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図面レビューに時間がかかる本当の理由:ユーザーエンジニアの視点から解説

検図に時間が掛かる プロジェクト
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 プラントエンジニアとして日々業務を行っていると、メーカーから「検図まだですか?」と急かされる場面にたびたび遭遇します。図面のレビュー、いわゆる検図には、ユーザー側の事情に起因するさまざまな障壁があります。単なる怠慢ではなく、組織構造や業務の進め方に深く根ざした理由があるのです。
 この記事では、ユーザーエンジニアの立場から、検図に時間がかかる本当の理由を解説します。

検図まだですか?

もう作ってしまいますよ?

大手さんは時間が掛かりますね・・・

 メーカーさんでもしっかりしているところは、ユーザーでの検図に1カ月程度のバッファを見てくれていたりします。図面に期限を書いてくれる場合もありますが、メーカーから届いたときには期限が切れていた、という場合もあるのでメーカー内での出図にも時間が掛かっていることが伺えます。

部署が多い

部署が多いと、検図に時間が掛かります。

機械・電気・計装・土建・プロセス・製造と多くの部署に分かれている場合、それぞれに検図を依頼して、レビューしてもらわないといけません。

これが検図に時間が掛かる最大の理由です。

自分1人で全部チェックできて責任が取れるなら、1日~2日で解決できるものでも、多くの人の力を合わせないといけない瞬間に時間が掛かってしまいます。

担当部署が多いと、間を繋ぐ人が重要になります。

最近はサイロ思考・ポテンヒットの傾向が強く、自分の担当に固執するがゆえに、検図の調整に時間が掛かってしまいます。

本来は綺麗に役割が分かれていて、複数の検図を重ねると一枚の綺麗な検図になるはずなのに、お互いに喧嘩しあうような検図になることもあります。

最悪は、検図上にコメントに対するコメントが派生していくことが起こりえます。

電話や対面で話せば解決するのに、調整を1人に押し付けようとして時間が掛かります。

話し合う時間がとりにくい

部署が多くなると、話し合う時間がとりにくくなります。

仕事が細分化されて、個別の部署に会議や打ち合わせが発生します。

会議を開こうにも、定時には半月先まで会議を入れることができない、なんてことも起こりえます。

図面のデザインレビューなんて格好の言い名前の会議を開くことは、ほとんどありません。

関係者全員が集まって議論することができない以上、個々の担当者に話をしにいくことになりますが、それはそれで時間が掛かります。

複数の仕事を掛け持っている

一定の規模の組織になると、1人の担当が1つのプロジェクトを見ることは非常に少ないです。

複数のプロジェクトを担当し、他の人は別のプロジェクトを担当する。

仕事の掛け持ちが多いので、優先順位もまちまち。

検図を最優先にする人も居れば、優先度が極端に低い人も。

このバランス調整だけでもストレスが溜まります。

いくら時間を掛けても検図をしない人や、催促をしても対応しない人も居ます。

何らかの管理ツールやソフトを作っても、検図以外にも管理する仕事だらけでとても大変。

実績の入力管理と確認だけで毎日30分~1時間くらいかかりそうです。

よほど重要なもの以外の典型的な設備は、検図をそもそもしないという割り切りが必要になってきます。

担当が時間を掛け過ぎている

検図に時間が掛かる要素として、担当が時間を掛け過ぎているということは確かです。

外部から見ると、担当が時間を掛け過ぎていることが検図を遅くしている原因だと考えるでしょう。

現に、同じ組織でも数日で検図が終わる人も居れば、1カ月経っても検図が終わらない人も。

担当者が図面チェックや情報収集に時間を掛けていたり、悩むだけで行動できなかったり、単純に忘れていたり。

何か1つでもコメントして1回目は図面を修正させないといけないものだ、と勘違いしている人も。

2回目以降は1回目の修正確認だけしかしてはいけないのに、またゼロから見て1回目には指摘しなかったことを2回目に指摘する人もいます。

残念ながら、それを支持する上司も居ます。

メーカーサイドで納期が厳しくて、担当から返事が返ってこない場合には、まずは上司に話をしてみることをお勧めします。

結構な割合で解決するはずです。先の2回目でもゼロからチェックすることを支持するような、特殊な人を除けば・・・。

ユーザーから返事が返ってこない場合はメーカーは、①返事が来るまで納期遅延②返事が来ないからユーザーのコメントは無視して製作、のどちらかを取ることになるでしょう。

①だと調達と納期遅延の原因について揉めることになり、②だとユーザーから仕様変更を後で言ってくるリスクがあります。

いずれの場合も、電話でやり取りせずに記録を残して、第三者が分かる形にしておきましょう。

ユーザー側のメーカーに対する対応としても重要です。

参考

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最後に

 図面レビューに時間がかかるのは、ユーザーエンジニアの怠慢ではなく、組織構造・業務負荷・社内調整といった複合的な要因によるものです。メーカー側としては、期限を明確に伝える、進捗を定期的に確認する、必要に応じて上司にも連絡を取るといった対応が有効です。
 双方の立場を理解し、信頼関係を築くことが、スムーズな図面レビューにつながるでしょう。

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