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化学機械

渦巻ポンプの基本設計方法|プラント初心者向け

渦巻ポンプ基本設計 化学機械
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化学プラントの渦巻ポンプを設計(centrifugal pump)するときの考え方をまとめました。

プラント機器設計の基本であるポンプの中でも、基本である渦巻ポンプ。

要点をしっかり理解しておきたいですね。

初心者はプラントエンジニアとして仕事ができるか不安になるでしょうが、この内容が分かれば一歩前進です。

ポンプは化学プラント設備の基本です

渦巻ポンプ(centrifugal pump)の用途

機器を設計するためには用途を明確にしないといけません。

渦巻ポンプを選定するための用途としてバッチ系化学プラントでは以下のような例が多いです。

  • ユーティリティ液(水・冷却水・循環水・温水)
  • プロセススラリー液

ユーティリティ送液用のポンプは一般に大型が多いです。

モーター動力で37kW以上の物も普通にあります。

渦巻ポンプはシールレスポンプよりも効率が高いことが特徴の1つ。

大容量のポンプほど渦巻ポンプを選びたいものです。

ユーティリティであるがゆえに多少漏れたとしても大ごとにはなりません。

常時運転をするユーティリティポンプに対して、スタンバイ予備機と切替運転をする場合にも渦巻ポンプは役に立ちます。

渦巻ポンプは空運転や締切運転に強いからです。

逆にシールレスポンプが弱いという方が正しいですが・・・。

プロセススラリー液はスラリー濃度・耐食性・閉塞などの問題で渦巻ポンプを選ぶことが多いです。

ポンプ設計という意味ではやや例外ですね。

材質

渦巻ポンプではいろいろな材質を選定できます。

  • 鉄(FC・FCD)
  • ステンレス(SCS13,14)
  • 高耐食性(ハステロイ)

