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配管

H笠を使ったプラント排ガス排出口の考え方

H笠排出 配管
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H笠という煙突の形状をご存じでしょうか?

名前自体は知られていないでしょうが、煙突の出口にあるアレです。

ストーブとセットになってそうですよね。

これを化学プラントの排ガスの出口にも活用していたりします。

どういう効果を狙って付けるかを紹介しましょう。

付けてもあまり意味がない可能性がありますが、目的は理解しておきたいです。

H笠の構造

H笠の構造をまずは紹介しましょう。

こういう形です。

H笠

アルファベットのHに似た形の煙道なので、H笠です。

排ガス出口の先端に付けるので、以下のような形で運用します。

ガス出口

下から上がってきたガスを左右に振り分けて排出している感じです。

H笠を付けることで、どういう効果があるでしょうか?

H笠の役割

H笠の役割について考えましょう。

ミスト分離

プラント排ガスラインにH笠を付けるときに期待する役割は、ミスト分離にあります。

ガスミスト分離

ガス中には多少のミストを含みます。

洗浄塔で綺麗にしたガスを、デミスタで可能な限りミストを除去しても、ブロアーにはミストが混入してきます。

H笠を付けると、Hの左右の部分で慣性衝突を起こして、ガスとミストが分離しやすくなります。

ミストは下に落下して、ガスだけが上部から排出されることを狙っています。

H笠を付けずに、ミスト交じりのガスをブロアーで大気に放出すれば、どうなるでしょうか。

当然ですが、ミストが大気中に拡散されてしまいます。

ガスは煙突の煙が排出されるのと同じように、大気中の高い位置で拡散されていきます。

そのうち地面に落下しますが、その距離は比較的遠くその間にも希釈されているので、実害が出る可能性は低くなります。

ところが、ミストは希釈されません。液体ですからね。

希釈

単に煙突の上部をそのまま開放するだけでは、遠いところまで希釈されずに、危険性の残った液体を排出してしまう可能性があります。

完全に綺麗に処理したガス(例えばガスを完全燃焼させる場合)だと問題ありませんが、洗浄塔レベルだと処理が中途半端になる可能性があります。

雨水侵入防止

H笠を付けると、雨が設備側に侵入しなくなります。

薄い侵入防止

雨が入ってきても、そのまま自然落下で下側に流れ、設備側である中央部のラインには雨が入ってきません。

シンプルな造りで、効果はちゃんとしていますね。

ブロアーの運転をしている時にはブロアーの圧力で雨を押し返すことができても、プラントが停止している時には押し返す力がありません。

H笠を付けていないと、設備側に雨が入ってきます。

その結果、設備が故障したり腐食したりという可能性は考えられます。

H笠の効果が疑問な理由

H笠の効果が疑問である理由を解説します。

ミストはすぐに落下する

ミストはガスとともに排出されますが、密度が高いためにすぐに落下します。

プラントエリア外の近隣地域に影響を及ぼすという可能性は、かなり低いでしょう。

H笠を付けても、ミスト配管を下まで誘導しないと、ミストを近くに噴霧させることになって、パトロールをしているオペレータが薬傷を起こしたり、設備がダメージを負ったりします。

ミスト配管はそれなりの口径が必要になり、設備構成が複雑・コストも上がってきます。

耐食性の高い設備が増えた

雨水が設備に混入したとしても、ダメージを負いにくくなっています。

昔のブロアーはSS400などの鉄で作られていたものがあります。

その場合には雨水は天敵ですが、今ではSUS304やFRPが一般的です。

設備に多少の雨水が入っても、運転前にちゃんと排出すれば実害は大きくはありません。

エルボで曲げただけ

H笠の構造の代替案として、単にエルボで曲げただけの構造があります。

曲げただけ

横向きにガスを排出するので、下に落下する雨は基本的に入ってきません。

バードストライクの可能性があるので、メッシュを付けておくとリスクは下がります。

危険物の排ガスラインがこの思想で設計されます。

であれば、大気に開放する排ガスラインも同じ設計で良いのでは?という考え方です。

昔のプラントではH笠が多いですが、最近はこのタイプが増えているので、H笠が絶対的に効果があるというわけではなさそうです。

参考

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最後に

H笠をプラント排ガス排出口に付けるときの考え方を解説しました。

プラント排ガスの処理方式にも依存しますが、ミスト分離と雨水侵入防止目的のH笠は一定の効果があります。

ただし、必ずしも意味があるというわけではないので、エルボで曲げただけの構造でもそれなりに期待できます。

何気なく使っている設備でも、効果を振り返ってみると新たな発見があると思いますよ。

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