フッ素樹脂系配管(Fluororesin piping)とそのアクセサリについて解説します。
耐食性の高いフッ素樹脂配管は、化学プラントではとてもよく使います。
何かあったらとりあえずフッ素樹脂。
手っ取り早く解決しようとするときに重宝します。
配管なら良く知っていても、アクセサリは結構見落としがちです。
フッ素樹脂系は技術開発が意外とあります。要チェック。
今回取り上げた種類だけでも使いこなせれば、かなり応用が広がりますよ。
配管
フッ素樹脂系の王道はやはり配管類です。
いわゆるフッ素樹脂ライニング配管として有名。
配管を構成するためのフィッティングも含めて一通り揃っています。
- 直管
- エルボ(90度・45度)
- ティー(同径・異径)
- レデューサー(同径・異径)
- スペーサー
- ブラインドフランジ
この中でも45度エルボは意外と見落としがちです。
90度エルボとティーだけで何とか配管を組んでしまう人もいます。
ブラインドフランジをガスケットとSS400のフランジで代用する場合もあるでしょう。
メーカーによって面間が違うので、特定のメーカーを対象にした配管設計を行います。
微妙な寸法調整用にはスペーサーを使いますが、化学プラント的には曲者。
静電気を逃がすことができないという致命的な問題があります。
配管より小口径で使いたい場合には、無垢のチューブを使うことになるでしょう。例えば、サンプリングが代表例。当然ですが、ライニングがない分だけ強度が落ちます。運転管理や定期的な交換がより大事になります。
吹込管・滴下管
吹込管・滴下管はフッ素樹脂ならではの一品でしょう。
挿入管という言い方もします。
吹込管と滴下管では用途が異なります。
- 吹込管・・・液中に液を投入する
- 滴下管・・・液面より上から液を投入する
ポイントは液面より下か上かです。
液面より下、つまり液中に液を投入することが求められる場合には吹込管を使います。
これは反応性などを考慮したもので、吹込高さ(深さ)もちゃんと設計しないといけません。
原理的には窒素などの気体も吹き込むことは可能です。
無垢のフッ素樹脂で作るか、ライニングにするかなどオプションはあります。強度によって使い分けることになりますが、トライアンドエラーの世界でしょう。
滴下管は液面より上で液を投入するときに使います。
滴下管を使わずにタンク天板から液を投入すると、天板が汚れます。
この汚れを取ろうとすると、タンク内での洗浄作業がとても大変になります。足場が必要な世界です。
吹込管も滴下管もフッ素樹脂は耐食性を重視する場合に使いますが、静電気という意味では万能ではありません。
便利だからと盲目的に使っていると、危険な場合もありますという意味ですね。
スプレーノズル
スプレーノズルも吹込管・滴下管と同じように、タンク天板から液を投入するときに使います。
プロセスタンクの洗浄に使う意味で、フッ素樹脂を使う場合があります。
吹込管・滴下管との違いは方向と流速。
液を下に落とす以外にも、横や上にも放射できます。
これは洗浄用には効果を発揮します。
スプレーノズルは流速が高いがゆえに、静電気的には吹込管や滴下管よりも気を付けないといけません。洗浄液が水だからOKという訳でもありません。
スプレーノズルには水の力を使って噴射方位を回転させるようなタイプもあります。
便利そうに見えますが、これも落とし穴が。
動く備品は必ず壊れます。
気が付いたら外れて、タンク底に落ちていた。
こういう結果を招きがちです。手堅くいきましょう。
スプレーノズルとは少し違いますが、窒素を噴射するタイプの装置も存在します。液体ではなく気体で洗浄するという使い方です。上手く使いたいですね。
フレキシブルチューブ
フレキシブルチューブはフッ素樹脂ライニングの王道的な部品です。
配管よりも使用頻度が高いかもしれませんね。
耐食性が高く、取り付け取り外しが簡単。
工場としては予備部品として在庫を確保しておき、定期的な交換をする消耗部品として保全上大事な部品です。
緊急時にとても役に立ちます。
フレキシブルチューブを工場内に横断させるように地面を這わせていると、何かやらかしたのだな・・・って分かります。
こういう時は見て見ぬふりをしておきましょう。
フレキシブルチューブは曲げやすいという特徴がありますが、だからこそ壊れやすいです。
耐圧強度もあまり高くありません。過信は禁物です。
だからこそ、定期的な交換が大事です。
ベローズ
ベローズはフレキシブルチューブの長さが短い版と考えれば良いでしょう。
ベローズは温度膨張や振動を吸収するための装置です。
バッチ系の場合はグラスライニングやフッ素樹脂ライニングの設備と接続する場合に多用します。
ベローズが無いとすぐに運転できないという例はあまり聞きませんが、寿命を短くする方向であることは間違いありません。
フレキシブルチューブにも温度膨張や振動を吸収する効果はあります。
ロードセルを使う設備との接続では、ベローズかフレキシブルチューブのどちらかを必ず設備回りに繋げましょう。
そうしないと、測りたい重さ以外の外乱を拾ってしまうことになります。
参考
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最後に
フッ素樹脂ライニングの配管やアクセサリについて解説しました。
配管だけでなく、吹込管・滴下管・スプレーノズル・フレキシブルチューブ・ベローズなどがあります。
耐食性的にとても便利ですが、静電気の問題があります。
技術的に進歩しやすい分野なので都度チェックしましょう。
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