします。

このうちの1つにチラー水の温度を監視する機能があります。

チラー水接続口に温度計を設置しておき、一定値以下の温度になれば冷凍機を止めます

そのままチラー水を放しておくと、プロセスの熱や外気の熱を吸収して温度が上がっていきます。

チラー水の温度が一定値以上になれば、冷凍機は再起動

on-offの制御が掛かります。

普通は冷凍機の制御の都合で止まりますが、仮に制御が利かない(もっと低温まで冷やすことができる)としても、どこかで止まります。

それがポンプや外気の入熱。

ポンプの入熱は防ぎようがありませんが、外気の入熱は保温を付けることで対策が可能です。

冷凍機の運転中でも、せっかく冷やしたチラー水が外気で温まってしまっては、目的の冷却用途に使えません。

熱ロスです。

チラー水(cold water)の使用先

チラー水は化学プラントの場合、プラントで発生する熱を奪う冷却目的で使用します。

チラープラント(cold water)

生成したチラー水を、チラータンクからプラントに送ります。

プラントで熱を吸収して温まったチラー水は、再度チラータンクに返ってきます。

化学プラントでは例えば熱交換器などでプロセス液を冷やすために、チラー水を使います。

チラープロセス

主な工程と設備で分類すると、以下のような感じになります。

設備工程
熱交換器蒸留、反応、吸収
反応器反応、冷却、抽出、吸収
真空ポンプ吸収

熱交換器ではチラー水は確かに使いますが、いきなりチラー水を使うことは少なく先に循環水を使ってある程度冷却します。

というのも、蒸留であれば100℃を越えるプロセスに対して、5~10℃の水で冷却すると冷凍機に負担が掛かります。

先に冷水塔の循環水である30~40℃の水である程度まで冷やしてしまって、次に5~10℃のチラー水で冷やします。

そのため熱交換器は1段ではなく、2段直列で使用するケースが多いです。

2段冷却

反応器でも基本は同じです。

多様な用途で使うために、冷水以外と切替で使用することが多いでしょう。

真空ポンプはポンプの熱や吸収熱を奪うために使います。

特に水封式真空ポンプは水の温度が性能に直結しますので、積極的に冷やします。

ポンプの水自体にチラー水を使う場合もあれば、熱交換器で冷やす場合もあるでしょう。

冷凍機の配置

チラー冷凍機の配置はチラータンクとの関係で直列と並列の2パターンが考えられます。

直列

直列パターンは、チラータンクから冷凍機に送り、冷凍機で冷やされたチラー水をそのままプラントに送る方法です。

直列

連続的に安定したチラー水を供給する場合に向いています。

ただし、負荷が安定しない場合や起動初期には「冷え切っていないチラー水」がプラントに供給されてしまいます。

反応初期に発熱量が高い工程が多い場合には、採用すると危険です。

並列

並列パターンは、チラータンクを中心に「冷凍機で冷やす」ことと「プラントに送ることを」並列します。

並列
  • プラントには冷たいチラー水を送る
  • プラントから帰ってくる水は暖かいチラー水
  • 冷凍機には温まったチラー水を送る
  • 冷凍機から帰ってくる水は冷たいチラー水

この関係を意識して仕分けるためには、タンク1台で中に仕切りを設けるか、2台目を設置するかという選択が出てきます。

設備投資は若干増えますが、負荷変動には強くなります。

バッチ向きです。

チラー水(cold water)の注意点

チラー水に関する注意点を、簡単に紹介しましょう。

チラータンク

チラータンクはいくつも設計すべき項目がありますが、チラー水という意味で特に大事な部分に絞ります。

容量はプラントで使用する設備のサイズから決定。

材質はSS400もしくはSUS304。

SS400だと腐食の可能性が高く長期使用には向いていません。SUS304が無難です。

溶存酸素低下を目的に窒素を使う手もあります。

薬液管理も重要です。チラー水は長時間使うので、腐っていきます。

チラーポンプ

チラーポンプは渦巻ポンプを使うのが一般的です。

大容量・漏洩が気にならない・高効率・回転速度が低い・・・というメリットがあるからです。

エアコン向けなど特殊な場合には、キャンドポンプなどのシールレスポンプを使う方が良いでしょう。

チラー水はとても重要な冷却源なので、停電が起きても動かせるように非常用発電機に接続しておくと安心です。

冷凍機

冷凍機はユーザーで決めることや取れる対応があまり多くはありません。

昨今では空冷の冷凍機が省エネ視点で流行っていますので、積極的に活用していきましょう。

参考

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最後に

化学プラントでのチラー水の使い方と注意点をまとめました。

チラー水は水を冷凍機で冷やして5~10℃程度にした冷水です。

化学プラントの熱交換器や反応器などで多用します。

冷凍機との配置やタンク・ポンプで設計的な配慮が多少必要です。

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