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溶接型プレート式熱交換器の落とし穴:設計と運用で注意すべきポイント

全溶接型 化学機械
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プレート式熱交換器の中でも、コンパクトかつ高効率な性能を持つ「溶接型プレート式熱交換器」は、近年その使用頻度が高まっています。しかし、設計や運用上には見落とされがちな注意点が存在します。

世の中に出回ってから10年以上は経っていますが、私は一度も採用したことがありません。未だに怖いと思っています。

だからと言って勉強しないわけにはいかず、いざ採用するという流れができたときに困らないようにしたいと思っています。

本記事では、ガスケット型との違いに触れながら、溶接型プレート式熱交換器の特徴と、その“落とし穴”について解説します。

詰まる

全溶接型のプレート熱交換器は、詰まる可能性が考えられます。

もともとプレート熱交換器というのは、複数枚のプレートをガスケットで挟んだ構造です。

ガスケットを使う以上、耐圧性と耐熱性の限界があって、その問題を解決する手法として溶接でプレートを固定するという考え方になっています。

溶接してしまうと、プレート1枚1枚を外して洗浄することができません。

1枚1枚を外して洗浄できるメリットが無くなるということですね。

全溶接型でも洗浄ができないというわけではなく、洗浄液を流したり、ケーシングを外して洗うことも可能です。

ただ、完全に洗えたかどうかが分かりません。詰まっているかどうかも確認できません。

詰まる物の量や質に依存します。簡単に洗浄できるのであれば、問題とならないでしょう。

化学工場のプロセスのように、何が固形分となって詰まりの要因となるか読みにくい場合は、詰まりの問題は大きな問題になります。

この辺りを嫌がる工場は確かにあって、そういう場合は採用を控えた方が良いでしょう。(私のところのように)

腐食する

全溶接型プレート熱交換器では、腐食の可能性が問題になります。

詰まりが起きても確認できない以上、腐食が起きても確認できません。

1枚1枚のプレートを外せるなら、定期メンテナンス時に腐食の可能性に気が付きます。

プレートを外せない全溶接型で腐食が起きて、現場で問題になったら・・・怖いですよね。

全溶接型を選ぶ時には、このリスクをしっかり考えておく必要もあります。

  • 水と混入して暴走反応が起きないか
  • 水側にプロセス液が混入して、プラント全系列の水が全滅しないか
  • 外部に漏洩して問題にならないか

腐食が気になる場合は、通常のプレート熱交でも注意が必要です。

多管式熱交換器などの中身が確認できないタイプが多いのが熱交換器の宿命ですが、外して点検ができるプレート熱交換器は十分にメリットなります。

交換前提

全溶接型熱交換器は、メンテナンスではなく交換を前提とした運用になります。

漏れが起きたら交換 → 交換の周期を定めてTBM。

という流れになります。最初はBMになりそうで、問題が起きることを覚悟しないといけません。

メンテナンスと交換なら、交換の方が費用も掛かるし、納期も掛かるでしょう。

問題が起きてからこういう手配をしないといけないのは、化学工場ではデメリットです。

交換前提で複数台設置するとリスクは緩和されます。

それでも漏れによる災害リスクは残りますけどね。

スチームとエアー

全溶接型プレート熱交換器を私が使うとしたら、以下の環境だけだと思います。

スチームとエアー

エアーを温めるためにスチームを使うという勿体ないシーンです。

窒素を温めるというニーズも一応考えられます。

どちらにしても、温めるためにスチームを使うというのは、やや過剰なイメージ。

スチームとエアーを選ぶのは、綺麗な流体だからです。

液体系は基本的に汚れが付くものなので、全溶接型プレート熱交換器だと不安が残ります。

純水など綺麗な水でも、溜まりが出来て残り続けてしまうことは、やはり不安です。

参考

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最後に

溶接型プレート式熱交換器は、省スペースで高効率というメリットを持つ一方で、保守性の面でガスケット型とは大きく異なります。導入前には、内部洗浄のしやすさや点検方法まで含めて検討する必要があります。装置の設計段階から、適切な保守計画と前処理設計を行うことで、長期的なトラブルを未然に防ぎましょう。

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