ユーティリティポンプなら鉄やステンレスが一般的です。

純粋な水で常温ならでOKです。

100℃近くの高温0℃以下の低温だとステンレスにする方が良いです。

プロセススラリーではステンレスもしくはもっと上の高耐食材料を選定しましょう。

流量

流量はユーザーのニーズで決めるのが普通です。

ユーティリティだと工場内の供給先を積み上げたり、冷凍機の能力で決まったりします。

プロセススラリーだとタンク内の液量・フィード時間で決めますが、100~200L/min程度で十分です。

揚程

揚程は配管摩擦損失計算とほぼ同義ととらえる人もいるでしょう。

実際には標準流量で配管口径設計をするので、配管摩擦損失は無視可能なケースが多いです。

送液高さや付属品の圧力損失の影響の方が大きいでしょう

軸封

軸封は普通はメカニカルシールにします。

フラッシングも含めて、渦巻ポンプの設計要素の中でもかなりの部分を占めます。

型式

渦巻ポンプで型式として影響がある仕様を紹介しましょう。

横型・竪型

渦巻ポンプの型式として最も大事なのが見た目である横型竪型の違い。

基本的には横型を選びます。

これは容量・効率などバリエーションが多いのが横型だから。

竪型にするのはスラリー系など限定されています。

遠心

渦巻ポンプはターボポンプという分類の1つです。

渦巻ポンプを選んでいる段階でターボポンプの他の選択肢を排除していることになります。

ターボポンプにも遠心・軸流・斜流という3つの分類があって、渦巻ポンプは遠心ポンプの1つであることは認識しておきたいことです。

吸込

渦巻ポンプは片側吸込み・両側吸込みという2パターンがあります。

バッチ系化学プラント程度の小さな工場では標準的な片側吸込みでOKです。

インペラ

インペラはクローズド・セミオープン・オープンの3種類があります。

  • クローズド  効率が高い
  • オープン   インペラでの詰まりが少ない
  • セミオープン クローズドとオープンの中間

ユーティリティポンプとして渦巻ポンプを使う場合は、クローズド一択です。

閉塞する要素が無く効率が高いので、ニーズにピッタリ合います。

プロセススラリーならオープンセミオープンを選ぶと良いでしょう。

ディヒューザー

ポンプの吸込口にディヒューザーを付ける場合があります。

これはキャビテーションの防止目的。

NPSHがあまり取れず液温が高い場合には、キャビテーションが起こりやすいです。

どうしようもない場合にディヒューザーを付ける選択肢は持っておきたいです。

吐出

渦巻ポンプは吐出の位置も選択肢にあります。

上向きに吐出するとしても、ケーシングの中央なのかなのかという選択肢があります。

これはメーカーによって差があります。

段数

渦巻ポンプのインペラは何段にも直列で繋げることが可能です。

その分だけ揚程を高く取ることは可能です。

バッチ系化学プラント程度の小さな規模なら単段(1段)で十分です。

潤滑

渦巻ポンプの潤滑はオイルバス式とグリース式がありますが、オイルバス式が一般的です。

これは環境温度やシャフトの回転数などの影響もありますが、スタンダードなのはオイルバス式です。

ポンプベース

渦巻ポンプはコンクリート基礎上にそのまま置くのか鋼製チャンネルベースの上に置くのかという選択があります。

これはポンプの設置階やプラントの構造に依存するでしょう。

ポンプベースをメーカーに手配してもらうか自作のチャンネルベースを作るかは、設計上の好みの問題です。

据付ボルト

据付方法としてアンカーボルトホールインアンカーがあります。

動力によって使い分けることが多いでしょう。

電気

ポンプの電気関係の設計項目を紹介します。

動力

動力はモーター動力のことを一般には指すでしょう。

水動力自体はユーザーでも計算可能ですが、ポンプ効率が分からないためモーター動力の設計はユーザーにはできません。

  • 水動力    : \(P_w=0.1ρgQH\)
  • 軸動力    : \(P_p={P_w}/{n_a}\)
  • モーター動力 : \(P={P_p}/{n_b}\)

という関係性があります。

\({n_a}\)がポンプ効率、\({n_b}\)がモーター効率です。

密度\(ρ\)・流量\(Q\)・揚程\(H\)だけでは動力は決めれません。

まぁ、ある程度の推測は可能ですけど。

電圧

電圧は工場なら200~400Vが一般的でしょう。

電力ロスを避ける意味でも、電圧が高い方が好ましいですね。

極数

極数は2P・4Pの2ケースがあります。

2Pの方が回転速度が高くなるので、寿命が短くなります。

渦巻ポンプなら4Pを標準とするのが良いでしょう。

相数

相数は三相かご型誘導電動機を標準として、3が良いでしょう。

周波数

周波数は関東なら50Hz、関西なら60Hzですね。

防爆

化学プラントで電子機器を使う場合は防爆が欠かせない要素です。

安全増防爆と耐圧防爆の2ケースがあります。

  • 安全増防爆 : 短納期、安価
  • 耐圧防爆  : 長納期、高価

というイメージがありましたが、近年では安全増防爆の長納期化が進んでいます。

耐圧防爆を標準にするくらいでちょうどいいでしょう。

ユーティリティポンプなら場所さえ選べば非防爆のモーターも選定可能です。

大容量のモーターとなる場合が多いからこそ、非防爆を推奨したいですね。

工事設計上は配線引込口の向きが話題になりがちです。

設備更新時に既設のケーブルを転用しようとしたが、引込口が反対の位置に付いていて届かなかったという例ですね。

参考

関連記事

さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントの渦巻ポンプの設計について解説しました。

用途・材料・流量・揚程・軸封・型式・電気

化学プラントの機電系エンジニアの設計の基本とも言える、設計要素が詰まった機械です。

機械力学・流体力学・熱力学など設計要素が詰まった機械です。

機械系エンジニアが最初に習得したい設備です。

基本的な事項をしっかりと抑えましょう。

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