圧力損失の計算では継手の抵抗を考えます。
継手の大小関係がどれくらいであるかを感覚的に知っておこうというのが、本記事の狙いです。
机の上で詳細の計算をしなければ分からない、というのでは現場のエンジニアとしては少し困ります。
現場で起こったことをその場で判断するためにも、大小関係を何となく把握しておくことは意味があります。
抵抗係数
抵抗係数は、配管の圧力損失のうち継手・バルブ類に使います。
まずは、直管の圧力損失の整理をしましょう。
以下のように表現されます。
$$ 4f\frac{1}{2}ρv^2\frac{L}{D} $$
4fという係数と、流体エネルギーと、配管長さ・口径で決まります。
ここで、継手部分は圧力損失が、直管の何倍に相当するかという相当長さとして表現します。
$$ K\frac{1}{2}ρv^2 $$
Kという係数で決まります。
このKを抵抗係数と呼びます。
継手の抵抗は口径に当然依存するはずです。書籍によって口径ごとに係数を決めているものもあれば、口径に依存せずに、型式や種類だけで1つの値に決めているものもあります。
どの値を信用するかは、個人によって変わると思います。
とはいえ、組織内で人によって得られる結果が変わらないようにするために、継手の数を極小化したり、ポンプ揚程に余裕を持たせるようにしましょう。
弁の抵抗係数
抵抗係数の大小関係を比較します。
おおよそこういう関係があります。
玉型弁 > Y型弁 > ダイアフラム弁 > アングル弁・スイング逆止弁 > バタフライ弁 > 仕切弁 > ボール弁
玉型弁
流量調整に使う玉型弁ですが、構造は明らかに複雑です。
液体の流れをSの字に変更させるため、90°の方向転換を2回行っているようなものです。
このイメージ通り、抵抗係数は非常に高いです。
Y型弁・アングル弁
Y型弁やアングル弁は流体の流れを変えるという点で、かなり大きいです。
Y型は合計で90°以上(大雑把に30°+90°+30°くらいでしょうか)、アングル弁は90°の方向転換を行います。
方向転換の回数や角度が多い方が、抵抗が強いことは想像できますね。
Y型弁 > アングル弁 の抵抗係数の関係になっていることと、イメージがリンクできればいいでしょう。
ダイアフラム弁
一般的なダイアフラム弁は、Y型弁と近い流路パターンを取ります。
Y型弁 > ダイアフラム弁 の抵抗係数の関係になっていますが、ダイアフラム膜が抵抗を緩和させているだろうという感覚的な理解で良いと思います。
スイング逆止弁
スイング逆止弁はアングル弁相当の抵抗があります。
ここはイメージが難しいですね。
スイングする弁体を持ち上げるために、抵抗が大きいイメージはできますが、大小関係が難しいです。
バタフライ弁
バタフライ弁は、流体の流路を変えることはありませんが、弁体自体が抵抗になります。
ですので、少しですが抵抗があると考えましょう。
バタフライ弁 > 仕切弁・ボール弁 という関係がイメージできればOKです。
仕切弁・ボール弁
仕切弁は全開の時には、流路を妨げるものがありません。
ただし、軸封部など流体が拡散する空間部があるので、抵抗が発生します。
ボール弁は、拡散する空間がほぼなく抵抗がかなり少ないです。
だからこそ、仕切弁 > ボール弁 という関係になります。
継手の抵抗係数
抵抗係数の大小関係を比較します。
おおよそこういう関係があります。
180°ベンド > T枝・管出口 > 90°エルボ > 管入口 > T直線 > 45°エルボ
ベンド・エルボ
流路の変わる角度をイメージすると、180°ベンド > 90°エルボ > 45°エルボ となるのは分かりやすいですね。
T枝
T管の直線部から枝管部への抵抗は意外と高いです。
90°エルボより高いのは、T管には直線部に拡散する流れがあって、流れパターンが複雑になるからという理解で良いでしょう。
ゲート弁の話と同じです。
管出口
拡大部、出口方向の抵抗も大きいです。
これは流れが拡散する方向で抵抗が高いからという理解です。
剥離する方向の流れは抵抗が強いというイメージです。
レデューサーの縮小側よりも拡大側の方が抵抗が大きい、というのと同じです。
管入口・T直線
この辺りの大小関係は、非常に微妙な話です。
細かい差になるので、違いをあえて意識するほどではありません。
参考
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最後に
弁・継手の抵抗係数を大きい順に比較してみました。
抵抗を増やす要因はあまり多くはありません。
流路方向が変わる、流路を妨げるものの大きさ・流れパターンを変える
それぞれの度合いの大小関係をイメージすれば、抵抗係数を大きく外して理解することはないでしょう。
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