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キャリア

視野・視点と化学プラントエンジニア

視野視点 キャリア
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視野視点(plant engineer)の話をします。

いろいろな仕事で重要になる考え方ですが、弊部プラントエンジニアを例に初心者・中堅・ベテランと分けてみます。

ポンプの概要設計というオーナーエンジニアリングの典型パターンを使います。

どのレベルで話をしているかを見ることで、その人の現在点を知ることができます。

そこから先に成長する可能性があるかどうか、ランクを上げて成長させようとするときの1つの参考になれば幸いです。

私が体験した概念的な話で、設計に対する体系的な説明にはなっていないかもしれませんが、なるべく分かりやすくするために極端な表現をしている部分があります。

初心者

設計の初心者がポンプを設計する場合、何から手を付けて良いのか分からない状態です。

この段階では何を設計すべきかが整理されていません。

例えばポンプの使用条件と設計条件の代表的な物を示しましょう。

使用条件としてのタンク容量や送液時間内容物そのものの情報として特に腐食性固形分の有無などの情報があります。

これらの情報を基に導き出されるが、設計条件としての流量・揚程・型式・材質・動力などとなります。

設計条件を基にポンプメーカーで型式選定と見積をするという流れになります。

ここで、初心者は使用条件や設計条件の意味を十分には理解できません。

良く分からないまま誰かが決めた条件をそのまま設計条件として、メーカーに提示します。

プロセスエンジニアが決める・上司が決める・既存と同じ。

背景は様々ですが、自分で決めないという点では同じです。

この段階では、すでに与えられた情報をもとに、購入や工事設計のプロセスを経験して、生産技術の仕事の一連の流れを習得することが最大の目的です。

繰り返していくうちに、使用条件が分からないと困ることに気が付きます。

メーカーから設計条件に関する問い合わせを受けても、使用条件に即した臨機応変の回答ができず、

書いてある通りの仕様で設計してください

という回答をしがちです。

依頼者が大企業であれば上から目線という印象を抱かれたり、丸投げエンジニアと思われたりします。

本人は楽かもしれませんが、長続きさせると良いことがありません。

早くこの段階はマスターして中堅のレベルになりたいところです。

中堅

中堅レベルになると、使用条件を基に設計条件を決めようとします。

早ければ5年目くらいには、このレベルに到達するでしょう。

中堅思考

圧力損失計算ができるのは、この中堅の段階。

入社してすぐにこの計算ができた人は、初心者をすでに脱しています。

使用条件から設計条件を自由に決めれるようになる段階です。

今までの経験も併せて、選定すべき型式の1つ2つくらいの候補が見つかるようになってきます。

思いつく候補数が多いほど、優秀な証拠です。

悩むべきポイントを言語化できるようになれば、ベテランはもう目の前。

ほとんどのエンジニアは、その手前の使用条件と無言の格闘をする時間が多いです。

結果的に、既存と同じ型式として思考放棄する人も出てきます。

この段階では、運転方法を知ることが1つの大きなハードルになります。

設計をする以上は使い方を知らないと不可能なはずなのに、使用条件という数値だけで仕事をしていると、使い方を知ろうとする努力を怠ってしまいます。

中堅でもポンプの起動や停止の方法をきちんと言語化できる人は、かなり少ないです。

それで、適切なポンプを選ぼうという方が変だと思います。

こうして選んだポンプは、使用条件に対して選んだ個別最適設計となります。

ベテラン

ベテランになると、考えることがぐっと広がってきます。

10年目くらいでここに到達すると安心です。そうではないエンジニアがとても多いです。

プラント建設時の思想や、プラント運営上の保全思想を考えたり、メーカーはどういう指針で選定してくるかを予想したりします。

もっとも簡単な例は、ポンプの型式や能力をプラント全体で統一させようというもの。

故障したときに代替品を探す手間が一気に下がり、コストダウンとなります。

イニシャルコストは掛かりますが、ランニングコストを重視した考えです。

プラント建設のように一気に設計する機会がある人は、仕様の統一に目を向けようとします。

というのは買うのですら、仕様を統一する方が楽だから。

既存プラントの改造だけをしてきたエンジニアの方が、中堅の個別最適設計で終わってしまって、全体最適化に目を向けようとしません。

保全エンジニアもプラント全体を見る機会は多いので、全体最適を考えそうなものですが、いざ設計をすると初心者や中堅と同じ思想になります。

慣れてくればすぐに全体最適化を考えるようになるので、保全エンジニアの方が設計エンジニアよりも設計に向いているのでは?と思うこともしばしば。

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントエンジニアの視野視点をポンプ設計を例に解説します。

初心者は与えられた設計条件を言われるがままメーカーに依頼、中堅は使用条件から個別最適設計を行い、ベテランは建設や保全の思想などを考えて全体最適設計をしようとします。

プラント建設や保全の方が全体最適設計に向いているように思います。

個別設計だけを繰り返していると、中堅で足踏みしてしまいがち。

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