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ガスライン設計の落とし穴|タンクのシール方法と見逃されがちな漏洩リスク

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 化学工場など危険物を扱う工場では、タンクに危険物を貯留して使用することが普通です。容器内に液体を入れるためには、ガスラインを適切に設計しないといけません。ところが、実設備では意外と軽視されている場合があります。
 本記事では、ガスラインのシール方法について基本と見落としやすい部分を解説します。

タンクのシール方法

 タンクは液体を保管する設備であり、液体をタンクに入れるためには内部の気体を外部に排出しないといけません。そのためにガスラインというガスを排出する専用の配管を設置します。ガスラインの設置方法としては以下の3パターンが典型例です。

シール方法

大気開放

 最も簡単な例が大気に開放するパターンです。ガスラインを単に空気中に放出します。

 ガスラインは閉塞してしまうとタンクにとっては危険な状態になるので、閉塞する恐れがないように極めて単純な配管構成にすることが考えられます。一見正しそうに見えます。

 ところがこの方法はとても危ないです。中に危険物が入っていたら、危険物のガス化したものが外部に容易にもれることを意味します。液体をタンクに受け入れるときや、タンクから払い出す時はタンク内の液面が大きく揺れます。この時にガス部も変動するのでガスラインから外部に漏れていきます。
 ガスだから目に見えませんが、危険物で人にとって無害なものの方が少ないので、そのまま外部に漏れてしまう大気開放は安全衛生上問題です。プラントを歩いていて大気開放ラインを見かけたら、近寄らないようにしましょう。ある程度離れているとそこまで問題でもありませんが、設備点検やスケッチなどで近寄ることが危険です。

 なぜ大気開放ラインという選択を、設計段階でしてしまうのでしょうか。例えば危険物の取り扱い温度が低かったり、分液後の水だから危険物がいなかったりと、実態をあまり考えずに机上で表面部分だけを見た設計をしてしまうからです。特に昔は安全衛生に対する感度があまり高くない設計がされています。運転時に危ないことに気が付いて都度改造をしていったとしても、それが設計者に伝わらずに現場の改善で進んでしまい、設計者は昔の思想をコピーし続けることで再発防止対策が取られずに、問題が継続していきます。 

シールポット

 ガスラインの末端にシールポットをつける方法です。この方法は基本的な対策が取れており応用も効きます。

 シールポットには水を入れておき、ガスラインの末端を水中に入れます。タンク内の危険物は空気中に漏洩しようにも水があるので外部に直接は漏洩しません。水がダメな危険物の場合は他の液体を使うこともあります。
 ガスラインの末端部の水面からの深さ(ディップ長)はタンクの設計圧力に直結します。タンク内の圧力がディップ長を越えると、タンク内のガスはガスラインの末端から水面に向かって抜け出していきます。ディップ長を長くしすぎると、タンク内に圧力をもってしまってタンクが破裂する恐れがあるので、注意して設計する必要があります。これが怖くて、大気開放を選ぶ考え方はありえなくはないですが、先に述べたように安全衛生の対策が必要です。

 この例ではシールポットはタンクが加圧側だけ作動しますが、シールポットを2つ使えば加圧・負圧いずれも作動させることも可能です。

ブリザー弁

 ブリザー弁をガスラインに設置する方法です。シールポットと同じでタンク内の圧力が一定範囲まではシールをして、範囲を越えるとガスを放出します。シールポットと同じで加圧・負圧いずれも作動させることもできます。

 シールポットに比べると構造が複雑なので故障するリスクが上がります。逆にシールポットのように液体を使う必要がないので運転面での管理は比較的楽です

後処理が必要

 タンクのシール方法は先に述べた3パターンが基本です。フローを作って工事をしたらあたかもうまく行くように見えるでしょう。ところが落とし穴があります。それが後処理。下の図のようにガスを集めて処理するプロセスが必要です。

排気

ガスが漏れる

 大気開放ラインのところで述べましたが、ガスラインからは危険物が漏れます。ガスは目に見えにくいので軽視されがちですが、作業員に悪影響を与える可能性はあります。地域住民にも影響を与えるかもしれません。

 大気開放ならガスが直接漏れるのは分かりやすいですが、シールポットでもそのリスクはあります。シールポットは水を常時入れ替えて、危険物は水にわずかながら溶けた状態で排水処理設備に移動させます。運転状況によっては水に溶けきってない危険物がシールポット出口から大気に開放されます。この意味で、シールポットも万能ではありません。

 ブリザー弁はもっとわかりやすいです。ブリザー弁が作動するということは、大気開放と同じでガスを放出するということ。そのガスを大気に漏らさないように集めることは大事なことです。

液が漏れる

 ガスの形で漏れることは分かりやすいですが、一部の液体はガスに同伴されて外部に漏れます。微量ですが漏れます。大気開放ラインの下の床面などは汚れていることが多いでしょう。これはタンク内部の危険物によるもの。

 タンクの近くで漏れているだけだから、大きな問題ではないと思うかもしれません。しかし、地面を通じて川や海に流れ込む可能性はあります。集気ラインでガスを吸えば液体も巻き込まれる可能性はありますが、うまくはいかないでしょう。小さな容器などを開放端の下に置いて外部に漏れないように集めるのが良いアイデアです。

参考

最後に

タンクのガスライン設計では、大気開放・シールポット・ブリザー弁といったシール方法の選定が重要ですが、それだけでは不十分です。いずれの方法でもガスや液体の漏洩リスクは残るため、回収・処理まで含めた設計が不可欠となります。「抜ければよい」という発想から一歩進み、「どう扱うか」まで考えることが、安全で持続可能なプラント運用につながります。

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【著者:ねおにーーと】

化学プラントで20年以上、設計→製造→保全→企画まで一気通貫で経験したユーザー側エンジニア。 バッチプラントの設備・運転・トラブル対応を中心に、現場で本当に役立つ知識を発信しています。 → 詳しいプロフィールはこちら

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