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機電系エンジニアの業務実態:化学工場での典型的な1日の流れ

オーナーエンジニア業務 キャリア
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化学工場の設備設計や保全を担う機電系エンジニアは、どのような1日を過ごしているのでしょうか?
工場勤務と聞くと「現場仕事」や「ルーティン業務」のイメージが強いかもしれませんが、実際の業務は想像以上に多岐にわたります。

本記事では、化学プラントに勤務するエンジニアの典型的な1日の流れを紹介し、仕事内容や時間の使い方について解説します。

私の独断と偏見で、機電系エンジニアの実務で割いている時間の大きいものから順番に並べてみました。触れる情報量が多いほど、想像がしやすいのではないでしょうか。

いろいろな人の話を聞いたり見たりするのが、就職活動では特に大事だと思います。

ユーザー機電系エンジニアのざっくりとした仕事

化学プラントの機電系エンジニアの仕事を流れに沿って紹介します。

  1. 化学設備のプロセス設計
  2. プロセス設計の要求を満足する装置の基本スペック設計
  3. 基本スペックを基に装置メーカーへ製作依頼
  4. 周辺配管の基本設計
  5. 周辺配管図の作成指示
  6. 現地工事のスケジュール作成と調整
  7. 現地工事完成時の官庁検査対応
  8. 現地工事完成後の機器単体試運転
  9. 商業運転開始時の初期不具合対応
  10. 商業運転開始後の設備トラブル対応

これらの仕事を1~2年掛けて行います。

大きいものから小さいものまで数はさまざま。

複数の仕事を並行処理していきます。

SDMをターゲットとして長期的な視点で仕事をしてき、時間経過とともにフェーズが進んでいきます。

SDMが複数の時期に分かれていると並行処理すぎて、混乱する人もいるくらい。

あれ?この仕様書はA工場の来年のSDM向けだったっけ?

違いますよ。今年のB工場のSDMです。来月しますよ。

機械設備設計エンジニア

機械設備設計エンジニアの実務TOP5を紹介します。

第1位 会議

第1位は会議です。

冗談のように見ますが、本当に会議に一番時間を取られています。

ひどい時には、1日8時間勤務のうち、6時間程度が会議ということもあります。

1つの会議が1時間で6つの会議というケースです。

1か月に1回くらいはこういうパターンがあります。

平均的には1日2時間くらいが会議に時間を取られます。

当然ながら、結論なんて出ない会議。

休み時間だと思うしかありません。

作業服を着た人たちの会議のイラスト(真剣)

第2位 図面チェック

第2位は図面チェック

オーナーエンジニアっぽいですよね。

頻度としては設備メーカーの作成した機器図が9割以上です。

設備メーカーの機器図は、1か月に10枚くらいはチェックします。

1枚当たり10分もあればチェック可能です。

SDMが1年に1回で決まっていて定例の仕事をしている場合は

機器図チェックは1年のどこかの時期に集中します。

バッチ系化学プラントでSDMが分散化されている場合、設計スケジュールがバラバラなので、どの時期でも機器図をチェックするコンカレントな状態になります。

機器図以外にもP&IDや配管図もチェックします。

こちらは機器図よりは頻度は低いですが、時間は掛かります。

1日~2日じっくりと眺めることも普通にあります。

慣れれば1時間程度で20枚くらいの配管図を6割はチェックも可能ですが、かなりの高スキルが要求されます。

建築家のイラスト(女性)

第3位 電話

第3位は電話です。

最近は電話の頻度も下がってきていますが、絶滅はしていません。

1日に1~2回は電話をします。0回という日もたまに発生します。

頻度が少ないわりに1回あたりの電話時間は長くなっています。10分~15分くらい掛かります。

それだけ、込み合う内容だけを電話で処理し、簡単な内容をメールやチャットで処理しているということです。

そういえば、対面で話したときについつい雑談をするのと同じ感覚で、電話で雑談をすることも増えてきていますね・・・。

電話をする会社員のイラスト(女性・笑顔)

第4位 情報収集

第4位は情報収集

若手のうちは、これが第1位~2位にランクされることもあるでしょう。

カタログ・メーカーHP・設計図書・過去のトラブル情報や設計情報・社内外の基準・社内イントラ検索・メーカーヒアリング・他部門エンジニアへのヒアリング

これらの手段を使いこなして情報を集めるためには、時間が掛かります。

体系的な情報としてまとまっていないので、どうしても時間が掛かります。

ここを整理するだけでも、エンジニアの生産性は大きく向上するのですが。

会社として真剣に考えて実行しているところは、非常に少ないでしょう。

これをシステマチックに構築できている会社は極めて優秀な会社と言えますよ。

第5位 仕様書作成

第5位に仕様書作成です。

仕様書は設備を購入するために必要です。

設備購入はプロジェクトで必須ですので、作業として時間が取られます。

ここまでで「設計書」って出てこないですよね?

