図面には部品型番(model number)を正しく書きましょう、という話です。
型番については意外と雑に扱われるシーンが、少なくとも化学プラントの設備関係では散見されます。
メーカーから提示された標準図に対して、忙しいからとチェックを疎かにして製作納入。
その結果、困るのは設備を長い間使い続ける保全担当者です。
彼らが少しでも楽にできるように、製図者や設計者が理解しておきたい内容です。
チームで仕事をするという助け合いの精神が大事でしょう。
化学プラントでの部品型番(model number)の例
部品型番の例を、化学プラントの場合で解説します。
これくらいが化学プラントでは特に大事です。
汎用的でよく見かけます。
1つの物を作り上げようとしたら、非常に多くの部品が必要です。
図面とは別に部品リストなるものが必要になる機械が、世間一般のイメージでしょう。
しっかりした部品リストがあると、部品型式もちゃんと書かれています。
その膨大な点数の中から、ユーザー目線で必要となるのは消耗部品に相当するもの。
保全担当者としては、機器の図面から消耗部品であるガスケット・Oリング・ベアリングがどういう型式を使っているかをチェックすることになります。
ユーザーが図面の部品型番(model number)を大事にする理由
ユーザーとしては図面の部品型番は大事にします。
というのも、壊れたときに慌てないように予備部品として予め確保したいからですね。
もしくはSDMなどで修理をする時期が決まっているときに、ちゃんと準備するためでしょう。
どちらの場合も「実物を開けて部品型番を調べる」ということはできません。
そのため図面上の型番を頼りにします。
その後、発注へと進んでいきますが、設備保全エンジニア的には心配が残ってしまいます。
- 実物と図面があっているだろうか
- 図面中の部品型番は本当に正しいだろうか
- 発注依頼をするときに部品型番を間違いなく記載しただろうか
- メーカーは部品型番を間違えることなく、注文を請けて製作しただろうか
- 納入したときに、実物の部品型番が本当に間違っていないだろうか
- 取り替えてみてちゃんと機能するだろうか
答えは整備が終わって動かすまで分かりません。
特に初めての仕事で部品発注を依頼する場合は、とても不安になります。
この不安を少しでも減らすために、部品型番が適切に書かれていることが1つの要素となります。
図面に部品型番が適切に書かれていることなんて、当たり前のように思いますか?
実はここに罠があります。
図面には適切に書かれていないケースが実はあります。
- ガスケットをテフロンと適当に書いて、サイズやオプションを書かない
- OリングをNBRとだけ書いて、太さ・径など書かない
- ベアリングの型番を全く書かない
こういう図面があったら、保全担当者は個別にメーカーに問い合わせないといけません。
問い合わせする数が多いとそれだけでも一手間掛かります。
少しでも実務で楽になるためにも、納入前の検図のタイミングで指摘するのが大事です。
記載されている部品型番も、自分でチェックして実物がちゃんと存在するか調べましょう。
ただでさえ、入力間違い・転記間違いが起こりやすいのが部品型番です。
人間の仕事には完璧は無い以上、複数の目線でチェックしたいですね。
設計者も保全担当者がこういう苦労や心配事があるということを理解できれば、物を買うタイミングや検図をするタイミングで心構えが変わると思います。
メーカーが部品型番(model number)を図面に適切に書かない背景
さて、化学プラントの設備の図面で部品型番が適切に書かれない背景がいくつか考えられます。
- 1品設計の設備が多い
- 製図段階で部品の理解ができていない
- 製図者の能力・人数・工期が不足している
本来の部品リストは、汎用的な設備に対して効率的に資材調達をするためのBOMの位置づけのはずです。
ところが、化学プラントの設備では特殊な撹拌槽など、1点設計品が多いです。
ここではゼロから設計を行い、先に全体設計を行ってから、その後に使えそうな部品を探してくるというアプローチとなります。
全体図を作成して、その部品を書くときに、「とりあえずテフロン」というような位置づけで書いてしまいます。
特殊な部品であるほど最新版の型番が何か分からなくなります。
ガスケットはその典型例。
最終的に発注するときには型番は決まりますが、調べている時間がありません。
製図のマンパワーの問題です。
先に全体像を仕上げ、ユーザーの検図が終わり、製作に掛かります。
ここで部品調達が必要になって型式を調べ、発注するのですが。。。
図面への反映が必要ということを忘れてしまいます。
忙しくて忘れます。
発注まで進むと、図面の修正はもうしなくていいものだ、と思ってしまいます。次のステージに移ったと認識してしまいます。
さらに発注まで進んでしまうと、後は工場での制作のフェーズになって、そのころには次の仕事の設計が待っています。
設計者が十分に配置されているメーカーの方が少ないので、この問題なかなか寝深いです。
参考
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最後に
化学プラントの図面で部品型番を正しく書くべき理由について解説しました。
ガスケット・Oリング・ベアリングなどメンテナンスに関わる情報が特に大事です。
1品設計で設計者のマンパワーが少ない現状では、ユーザーが正しく指摘しないと、図面が反映されずに納入まで進むこともあります。
間違いが起こりやすい型番の情報は、丁寧に確認したいですね。
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