化学プラントの保全(maintenance)担当者は、仕事で電話を鬼のように使います。
設計も保全も使いますが、どちらかというと保全の方が多いです。
電話以外のコミュニケーションツールがあるのに、どうして?って思うかもしれません。
「会社の仕事は電話が基本。いなければメールで。」という古い思考から、抜け切れていない人があまりにも多いからです。
電話を掛ける時間帯に気を付けようというルールが、今でも教育でいわれるくらいですからね・・・。
これは社内だけでなく社外も同じ。
メーカーの営業担当を見ているとよくわかります。
電話のメリットや使う場面を言語化し、コミュニケーションツールを使いこなすことは、これからますます大事になるでしょう。
電話は緊急用
電話をメール・チャットのようなコミュニケーションツールとの比較で考えると、緊急用と言えます。
メーカーに対する催促やクレームにも電話が良いでしょう。
もちろん究極の緊急用は対面です。
対面はセキュリティ的にも礼儀的にも最高レベルです。
逆に対面以外の方法は、対面のメリットを犠牲にしつつデメリットをカバーしようとしています。
そこで対面・電話・メール・チャットの4種類の比較をしてみましょう。
FAX?何ですかそれは?名刺に書いてあるけどよく分かりませんね笑
ツール | セキュリティ | 礼儀 | 時間制約 | 意思疎通 | 記録 | 用途 |
対面 | ◎ | ◎ | × | ○ | × | 面談・精密な打ち合わせ |
電話 | ○ | ○ | △ | △ | × | 緊急連絡 |
メール | △ | △ | ○ | △ | △ | 資料の送付・簡単な意思疎通 |
チャット | △ | × | ◎ | △ | ○ | 瞬間的なログが残る意思疎通 |
当たり前ですが、コミュニケーションツールにはメリットデメリットがあります。
IT関係やオフィスビルで働いている人はこの辺のことを自分なりに比較して把握しているでしょう。
でも、工場系の特に機電系エンジニアはダメです。
同じように建築関係もまだまだダメ。
電話に偏り過ぎています。
それでも大手企業から色々なコミュニケーションツールを導入しようとしているので、徐々に良くなっていくことでしょう。
工場現場など待ち合わせ確認
機電系エンジニアが電話を使うのは、工場現場でしょう。
工事中に施工会社の監督を探したり、現場の人を探したり。
緊急性があるので電話はとても役に立ちます。
でも、工事中に電話をしなければいけないってことは、何かしらのトラブルが多いということ。
トラブルが少なければ、工事連絡会など決まった時間に打ち合わせをしてそのまま現場に向かえばOK。
決まった時間外に現場で打ち合わせが必要だから電話を使います。
化学プラントでは防爆携帯を個人に付与する会社も増えてきました。
固定電話だけだとこんな便利なやり取りは無理です。
災害・トラブル時の緊急連絡
電話は災害・トラブル時の緊急連絡に使います。
これも当たり前。
会議が山のように増えた現在では、会議室で電話を取れる仕組みでないと緊急時の対応はできないでしょう。
机の上にメモを置くというのでは即応性がありません。
この辺の背景から、会社での固定電話の存在価値は急激に減っています。
10年前は1日に何回も固定電話を使っていましたが、今では1か月に数回レベルです。
メールでは意思疎通が難しいもの
電話をメールの補足として使うことはあります。
「メールでは意思が伝わらない」という言語化放棄思考が10年~20年前は横行していましたが、その時の代替案として電話がありました。
ちょっと違いますね。
まずは電話、電話がつながらない時にメール。
こんな感じでした。
今考えると電話偏重主義でしたね。。。
それでも口頭のやり取りだけで済むくらいの話なら、電話を使うケースは一応あります。
電話のデメリット
機電系エンジニアリングで電話を使うシーンがあることは分かりました。
でも多用してはいけませんね。
電話のデメリットもありますので、まとめて解説しましょう。
集中力が切れる
電話を掛けるということは相手の時間を奪うということ。
会議が多く、集中して作業する時間も取りにくい現在では、集中力が途切れることは生産性の悪化を意味します。
急に話しかけてくる人もこのことを意識していないです。
お互いに仕事中の時間だから、その時間内で空いての時間を奪ってもお互い様。
こんな思考で電話を良しとする人が未だにいます。
集中して作業をしていても、電話で強制的に業務を切り替えないといけません。
