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タンク用シャワーボールの選定で気を付けること

シャワーボールの注意点 配管
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タンク用のシャワーボールについて気を付けることをまとめました。

医薬半導体向けのタンクなど洗浄性が特に要求される場合に、付ける印象が多いです。

もちろん化学プラントでも使う場合があります。

タンク内のいろいろな範囲を洗浄できるので便利に見えますが、便利な物は何かしらデメリットがあります。

この記事を読むと、化学プラント向けにタンク用シャワーボールを選定する場合に、注意することが学習できます。

使い方

シャワーボールの構造を簡単に紹介しましょう。

液体が通るパイプの先端をボール状にしてあり、ボール表面に複数の穴を開けています。

パイプ内を通った液体は、ボールに開いている複数の穴から放出されます。

穴の位置や個数を上手く設置することで、液体の流れと噴霧状況を変えることが可能です。

構造

タンク用シャワーノズルはタンクの天板ノズルに挟み込みます。

タンクの中に入った液体は、シャワーボールがなければそのまま重力で下に落下します。

多少の噴霧を伴うので、一部は壁面に付着して落下するでしょう。

そういう液体の流れを変えて、タンク内の遠い側の壁面に向かって液を流したり、天井に向かって流したりすることが、シャワーボールなら可能となります。

シャワーボールはその構造上、全球に放射が可能だと想像できますが、実際にはできないようです。

例えば下半分側に向かって放射とか、上半分に向かって放射というような役割を分ける感じです。

場所が限定

化学プラントで使うタンクで、シャワーボールは例えば以下のような狙いを持たせます。

洗える場所

例えば、バッチ運転でタンク内に貯めた液のうち液面近くに、リング状に物が残ることがあります。

熱安定性が悪いとか、次のバッチの液が入ってしまうと危険な反応を起こす可能性があったりとか、このリングを洗浄したいニーズがあります。

この場合に、下半分型のシャワーボールで、タンク内の壁面を全周洗おうとします。

タンク内の天井に汚れが付く場合があります。

蒸留をする場合や、粉体を投入して粉塵が舞う場合などで、汚れが残っていると品質に影響が出たりするなら、洗おうとします。

この場合に、上半分型のシャワーボールで、タンク天井部だけを洗おうとします

バッフルが付いている場合は、シャワーボールは最低2つ必要となります。撹拌翼は回転しながら洗浄することで対応できても、バッフルは陰になる裏側部分が発生して、シャワーボールでは洗えません。2個違う角度に付けて、洗えない領域を少なくすることが望ましいでしょう。

樹脂は静電気が怖い

便利に見えるシャワーボールですが、実は弱点だらけです。

最初の弱点が静電気。

樹脂系のシャワーボールは市販されていますが、どれも静電気的に怪しいです。

スペック上はカーボンが混じったフッ素樹脂で導電性を確保していると言われますが、実運転で測定してみたら普通にアウトになります。

これはスペックと使用条件がマッチしなかったり、取り扱い物質の帯電性が高かったりする問題もありますが、ボンディングが取りにくい問題もあります。

内容物が導電性が高いかどうかはあまり関係ありません。

極端に言うと、水でもかなり危ないです。

汎用性を目的としたバッチ運転では、製品ごとに使用環境が違ったりして、ある製品ではOKでもある製品ではNGだったりします。

とにかく樹脂は危ないと考えましょう。

樹脂は外れる

樹脂製のシャワーボールは外れるリスクがあります。

外れる

この絵の通り、フランジ部と本体部をねじ込みで付ける場合があります。

使っているうちに緩んできて、落下するのが落ち。

溶着の場合もありますが、これも剥がれていきます。

滴下管も接続方法は似たような物ですが、圧力が掛からない構造なのでリスクは低め。

シャワーボールは液体の圧力で噴霧する構造なので、力を受けて壊れやすいです。

回転式は壊れる

シャワーボールは穴の間部分から液体が流れますが、固定式のシャワーボールは液体の流れる場所が常に同じです。

噴霧によってある程度の範囲で洗浄できるけども、どうしても偏りができます。

これを解決するために、シャワーボールを回転させるタイプがあります。

液体の力でボールが回転して、噴霧が均一になる仕組みです。

接続方法だけでも外れるリスクがあるのに、回転という運動を発生させる機構が付けば、壊れるリスクは上がります。

綺麗な液体系での扱いならリスクは低くても、結晶や汚れで詰まる場合には故障が問題となりまsう。

金属は口径が限定される

樹脂では耐食性は良くても構造的に不安、ということで金属を選ぶ場合があります。

個人的にはこちらの方が無難。

金属

溶接など信頼が置ける一体物で作れるからです。

この場合、取付・取外しのためには、シャワーボール先端がノズル径より小さくなければいけません。

当たり前と言えば当たり前ですが、洗浄液の流量が絞られる可能性があります。

ノズルはかなり大きめに設定しておいて、シャワーボールのサイズに余裕を持たせられるようにしましょう。

樹脂だと分割構造で、ノズルより1サイズ小さいものを取り付けることは不可能ではありませんが、先に述べたように脱落のリスクがあります。

回転式など動く物はリスクがあるので、やめておきましょう。もしくは予備を持ち、壊れて異物になった時の回避策をちゃんと取っておきましょう。

グラスライニングの反応器だとグラスが割れることも考えましょう。

参考

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最後に

タンク用シャワーボールの選定で気を付けることをまとめました。

方位や個数はメーカーも気にしてくれます。

樹脂は静電気や脱落のリスクがあり、有機溶媒下ではシャワーボール内容物が何であってもとにかく避けた方が無難です。

金属は無難ですが、口径の選定に気を付けましょう。

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