製造業で品質管理に関わる重要要素として、4M変更という単語があります。
この変更を行う時には、その影響を慎重に考えないといけません。
特に医薬で厳しく管理されていますが、その他の業界でも適正な範囲で管理されています。
どんな管理がなされているか、具体例をいくつか紹介します。
なお、4M変更はここでは、以下の4つのMを指します。
- Man(人)
- Machine(機械)
- Method(方法)
- Material(原料)
どの変更も、どこまで実施すれば良いのか答えが無いようなものなので、考え方が大事になります。
Man(人)
人の変更はとても重要な要素です。
新たな人が加わるとき
このレベルは課の運営として大変です。頻度が多いからです。
外向けには程度の低い変更なので、意識されません。当たり前の変更です。
この話は、要員認定の話を関わります。
あるプラントの運転要員として新人が入ってきた時、いきなり1工数としてカウントされることはありません。
ある程度の期間の経験を積んでようやく認められます。
「この人なら任せても大丈夫」
運転中の特定の要素(反応・サンプリング・仕込・充填など)に対して、スキルが備わっているか評価します。
新人だけでなく、他プラントから応援できた人に対しても同じ。
複数のプラントを持つ工場だと、生産調整のために臨時的な相互応援が考えられます。
単純に頭数だけで考えることはできない点が注意。
別の場所にプラントを建てたとき
生産プラントの増強・移転などの背景で、4Mのうち人だけが変わったという場合です。
厳密にはMachineも変わっているのですが、Manの影響の方が大きいです。
場所が変わっていれば人が変わるのは当然で、大きな変更として扱います。
数年に及ぶ配置計画や教育計画を立てて、プラント建設と並行して対応します。
工場内ではとても大きな変更イベントです。
工場長やもっと上の方の決心が必要です。
ところで、いざ製品を購入する側から見ると、この変更は意外と大したことが無いと判断されます。
この変更でも製品の品質は変わるので、その製品を原料として製造するユーザーから見ると、その影響度を良く判定しないといけません。
分析評価や誘導評価をするかどうか検討します。
手堅く進めるなら、長い時間を掛けた評価を行います。
その分だけ、機動力が落ちていきます。
Machine(機械)
機械が変わった時にも、製品の品質に影響を与える可能性があります。
設備の更新やサイズアップ程度だと、大きな問題にはなりません。
それでも課内では一定の審査が入ります。
それ以上の機械の能力アップだと、プロセス条件の変更を伴う可能性もあるので、工場全体などの一定規模の品質チェックを行います。
温度が多少変わっただけでも品質問題になりえます。設備が変わった時にちょっとした変更でも、それが品質に影響出るかどうか、簡単には分からない所が製造の難しい所ですね。
特定の設備で、今まで扱ったことのないメーカーから採用する、という場合は、対象にならない場合の方が多いです。
例えば、タンクとかポンプで新メーカーを採用するたびに、検討していたらキリがありません。(だからこそ、機電系エンジニアが4M変更の意識を持ちにくい場合があります)
Method(方法)
方法が変わるのは、極めて大きな変更です。
QC工程図の範囲から反応条件を変えるのであれば、とても大きな変更として取り扱います。
反応以外の例えば回収工程などの条件を変えるときにも、小規模な変更として課内で審査します。
製品の品質に影響が出る場合もあれば、廃棄物に影響が出る場合もあり、製造プロセスの広範囲にわたる検討が必要となります。
後々で変更しようとすると、時間も工数も掛かってしまうので、立ち上げ時に一発で処方を確定できるようにしたいですね。
個人的な話ですが、変更へのハードルが高すぎると技術者の仕事が減るので、なるべく自由な変更ができる環境の方が私には合っています。逆に、医薬には向いていないと思っています。
Material(原料)
現用の変更も、大きな変更となりえます。
同じ会社で何かが変わったとき
すでに購入している会社で、何か条件が変わった時は、小規模の検討を行います。
実績がある会社でCoAもしっかりしていたら、変更直後は分析を掛けたとしても徐々に緩和していきます。
その会社が、別の場所にプラントを建てたり、原料が変わったり、反応条件が変わったとしても、規格から逸脱していなければ採用のハードルは低いでしょう。
実績で怪しい問題が起きているなら、変更時にはさらなる検討をしようという気になれます。
長く商売をしようという思想ですね。
別の会社を採用するとき
原料名としては同じだけども、全く新しいメーカーを採用するときにも、Method(方法)と同じように慎重に検討します。
検討に時間が掛かります。
1つのメーカーだけだと、製造としては非常に疑わしいものになります。
化学業界ではニッチな原料を扱うことがあり、1社購買となる部分があるので、複数購買をしっかり検討したいですね。
立ち上げ時は1社購買にならざるを得なくても、以降は積極的に導入しましょう。
4M変更の大多数が別会社を採用するケースであると、健全だと思います。
参考
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最後に
4M変更と化学プラントでの注意点を解説しました。
Man・Machine・Method・Materialの4つのMを変更すると、品質に影響を与える可能性が高いです。
大なり小なり検討範囲があります。
自社での変更は結構シビアに扱い苦労も良く実感しますが、他社の変更については結果だけしか見えないので実感しにくいです。
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