固定電話で電話の取次ぎをする場合は、取次者も時間を奪われます。
このデメリットは決して少なくありません。
10年前は1時間に10件くらい鳴り響いていましたが、現在では1日に10件行かないレベル。
携帯電話の効果は大きいですね。
それでも固定電話を使う人って、いったい何を考えているのだろう。不思議です。
勉強しない日本人の典型例。
メールやチャットなら自分の好きな時間に見れます。
チャットの方が気軽ですが、正式さを過度に求める一部の日本人はチャットを業務中に使うことは少ないですね。
ちゃんとした意思疎通ができるのあれば、メールでも十分機能しますから・・。
記録が残らない
電話でのやり取りは記録が残りません。
図面の仕様のやり取りを電話で済ませてしまうと危険ですよね。
メーカーはユーザーから言質が取って未確定部分をFIXしたいと思うモノ。
そこで電話を使います。
担当レベルなら判断を間違えることもあるのに。
急にメーカーから電話がかかってきて、手元に図面がないのに仕様の確認を求められ、上司に相談する機会を与えられず図面が決まってしまう。
こんなリスクの塊が電話です。
メーカーとしては電話を多用しましょう笑
ユーザーとしては極力電話を断りましょう。図面を見て分からないところを電話で聞くだけでOKです。
でも相手先のメーカー営業と電話で話をしても伝言ゲームになるだけですよ。
そう考えても電話の意味ってあまりありませんね。
メールだと図面の添付も楽です。
チャットでも同じですね。
言語で伝わらない部分がある
電話の最大のデメリットは会話のみの伝達手段ということ。
図面の細かいやり取りをしようとすると、メールで図面添付する方が遥かに伝わります。
10年くらい前は図面は紙でやり取りしていたでしょう。
A1やA2サイズの図面を郵送で送り、朱記訂正をしつつ電話でやり取りして再度郵送する。
こんな手間のかかることを行っていました。
メールで送れるファイルサイズの問題もありましたね。
今ではクラウドに上げることも可能です。セキュリティ面が非常に怪しいですが。。。
電話の代替方法
電話のデメリットはいっぱいありますね。
では電話を使わずにどんなコミュニケーションをすれば良いでしょうか。
チャットが基本
ちょっとしたやり取りはチャットを基本にすると良いでしょう。
会話の文章版。
会話スタイルで気軽に書けばいいです。
そのためにはチャットに慣れる。タイピングに慣れるというスキルが必要です。
マイクで話して自動タイピングをするのでも良いですが、周りの人の迷惑になるのがデメリット。
チャットを使いこなせる40代以上なんて本当に数えるほど。
1:1のやり取りはチャットが便利です。
複数のやり取りをチャットで使用とすると結構発散します。
メールは正式用
メールは正式なやり取りをする時に使いましょう。
添付資料も遅れたり期限も設定しやすかったり、メールならではの機能もあります。
チャットでもその辺の機能があるアプリもありますけど、会社によっては使えないかも知れませんね。
メールは複数の宛先に送る場合にも使えます。
チャットが1:1なら、メールは1:多。
ログも残るので便利です。
言語化は大事
メールでは意図が伝わらないと嘆くベテラン層は多いでしょう。
ベテランの方がメールの作り方が下手かと思えば、実は若手も結構下手です。
対面やチャットだとそれなりに回答してくれるのですが、メールだと極端に言語が足りなくなります。
急な依頼なのに、締切と用件だけを書いた内容とかよく見かけます。
新入社員の時に受けるメールの書き方みたいなテンプレ教育の弊害でしょう。
簡潔に書きすぎて情報が伝わりません。
メールで簡潔に書いて電話で捕捉するという昔ながらのスタイルに適したメール作成と、メールを主体にしたコミュニケーションの取り方は違います。
古いやり方に縛られずに、ツールのメリットデメリットは正しく把握したいですね。
参考
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最後に
化学プラントの保全担当者が電話をいっぱい使う背景を解説しました。
工事現場での施工会社とのやり取りやトラブル対応のために使います。
対面・電話・メール・チャットといろいろなツールがあるので、メリットデメリットを把握して使い分けをしましょう。
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