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配管

毒性ガスの配管の設計保全で注意したいこと

毒性ガス 配管
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毒性ガス(toxic gas)に関する設計保全の注意点を解説します。

高圧ガス保安法に定めるもので「危険なもの」ですので、人体に即影響を及ぼすという意味で設計段階からしっかり考えないといけません。

できることは限定的ですが、だからこそ「できることは全部する」という思想です。

塩素など分かりやすいものから派生形まで、さまざまな物を扱う化学プラントで、機電系エンジニアでも知っておいた方が良い部分に限定して紹介します。

何でも危険・何でも安全というわけではなく、重み付けができる程度の化学的な知識は持っておきたいですね。

毒性ガス(toxic gas)の種類

毒性ガス自身は高圧ガス保安法に定めるものですが、数が多くて化学に強くない機電系にとっては理解が難しいでしょう。

暗記して実践できるものでもありません。

全部を覚える必要はありませんが、ここだけは知っておきたいという数点に絞ります。

アンモニア、一酸化炭素、塩素、フッ素、ベンゼン、ホスゲン、硫化水素

毒性ガスとしては、いろいろな化合物が該当するのですが、それを覚えようとすると辛いです。

基本的な化学物質+αだけに絞って、何となく目や耳に留めておき、話題になった時にチェックするという姿勢で私も取り組んでいます。(なかなかチェックしようという気にならないですが・・・)

自プラントで取り扱っている毒性ガスはチェックしておきましょう

設計上のポイント

毒性ガス配管の設計上のポイントを解説します。

材質

材質は配管設計上の最重要項目です。

耐食性をよく考えて選定しましょう。

SGPやSTPGでも耐える毒性ガスはありますので、SUSにするかどうかですら1つの課題です。

接続

配管接続も毒性ガス上は重要な設計要素です。

基本的には溶接が良いです。ねじ込みはとても危険。

フランジ接続は最低限に絞りましょう。

プラント外のスタンド上は溶接接続で統一する

プラント内部のメンテが必要な個所はフランジ接続にする

これくらいの分かりやすさが必要と思います。

ガスケット・ボルトナット

フランジ向けのガスケットボルトナットも設計要素の1つです。

基本的にはフッ素系のガスケットがおススメです。とにかく無難です。

ボルトナットもSUS系が良いでしょう。

SS400でも耐食上問題ないと言っても、大気環境下で腐食が進んでいきます。

定期的にボルトナットを交換するとなると、毒性ガスの漏洩の問題がでます。

少しでも交換周期を長くして、リスクを回避したいですね。

配管溜まり

毒性ガスの配管設計上は配管溜まり部も1つの問題です。

スタンド上の配管はスタンドの高さで制約を受けて、配管溜まり部ができてしまうと諦める設計者もいます。

これが毒性ガスでも本当に諦めますか?というのが課題です。

スタンド上であっても、溜まり部を作らないようにサポートを増設することは検討しましょう。

溜まり部を付けてしまうと、運用段階で困ることになります。

配管ルート

配管ルートも設計上は影響が出てきます。

風向きや風通しの問題です。

配管接続にフランジを使う場合、フランジの取外し時には毒性ガスが漏洩する恐れがあります。

どれだけ置換をしても、残ります。

溜まり部があればあるほど、置換効果は下がります。

この外部に漏洩したガスによって人や設備が影響を受けないような工夫が必要です。

フランジを付ける場所は、人の手が届く場所

フランジを取外しできる位置は、風上に設定する(最も確率が高い風向き)

拡散したガスの影響が受ける設備が周囲にあれば、養生をする

配管が通るルートだけを設計するのではなく、フランジやバルブの交換というメンテナンスを考えて、効率的で安全な設計が求められます。

この意味で、難易度が高い設計となるのが毒性ガスの特徴でしょう。

ガス抜き箇所

フランジ割りなどの場合の、置換用にガス抜き箇所を設けます。

このガス抜き用のバルブの数も最小限にしたいもの。

数を増やすほど漏れのリスクを増やします。

毒性ガスは一般に空気より重たいので、ガス抜き箇所は一番低い位置に設けましょう。

ガスを処理する吸収装置が一番低い位置になるのが理想です。

ガスを置換するために窒素を使う場合は、窒素が毒性ガスライン中の最も高い位置に来て、高い位置から低い位置に押し流すイメージです。

保全上のポイント

毒性ガス配管の保全上のポイントは、配管とフランジの2つに分かれます。

配管

配管は定期的なチェックが求められます。

塗装をして寿命を延ばすのは1つの手です。

分かりやすい色に設定して、周囲で漏洩があればで即断できるようにすると良いでしょう。

ガスが溜まりやすい場所や風通しが悪い場所に、アクセスできる環境を作っておき、定期的に外観検査や肉厚測定をするとさらに良いでしょう。

フランジ

保全上はフランジの方が配管そのものより遥かに重要です。

フランジは最低限に絞るべきなので、交換数量は少ないはずです。

配管図やルート図などを使って、フランジ箇所をマッピングして、交換年度を記録していきましょう。

交換のたびに周期設定の見直しをして、最適な保全を目指しましょう。

配管改造の提案

保全上は、現状のフランジなどの場所が都合が悪いという判断をすることも大事です。

自身が作業するにしろ、誰かに依頼するにしろ、保全担当者はこの危険個所を生で見る機会のある数少ない人です。

この人からの危険信号が無いと、改善は進みません。

逆に保全担当者がしっかりと提案すれば、対策を講じてくれるはずです。

毒性ガスのような危険なものに対して対策を講じてないと、会社が判断されるのは嫌がります。

保護具の整備や、風向き・温湿度の測定・漏洩ガスの吸引などの環境整備も大事になります。

参考

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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

毒性ガス配管の設計や保全上のポイントを解説しました。

材質以外に接続方法・ガス置換・配管溜まりやルートなど、配管設計としては考えることがいっぱいあります。

気を配ることが多く難易度は高いです。

保全上も、外観点検のしやすさや点検周期の設定など、しっかり決めておきたいです。

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