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ハステロイ反応器の設備設計で大事な材質選定|C276を基本に考える理由

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ハステロイ反応器というと、「高価」「特殊」「設計が難しい」といったイメージを持たれがちです。しかし実務の現場では、製作構造の細かい違いよりも、どの材質をどう使うかという思想のほうがはるかに重要になります。

特に多くの化学プラントで採用されているのが Hastelloy C-276 です。
なぜC-276が“基本材質”として選ばれ続けているのか、また設計者・ユーザーが本当に考えるべきポイントはどこにあるのか。

本記事では、ハステロイ反応器の材質選定を中心に、実務目線で設計の考え方を整理します。

グラスライニングでは駄目なもの

ハステロイの反応器はグラスライニングでは駄目なものが、候補となります。グラスライニングの弱点をいくつか知っておきましょう。

高温・高アルカリ

グラスライニングの最大の弱点は、高温・高アルカリの環境です。pHもアルカリだと注意信号、100℃を越えてくると危険信号です。苛性ソーダなど汎用液に対する腐食データは、メーカーが開示していますので、参考にしましょう。高温・高アルカリに、スラリーなどの要素が加わってくると、破損の確率はもっと上がります。

反応的にやむを得ない場合もあるので、グラスライニングで無理に運転しないように気を付けましょう。

フッ素

グラスライニングはフッ素にも弱いです。バッチプラント向けの反応器でグラスライニングが一般的なので、意外と見落とす人が居ます。

フッ素を含む液は極端に多いわけではないので、グラスライニングで構成されたプラントに製品を導入する場合は、真剣にいろいろ考えることになります。これと同じ感覚でグラスライニングは純水にも向いていません。

静電気

グラスライニングは静電気にも弱いです。高帯電性の物質を扱う場合には、要注意です。導電性のグラスライニングも開発されていますが、完全に対応できるわけではありません。

ハステロイ装置で考える材質

グラスライニングが使えずにハステロイを使おうとした場合に、材質の話をまとめます。

C276が基本

ハステロイはC276(N10276)が基本となります。反応器となると高価な買い物になるので、金額を少しでも抑えるために汎用性がやや高いC276を選ぶことでしょう。

C22は最高スペック

C22(N06022)はハステロイとしては最高スペックだと考えて良いです。C276とは違って、高価な反応器だからこそ、最高スペックにしたいという考え方もありえます。

ガスケットはフッ素無垢が最初

ガスケットはフッ素無垢が無難です。フッ素を扱うためにハステロイを選んでいる場合は、少し微妙ですが他の選択肢がありません。フッ素包みガスケットは、透過のリスクがあるので避けましょう。圧力が高い場合には、渦巻ガスケットなどになります。

温度計などはガスケットなし

反応器内の材質では、温度計のガスケットが課題になります。温度計のタンタルチップなど、母材と別に製作した場合、シールとしてガスケットを挟まないといけません。装置内にガスケットがあるというだけでも、リスクを高めます。

溶接など完全に液が漏れないような構造にしましょう。もちろん撹拌翼も同じです

バッフルは本体と溶接しない

バッフルはハステロイにしますが、バッフルを本体と溶接するのはできるだけ控えましょう。溶接をするということは、材質を劣化させると捉えても良いです。

耐食性が求められるハステロイ容器で、あえて劣化させる要素を作るくらいなら、挿入管タイプのバッフルにした方が良いでしょう。ただし、撹拌流れによる振動を抑えるために、バッフル形状や座の形は考慮が必要です。

軸封は要注意

軸封は意外とやっかいな問題です。例えば、ドライシールにした場合、スプリング材質をハステロイにするのか?という問題が出ます。

この場合、大抵はC276です。静電気を気にするだけの場合なら、C276でも構わないでしょう。

耐食性を上げる目的で、本体材質をC276にした場合、ドライシールのスプリングを同材質であるC276にしていると、スプリングの方が速く劣化する場合があります。

この場合は、ドライシールではなくダブルメカシールにしてバリア液を入れたり、窒素でシールするなどスプリングに対するケアを考えましょう。

参考

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最後に

ハステロイ反応器の設計で本当に大切なのは、
製作ノウハウや細かい構造ではなく、材質選定の思想です。

  • C-276は「万能だから」ではなく「破綻しにくいから」選ばれている
  • 材質の弱点は、母材以外の部位に現れる
  • ユーザーが材質思想を理解していないと、設備寿命は簡単に縮む

ハステロイ反応器は高価な設備だからこそ、
最初の材質選定で失敗しないことが最大のコストダウンになります。

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