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電気設計

現場でできる防爆対策の基本:モーターを防爆型にするか、非防爆を遮断で守るか

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防爆化 電気設計
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 化学プラントなど防爆設備が求められる場所では、防爆という制限のために導入できる設備が限られます。定期的に購入する設備で防爆を標準化されている場合は、購入者側はコストや納期を意識することはあっても、どうやって防爆設備にしているかを意識することはありません。この感覚でいると、何か新しい設備を導入する時に多少のつまづきを覚えます。
 本記事では、現場レベルで防爆設備を導入するための工夫・コツについて解説します。

防爆化のポイント

 設備を防爆仕様にするためには、実際の設備に対してどういう対応をしているでしょうか?基本的なことですが、意外と見落としがちです。化学プラントの設備なら、一般的に以下の対応を取ります。
 ・防爆モーターを使う
 ・非防爆のモーターを爆発性雰囲気下から遮断する
この2つが基本です。設備屋目線では防爆モーターだけが全てだと思い込んでしまいます。ところが非防爆のモーターを遮断することも立派な対応の1つ。耐圧防爆や安全増防爆も電気を使うことは同じで、静電気が発生するリスクはあるもののそれを何らかの対応でカバーしています。であれば、非防爆のモーターを遮断することは防爆対応そのものとも言えます。

 設備とは一定規模以上の動力を使う機械設備をイメージしていますので、本質安全防爆が可能な計装設備はここでは対象としていません。

防爆モーターで対応している設備

 防爆モーターで対応できる設備は、例えばポンプ・撹拌槽・遠心分離機などです。これらの設備はモーター部分だけが着火源なので、モーターを非防爆から防爆に変えるだけでOKと考えられます。

 本当なら静電気が溜まらないような設備である必要があり、浮き胴体などが出来上がるとNGのはずですが、部品レベルの話になり官庁検査などで指摘されたことはありませんね・・・。

 エアコンや集塵機などボックス内にモーターが格納されているものも、防爆モーターに変えることで対応しています。ここでいうボックスは爆発性雰囲気を遮断するような強力なものではなく、単に板を張り合わせて外部から見えなくしたようなもの。ボックス化されているとモーターとの配線がしにくくなるので、コンセントでボックス外と取り合うケースが多いですが、このコンセントも防爆化が必要な点は注意しましょう。
 これらの設備を防爆に改造しますと言われたときに、最初は「良く分からない部品レベルまで含めて高度な改造をしている」と思い込んでいたのですが、現実にはモーターを変えるだけと知り驚いたことを覚えています。この理解が応用に繋がります。

非防爆モーターの遮断を利用した設備例

 非防爆のモーターを外界と遮断する例として、DCS・カメラ・携帯などがあります。これらの設備は非防爆の設備をそのまま使用できるような遮断を考えます。

 遮断は金属製の板で周囲を覆い、外部とやり取りする動力線部に隙間ができないように保護すれば、理論的には防爆が可能です。
 ・板と動力線の隙間をグランドシールなどで物理的に遮断する
 ・動力線が外に出ないようにコンセントで取りあう
 ・動力線が外に出ないように充電式にする
微妙なニュアンスの差こそあれ、非防爆設備を爆発線雰囲気下で使うために気体を物理的に遮断することが大事であることが理解できると思います。カメラは外部の光が邪魔をする可能性があるので、板で遮断することは測定の面でも都合が良いです。充電式は防爆携帯などのイメージですが、端子部が外部に露出しやすいので、防爆としては弱いのでは?と思います。

 非防爆のモーターを危険場所で使用することはリスクがあるので、しっかりと検定が取れた設備を使うことが安心となります。検定が取れているから問題ないと考えるのは少し危ないと思いますので、危険場所の設定・リスク評価や設置雰囲気下の改善など少し広い目線でも考えれると良いでしょう。それらの対策の1つとして、非防爆モーターの遮断があると考えると良いと思います。

諦めないことが大事

 設備の防爆化はとても大きなハードルがあって、設備によっては難しいと感じるかも知れません。ところが、何か要求事項を1つ下げるだけでも防爆化に進めるチャンスが見つかる場合もあります。例えばメーカーを変えるだけでも可能になるかも知れません。何となく難しい・面倒だ、と諦めずにもう少し調べて答えが見つかると、技術者としての成長を実感できるでしょう。防爆は多くの人が問題として抱えているので、調べる価値はあると思います。

参考

最後に

防爆対策は「防爆モーターを使う」ことが一般的ですが、「非防爆モーターを遮断する」という考え方も実はあります。防爆の原理だけでなく体系を理解して、正しく使うことが最も重要です。

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