【液封】ボール弁の中に液が溜まる【基本】

配管配管

NEONEEETです。

ボール弁ってすごいシンプルですよね。

シンプルなのはケーシングの構造ですよ。

何か問題があるのですか?

ズバリ液封ですね

この記事は、化学工場の機電系設計者・プラントエンジニアを対象にしています。

この記事を読むと、ボール弁の液封について知ることができます。

ボール弁には液が溜まる

ボール弁は液が溜まる構造です。

下の図を見てください。

これは典型的なボール弁の図面です。

下の図の赤丸の部分に液が溜まります。

これをポケット部ということもあります。今回はポケット部という表現で統一します。

ボール弁の前後に液がある状態でボール弁を開閉すると、必ずポケット部に液が溜まります。

液がない状態でボール弁を開閉しても、当然ながら液は溜まりません。

このポケット部はゲート弁にも存在します。

液封は恐ろしい

液封は非常に恐ろしいです。

液封で起こることを解説しましょう。

温度膨張

下の図を見てください。

上が常温の物体、下が少し温度を上げた状態です。

温度を上げると物体は伸びます。

温度膨張と言います。

体積圧縮

物体を押すと、物体は縮みます。

圧縮力を加えるという言い方もしますね。

下の図のとおり。

専門用語で体積弾性率で評価します。

液封時に起こること

液封時には以下のトラブルが起こる可能性があります。

  1. 液体が逃げる場所がない
  2. 液体が温められる
  3. 液体の周囲から液体に向かって、体積圧縮が掛かる
  4. 周囲の強度 < 必要な体積圧縮力 となると周囲が崩壊する

周囲といっているのは、ボール弁ならケーシング・配管なら配管そのものです。

簡単な計算

ちょっとした計算をしてみましょう。

20°の水で考えます。

水は一方向にしか伸び縮みしないと考えます。

温度膨張率:0.2×10-3 1/℃

体積弾性率:2,100 N/mm2

水が5℃温度上昇して25℃になると、

0.2×10-3×(25-20)= 1×10^-3

つまり0.1%伸びることになります。

この0.1%伸びた水を、もとの大きさまで縮めるためには、

1×10-3×2,100=2.1 N/mm2

つまり2.1MPaの力が必要です。

JIS10kのフランジが多いバッチ系化学工場。

1MPaがリミットの力だと考えると

液封状態で2.5℃温度上昇をすると、漏れる

と言えます。

日中の気温変化だけでも2.5℃なんて余裕ですよね。

夜に液封状態になって、昼に破裂。

ということが現実に起こります。

ボール弁の液封対策

液封の起こりやすさが分かったところで、ボール弁の液封対策を紹介します。

「圧力が上がると液体を逃がす」という発想です。

弁座から逃がす

弁座から液体を逃がす方法です。

弁座は一般にはPTFE等の柔らかい材質でできています。

液封で液体の圧力が上がったときは、この柔らかい部分から

意図的に一次側に逃がす

という設計をしています。下の図を見てください。

弁本体のガスケットやグランドが壊れて、外に漏れるよりはマシ

という考え方です。

この場合、弁座のシールが効かなくなるので、二次側の液体が一次側に戻ってくる可能性もあります。

「内通」という時は、弁座がやられるからですね。

スラリー性の液であれば、弁座にスラリーが噛みこむことによっても内通します。

清浄液でも内通が起こるのは、液封が主な理由です。

弁体から逃がす

ボール弁の弁体に貫通穴をあけることがあります。

下の図を見てください。

最近のボール弁はこの「貫通穴」を標準化している会社もあります。

ボールを簡単な球だと思っていたら大間違いで、こういう細工がされています。

最後に

ボール弁は構造がシンプルですが、それゆえに液封の問題が起きます。

運転側で防ぐことはできず、設備側で防ぐしかありません。

ボール弁には液封を防止するための、貫通穴や弁座の構造などの工夫をしています。

目に見えない部分で、メーカーは努力してくれています。

この記事が記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

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