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機電系エンジニアの私がデータエンジニアリングに興味を無くした理由

データエンジニア キャリア
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化学プラントでプロセス制御や自動化は、エンジニアの花形ポジションだと思っています。

化工系出身者と機電系出身者が共同して作り上げる。

良否は、製造の質に直結して、安全で競争力のあるプラントかどうか分かれる超重要な業務です。

昨今は、DXやAIなどの動きもあって、興味を持っている人は多いでしょう。

この辺まとめてデータエンジニアリングとかデータサイエンティストなんて呼ばれていますよね。

空調のきいた部屋で仕事できるし、場所も問わないで出来る業務が多かったりするのもポイント。

ですが、私はここにほぼ興味を持っていません。

バックグラウンドとしては十分に素養があり、やればできたのだと思います。(大学や大学院ではプログラミングをするのは当然でしたので)

それでも興味を持たなくなったごく個人的な理由を、まとめます。

たまたま機械と現場の仕事だけを経験

私のキャリアは最初は機械の仕事でした。

機械設備の設計とか保全をしていて、現場と事務所を往復する日々。

タンクtとかポンプとかゴツゴツしたハードものばかり扱っていました。

大学までと違って部屋の外での仕事が多くて、最初は違和感がありました。

それなりの時間を経験すれば、慣れてくるもの。

気が付いたときには製造課の仕事にローテーションさせられていました。

もともとはプログラミングなどにも興味があったのですが、主張する機会が無ければ接する機会が無いので、自ずと興味は少なくなってきました。

今にして思えば、プログラミングをしたいと強引に主張すれば話を聞いてくれたかもしれません。

製造の一部

データエンジニアリングと最近では話題になっていますが、プラント目線で見れば、one of themでしかありません。

実際に携わっている人で、自業務が製造のすべてと思っている人はいないでしょう。

世間一般にはアピール力がすごく、この業務を知っている人は会社の中で有利になる、もっと言えればこれを知らない人は取り残されていくという強引な主張すらあります。

私は、これらの主張は必ずしも正しくないと思っています。

昔ながらの現場主義が残るという意味もあります。

ですが、自動化で生き残るのは制御より機械だという想いの方が強いです。

設備がどれだけ自動化されていっても、自動制御の仕組みが自動化される方が、設備本体のメンテナンスが自動化されるよりも先でしょう。少なくとも私が定年する10~20年の間はそうだと思います。

設備が自動化されても、オペレータは必ず残ります。管理者も必要でしょう。

現場で重要なトラブルが起きたときは、現場を止める判断とその適正な処置が大事です。制御はそのためのツールでしかありません。

製造を深く経験した人がデータエンジニアリングに転向するなら良いのですが、最初からデータエンジニアリングを志望した場合、非常に危ない立場になるでしょう。

自動化を機電系エンジニアと同じポジションにしているがゆえにデータに明るい新卒者が来ない、だから自動化に関する業務の位置づけを上げるべき、ということも難しい。

広い意味で、機電系エンジニアの一部署にしかなりえません。

本丸である化学系や化工系の人を、差し置くことはできないですからね。

かといって、全社部門として配置しても、個々のプラントや業界による違いが大きい大会社ほど、全体を取りまとめをすることは難しくなります。

簡単に改善ができる部分は限定的ですぐになくなってしまい、各プラント現場の御用聞きをして回ることになります。

効果が出にくい

自動化の効果というのは、実は結構表に出にくいです。

収率が上がった、時間を短縮できた、などTPM+αのオーダーの話はいっぱいあります。

人が少なくなっていくこれからは、現場を安定化させるためにも必須です。

でも、本来効果を出すべきはもっと他にあります。

  • 安価な原料を使う
  • 新たな製法を開発する
  • 反応条件の最適な範囲を徹底的に調べる
  • メンテナンス費用が下がるようなプロセス条件にする

こういう部分こそが、効果が表れやすいです。

これらの手助けをするようなAIなどは開発されていますが、現場レベルではもう少しという感じでしょう。

時間が掛かる

データエンジニアリングを行うには時間が掛かります。

既存のデータだけで出来ることは少ないでしょう。それで得られるデータは、経験値と大差なかった、ということも。

だからこそ、現場で取得できるデータを増やすようなDXが進んでいます。

防爆地域でも使えるように対策した物も出ています。

とはいえ、これらが一般化するにはもう少し時間が掛かります。

それでも、得られる効果は主要プロセス反応の最適化など、限られたものになるでしょう。

データをあれこれ活用して、未知の探索をしたい。

これが意外と難しいのが化学プラントです。若い人なら、この分野が育ってきた時に、第一線で活躍できる機会は残っているかもしれませんね(次の世代かも知れませんが)。

お金も掛かる

データエンジニアリングはお金も掛かります。

人が行ってきたことを、もっと大きなお金で機械に任せるようなもの。

十分な投資ができる環境であれば良いのですが、古いプラントが多い日本の会社では設備更新に掛かる費用が大きいでしょう。

新プラントを建てるときにしっかり考えて、その費用アップ分を吸収できる投資の場合でようやく実現するという感じです。安い海外で建設するというならチャンスがあるかも。

特定の場所だけの自動化や高度制御化は、もう少し進みやすいです。

その場合は、製造の一部にしかタッチできないという問題を抱えます。

参考

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最後に

機械系エンジニアである私は、プロセス制御・自動化・データエンジニアリングの道もあったと思いますが、今ではほぼ興味を持っていません。

たまたま機会が無かったことが大きいですが、これらの業務は所詮は製造の一部でしかなく、効果が出にくく時間とお金も掛かります。

それなら運転や設備など幅広く見れる職種の方が、生き残りやすいと今では思っています。

化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。)

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