化学会社に勤めて20年。
プラントオペレータは絶対に必要な仕事で、多くの人が応募して、給料も高い仕事。
そんなイメージを持っていましたが、最近「オペレータの仕事が要らなくなってきている」と感じています。
背景に考えることはいくつかありますが、どれも改善する見込みは薄そうです。
オペレータとしてこれから仕事をしようと考えている人は、一度考えてみても良いかもしれませんね。
分かりやすい状況
生産量が少なくなる
生産量が少なくなってくると、オペレータは残念ながら不要となります。
運転をしないのだから、当然と言えば当然。
連続でもバッチでも、年間生産可能日数に対して、生産日数が減って来たら要注意です。
プラント数が多かったり、事業所数が多かったりすれば、別の場所に臨時応援というスタイルも可能です(戦力化しにくいですけど)。
応援できる数が少なければ、オペレータカットの方向に舵を切らざるを得なくなります。
人数を減らして、1日当たりの生産数量を落とす
バッチなら、この選択が可能です。
連続運転ならそもそも人数が少ないので、多少の生産数量ではオペレータの数は変動しにくいです。
その代わりに、製造サイトの数が多いので競争相手が多くなるのが怖い所です。
例えば海外で生産するようになって、日本では生産しなくなるなど、石油化学系が典型例です。
年間の生産日数の実績は、オペレータにとって交代勤務代や残業代という身近な問題だけでなく、将来性を図るためにも重要な情報です。
2024年は日本国内でリストラの話題がかなりありましたので、他人ごととは言えないですね。オペレータがリストラという状況は、かなり後の方の会社として深刻な状況だと思いますが・・・。
投資が少なくなる
投資が少なくなると、注意信号です。
- そのプラントに新しい生産品目を入れる予定はない
- お金をかけて自動化をするほどの価値がない
- 今の人数で生産は十分と思われている
こういう風に、会社は考えている確率が高いです。
プラントを急につぶすにも、オペレータをリストラするにも、ハードルは高いです。
最初は自然減の方向に動きます。
定年退職する人 > 入射する人
という関係をプラント単位や課単位で作りあげていきます。
同じ事業所で、あるプラントは投資が積極的で、別のプラントは消極的、であると「もしかして・・・」と考えても良いでしょう。
逆に、どのプラントも投資がされてない、という場合はもっと危ないかもしれません。
会社に行って自分のプラントだけを眺めるのではなく、周りのプラントで工事をしているかどうかもチェックしていると、この辺が見えてくるかもしれませんね。
間接部門に異動するパターンが出たとき
オペレータが余れば、間接部門への異動が考えられます。
応援やローテーションでは対応しきれなくなると、異動です。
これは会社によってどれくらいの頻度や数で起こるか変わるでしょう。
そのパターンが増える方向になった時は、オペレータが余っていると思って良いでしょう。
明らかな形となってしまっているので、ここで何かをしても結果は変わりません。すでに誰に異動してもらおうか考えが固まっている段階です。
一見分かりにくい状況
連続化が進む
連続化が進めば、オペレータの数は少なくなります。
バッチから連続への転換は実はかなり難しいです。
バッチプラントのオペレータとしては興味がある話ですが、夢物語的な話として認識している方が良いでしょう。
- 生産数量が多すぎる。とにかく作って欲しいと要望される
- プラントを建てる場所が無い
- 危険な反応条件が含まれる
こういった場合に、連続化の可能性が考えられます。
上で述べた「生産日数が少ない」の真逆のパターンとして、考えられるでしょう。
もっとも、この場合はオペレータの人数が少なくなる可能性は短期的には少ないです。むしろ増えます。
その後、10年20年先になって、いっぱい余った!という結果が考えられるでしょう。
その時までオペレータとして仕事をしているかどうか、個人差がありますね。
自動化が進む
自動化を進めようとしているプラントも注意です。
連続プラント化するよりは圧倒的に確率が高いです。
- 作業性の改善
- 生産数量の増加
- 収率の改善
表向きはこういう表現になるでしょう。
「会社が自分たちのことを考えてくれている」
オペレータとしてはこう見えるかも知れません。
このパターンでも、いつかは生産数量が落ちてくるかもしれません。
オペレータの人数を減らすことは、製品の競争力を上げることに繋がってしまいます。
そのためには、プラントの製造管理も生産企画も、人を減らすことは重要なミッションとして考えています。
自動化が積極的に進んでいるプラントは、それはそれで注意しましょう。
新製品がどんどん入ってくるなど特殊なニーズくらいしか、このケースでは安心しにくいですね。
良くも悪くも考えられる状況
安全重視の風潮が強くなる
安全重視の風潮が強くなると、オペレータが余る可能性があります。
オペレータの危険性を回避するために、安全を考えているから良いだろう。
こう思っていると、もしかしたら勘違いかも知れません。
設備の自動化や省力化など一見は何も問題ないとしても、進んでいくとオペレータが余ってしまいます。
仕込作業を1日に2人で必ず行わなければいけないのが、何とか1人(と臨時応援1人)で成立するとなった瞬間に余ってしまいます。
ここを管理者はしっかり見ています。
こちらは、投資をして自動化するという話と同じ側の話。
もう1つのロジックは、
危険な作業だけど、安全を重視しないといけないので、オペレータは若い人の方が良い(年を取るとオペレータは卒業)
というもの。
個人レベルでは、オペレータが余っていると考えてもおかしくはありません。
もちろん、若い人がいっぱい入ってくる確率は高くはないので、
危険な作業が多いが年寄ばかりだと不安なので、海外の若い人を使おう(海外で作ろう)
という話があってもおかしくありません。
参考
関連記事
最後に
プラントオペレータは今後少なくなっていくでしょう。
その中でオペレータが足りないという可能性は少ないと思いがちですが、小さな単位では起こりえます。
生産数量・投資・異動などの形として見えてきます。
オペレータとしては、この情報や周囲の稼働状況は敏感になっていた方が良いでしょう。
その中で、どう振舞うかを考えることができますね。
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