そうです。

設計書はTOP5には入っていません。

もっと下位にランクされています。

機械設備設計エンジニアなのに設計書を書かない

こう皮肉をされても否定できません・・・。

これがオーナーエンジニアの実態でしょう。

機械設備保全エンジニア

機械設備保全エンジニアの実務TOP5を紹介します。

第1位 現場打合せ

第1位は現場打合せです。

毎日の勤務時間で、朝と昼に1回は必ず現場に行きます。

現場での打合せは、多くの施工会社と打合せします。

これが結構なロスになります。

1人当たり1~2分程度の会話も、人数が集まれば10分程度の会話になります。

現場の移動時間も1往復で10~20分掛かります。

その後、現場のパトロールをすると10分くらいは消費します。

1回現場に行くだけで、会話10分+移動10分+パトロール10分=30分。

1日2回現場に行くと、30分×2=1時間

8時間のうちの1時間と考えると、結構のロスですよ。

作業員のリーダーのイラスト(男性)

第2位 工事依頼書作成

第2位は工事依頼書の作成です。

製造部が日々の設備トラブルの情報を収集して、機械設備保全エンジニアに依頼してきます。

機械設備保全エンジニアはこれを「工事依頼書」という形で書類にします。

書類の作成が業務内容ですが、実務上は現場調査に時間が取られます

製造部の依頼内容が口頭やメールなどで状況が良く分からないから、現場を見て適切な工事内容を考えないといけません。

製造部の人間を捕まえて、状況をヒアリングすることも多いです。

ほぼ毎日この業務に時間を割いています。

パソコンを使う作業員のイラスト(男性)

第3位 検査立会

第3位は検査立会です。

現場の設備トラブルがあると修理しないといけませんね。

この修理が完了した証拠として、検査をしないといけません。

気密検査や撹拌検査が多いです。

検査は修理工場で行う場合もあれば、生産現場で行う場合もあります。

バッチ系化学プラントの場合は修理工場で検査を行うことが多いです。

検査の時間になれば、修理工場に行き立ち合います。

検査自体は5~10分で済みますが、何だかんだ話をしているとあっという間に30分くらい経ちます。

1週間に数回のレベルであるでしょう。

シャッターの点検のイラスト

第4位 トラブル報告書作成

第4位はトラブル報告書作成

1か月に1回あるかないかのレベルです。

設備で大きな問題が起きると、その報告書を作らないといけません。

  • 運転条件
  • 設備点検結果
  • 推定故障原因
  • 応急対策
  • 恒久対策

故障原因や対策を考えるのに時間が掛かります。

というのも、自分では判断できないから。

必ず第三者の判断を仰がないといけません。

故障原因を詰めるには、整備員に話を聞かないといけないし

恒久対策を詰めるには、設備メーカーに話を聞かないといけません。

彼らが四六時中、対応してくれるわけではありません。

その情報収集に時間が掛かってしまいます。

製造部の人間とは毎日顔を会わせるので、タイムリーなやり取りができますが、第三者が入ると1クッション以上の時間差ができます。

割く時間としては大したことがないように見えますが、相手も忙しいためにやり取りを忘れているということが往々にしてあります。

実時間としては催促に時間が取られています。不毛な時間です。

第5位 SDM資料作成

第5位にSDM資料作成です。

1年に1回~2回ですね。

書類を積み重ねていく仕事なので、時間は掛かります。

ある程度慣れていても半月~1か月は実時間でも掛かります。

準備期間全体としては4~5カ月。

設備保全エンジニアの中でも、唯一といって良いくらいの計画的な業務です。

残りの業務はほぼ全て無計画・突発の対応。

振り回されてしまい体力や精神力を浪費してしまうのが設備保全エンジニアの辛いところですね。

関連記事

プラントエンジニアの仕事についてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ヨッシーさんの【4直2交替 朝勤編】ずっと現場?化学メーカーの交替勤務オペレーターの1日の仕事の流れ。も参考にしてください。

最後に

機電系エンジニアの1日は、現場とデスクワークを行き来しながら進行していきます。
ルーティン作業というより、複数の案件を並行して対応することが多く、「現場対応力」「調整力」「論理的思考力」が求められます。

このような日常の積み重ねが、工場の安定操業や改善活動を支えているのです。

これらを省力化することこそが業務効率化の本質でしょう。

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