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他人事ではない足場上の火災危険性:化学プラントが直面する現実とは

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足場火災 工事
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 香港のマンション火災で多くの方が犠牲になっています。足場が竹であったり、ネットや発泡スチロールの問題だったり、タバコだったり、いろいろなことが考察されています。この記事をご覧の日本の化学工場の方は、これを他人ごとのように捉えているでしょうか?安全に対して非常に手堅くしている会社なら「こんなことは起こりえない」と思っているかもしれません。ですが、私は他人ごとに考えられません。
 本記事では、足場上での高所作業での火災の危険性という点で解説します。

溶接は立派な着火源

 タバコが着火源と言われているから、化学工場では問題ないだろう。少なくとも化学工場でタバコを吸う人は一発出禁になるくらいのアウトな行為です。少しの火種でも抑えようとすることが重要ですね。

 タバコを防いだとして安心かというと、溶接という火種があります。溶接で火花がでるようなアーク溶接であれば、消火器や監視人を付けて対応していると思います。消火器が使えなくなっていたり監視人が常時付いていなかったり、準備をしっかりしているつもりでも問題になる可能性はあります。

 化学プラントの工事で溶接をしているという段階で、プラント全焼の危険性もあるということは、しっかり理解しておきましょう。

足場板が木製

 足場パイプが鋼製でなくて竹製であることが1つの指摘となっています。では、日本では?というとパイプは金属製であることが普通です。

 問題は足場板。金属の足場板ばかりを使える環境ではなく、化学プラントのように配管が密集しているところで足場を組もうとすると木製の足場板を使うことが普通にあります。これは燃えるかというと、リスク自体は残るという表現が適切でしょう。竹と大して変わりが無いと思います。

 日本でも足場上で溶接をしていると火事が起きるリスクがあるということは、理解しておきましょう。このリスクをどうやって抑えて許容するかが大事です。

燃えるものが実はいっぱい

 化学プラントは火災爆発にとても敏感です。したがって、運転中は危険物である化学薬液は仕方ないとしても、他の燃えるものは工場に持ち込まないことが原則です。

 設備は可燃物を扱うラインは基本金属製にします。樹脂製のパイプを使う箇所は、危険物が無いラインに限定されています。

 運転中は良くても工事となると、この制限が解除されるので危険性が上がります。

 化学プラントでは、香港の例のように燃焼物がいっぱいあるわけではないですが、一度燃えてしまうとパニックになり2次災害に繋がるので、慎重に対応しましょう。

塗装は燃える

 化学プラントの高所作業で火災が起きる危険性ナンバーワンと言っても良いのが、この塗装問題。

 溶接を上部・塗装を下部で上下作業やそれに近い形で工事をしていると、溶接の火花が塗料の缶に入って燃えるというものです。溶接と塗装という業種の異なる2会社が同じ場所で作業していると、どちらかの会社の休憩のタイミングなどで管理がおろそかになってトラブルに繋がります。

 安全管理者など、工場全体の工事を管理する人が必要となる事情がここにあります。

草は燃える

 化学プラントの周囲に、芝生のように草がそれなりに生えている場所はやはり危険です。溶接の火花を芝生に落としていると、当然ですが燃えます。私も他社見学時にこの事例を見ました。

 溶接をしている間は、火花の養生・関係者以外の立ち入り禁止・放水・消火器を近くに置くなど、ルールを定められているのは理由があるからですね。面倒だと思って対策をしていないと、いつかはトラブルが起きます。

工事資材は燃える

 工事資材も燃えるものがあります。ロープとか布とかの類です。溶接の近くにこういう物を置いていると、火花で燃える可能性は否定できません。

 塗装よりは危険性が低いですが、塗装よりも幅広い業種で資材を現場に持ち込むので、火災のリスクとしては高めになります。

参考

最後に

 足場上の高所作業における火災は、単一の原因ではなく火花・可燃物・管理の隙が重なったときに起きます。

 化学プラントでは被害が拡大しやすく、日常の運転中とは異なるリスクプロファイルになります。溶接や塗装など着火源の管理、可燃物の持ち込み制限、業者間の明確な責任分担、そして具体的な設備的対策を組み合わせて初めて、重大事故の発生確率を低減できます。

 現場の実務者は「他人事ではない」という認識で、工事毎に必ずリスクを潰す手順を確認してください。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)X(旧Twitter)のDMでも可能です。

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