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保全

故障の定義の考え方|化学プラントの保全計画の基礎

故障の定義 保全
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故障(breakdown)というのは化学装置に限らず、一般的に使う単語ですよね。

私は会社である時期にこの「故障」と格闘していたので、人生でもう聞きたくないワードベスト10くらいに入っている嫌な単語です。

さて、機電系エンジニアであれば故障という言葉には良く出会うので、その意味は知っておいた方が良いでしょう。

会社によっては、その定義をさらに細かく分類して保全活動に利用していたりします。

故障した車のイラスト

JIS上の故障(breakdown)の定義

JIS上では、故障とは設備が既定の機能を失うことと表現されています。

既定の機能とは何でしょうか?

既定とは故障しないように正しくとる行動の基だそうです。

良く分かりませんね。

故障とは設備が正しい行動を取らない状態というくらいの表現が妥当でしょうか。

やっぱりわかりませんね。

故障とは故障のことだ!っていう某大臣の某構文と大差がありません。

文学的な故障(breakdown)の定義

文学的な定義では、故障人間が故意に障害を起こすことのようです。

これはこれでちょっと問題がありますね。

実務上の故障(breakdown)の定義

さて化学プラントの設備向けに実務上の故障の定義を見てみましょう。

私の職場では、設備に異常があっプラントを停止するかどうか故障の定義としています。

分かりやすさ重視です。

  • 設備に異常があってもプラントが動けばOK
  • 設備に異常がなくてもプラントが止まる要因はノーカウント

これくらいの感覚です。

一応、データとして管理していてプラントライフを考えるために使っています。

経年劣化の度合いを評価として良いデータです。

異音がする・チョットした漏れがある程度でもそのままSDMまで乗り切ったら故障としてはノーカウント。

設備が止まっても、据付予備があって切り替えが成功したらノーカウント。

設備が不調っぽく見えて診断をしたら結果問題なしだった、という場合にもノーカウント。

原料が止まって生産が止まったというのも当然ノーカウント。

データとして整理しようとすればするほど、数を下げるための努力として定義をしっかり決めていく発想になります。

そうして年ごとの故障数が一定値以下になって変化し無くなれば、定義を見直していきましょう。

ちょっとずつやっていくことになるでしょう。

故障に健全に向き合うために

設備保全屋としては日々の故障とどう向き合うかということは、意外と大事なことです。

私の向き合い方を紹介します。

自分が悪いわけでは無い

現場で使っている設備が壊れた場合、保全屋はとにかく必死で治そうとします。

ここで過剰な責任感や劣等感を感じる保全屋は居ます。

製造部の人間が過剰なプレッシャーを与えている環境の保全屋がなりがちです。

TPM前では「私壊す人、あなた直す人」なんて言われていました。

TPMが導入されて進んだ環境でも、「壊れたときしか出番がない保全屋なのですぐに直してほしい」という態度で依頼をしてくる場合がいまだにあります。

この人たちは、お医者さんに診てもらう場合にも同じようなことをするのでしょうか?

お客様は神様の悪影響が残っている人でしょう。

こういう環境で保全屋を続けるのは、精神衛生上よくありません。

ちゃんとした会社なら、急な依頼を掛けて短い時間で対応してもらう保全屋に感謝の言葉しかありません。

バッチでも連続でも関係ありません。

プラントを止めないために保全屋が短期間で頑張るとして、日常的に使っている人たちが何の努力をしたのでしょうか?

使っているだけですか?

壊れそうになったらすぐに不調を連絡したり、調整したり、原因を考えようとしましたか?

早く治してとプレッシャーを製造部から与えられたとき、彼らが何をしたのか冷静に考えてみましょう。状況を聞いてみましょう。

「そんなことはいいから治すことが大事!」といってその場しのぎをして、後になっても何の連絡もない場合はその環境から去る方が賢明です。

設備は使っていくうちに劣化する

使っていくうちに設備は必ず劣化します。

設備は嘘をつきません。

嘘をつくのは人間です。

傾向監視の保全をちゃんとしていて急に故障した場合は、人間が原因と考えた方が良いでしょう。

製造部の人間が嘘をつくというのは、見ていなかった・気が付かなかったのにそれを正しく言わないという類も含みます。

設備は使っていくうちに劣化するもの。繰り返します。

それでもプラントを安定的に運転させるために、定期的な補修や切替をすることを運転員・保全員・設計員が考えるべきです。

パトロールを定期的に

保全員もパトロールは定期的に行いましょう。

事務仕事に追われる保全員であっても、日々のパトロールは大事です。

バッチプラントの場合、動かす設備が時期や時間によってバラバラです。

パトロールの曜日と時間をある程度ランダムにすることで、見逃す機会は少なくなるでしょう。

製造部がしっかり見て報告を上げてくれる場合は、パトロールは少なくていいです。

製造部を信用できないという環境なら、自身がしっかりパトロールしましょう。

設備の運転条件を知っているとパトロールもしやすくなりますよ。

参考

最後に

化学プラントの設備に対する故障の定義を解説しました。

JIS・文学・実務で多少の差があります。

プラントを安定的に動かすために故障の定義をしっかり定め、保全の責任範囲を明確にすることは保全を健全に行うためにも大事です。

お客様は神様となりやすいのがJTCなので・・・

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