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デジタル化

設備保全のDXを進めるための費用対効果の考え方

DXと費用対効果 デジタル化
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DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しいですよね。

防爆規制が厳しかったり、100点満点を目指す改造を求めたりして、とにかく進みません。

ここでよく話題になるのが費用対効果。

費用対効果の考え方を変えないと、DX化はいつまで経っても進まないでしょう。

DXを進めて成果としてアピールしたい人は多くいますが、効果があるのはその場・その人だけ。

使う側の現場には負の資産として残ってしまいます。

典型例を考えてみました。

駄目な例

先に良くある「駄目な例」を紹介します。

人の点検費用と比べる

費用対効果を考えるとき、人が設備を点検する費用と比べます。

例えば、サービスマンが工場内を1カ月に1回回って点検するとしましょう。

そこに50万円/人×2人が必要だとします。100万円ですね。

設備保全でDXを進める場合、この費用よりも安いことが絶対条件として考えられがちです。

自動メンテナンス機を導入してサービスマンを減らそうとしても、この例だと削減効果は50万円もしくは100万円。

機械は下手したら100万円を越えるものもあるでしょう。

自働機械の方が人より高いから、人にメンテナンスしてもらう方がいい。

この考え方で、駄目になる例は本当に多いです。

生産停止機会と比較する

仮に人の問題がなかったとしても、プラントを止めれば良いでしょ?という率直な意見が出てきます。

連続系の化学プラントだと、そうはいかないでしょう。

ところがバッチ系だと止めることが結構簡単です。

メンテナンスに時間や金を掛けなくても、壊れたら止めて応急補修をする、という考え方で生産計画を練ってしまったら、生産停止機会は数日レベルとして解釈されます。

この停止機会も、生産計画の余裕代として含めてしまっていたら、壊れたら諦めるという割り切り方ができます。

そうすると、自動メンテナンス機を導入してリスク回避をしようなんて、気にはならなくなるでしょう。

主張すべき内容

人や生産機会の話をするにしても、主張内容は変えた方が好ましいでしょう。

人が居ない

サービスマンが居ないという現状を説明すべきです。

例えば、今まで2人で工場全体を回っていたとして、1人が辞めてしまうとそれだけで点検頻度は下がります。

サービスマン自体が少ないと、少しの変動要因が大きな差となって現れます。

募集しても人が来ないこの時代。

メンテナンスを諦めたくないなら、必要経費として導入せざるを得ないという主張があるべきでしょう。

ただし、費用は最低限にすべく高価な設備を提案するのは止めましょう。検証に時間が掛かるだけで結局は進みません。

運よく高価な設備を導入できても、超重要な設備を数点チェックできるだけで、膨大な数の設備を点検する人の役目に変わるわけではありません。

汎用化・共通化されやすいバッチ系化学プラントは、DXが進みにくい環境にもともとあると言えます。

安全上の問題

DXを進めず、人も居なくなって、メンテナンスを諦める方向になったら、安全上の問題があります。

設備が故障して危険物が外部に漏洩して、火災などの事故が起こりえます。

この場合のリスクは非常に高いでしょう。

そうならない一歩手前で設備を安全に止めるために保全が必要で、そのための人がいないため、DXに頼らざるを得ないという論理です。

DXがないと安全に運転することはできません、と言い切る流れです。

この主張が有効になるのは、大きな事故とまでいかないヒヤリもしくは少し上のトラブルがある程度起こった後でしょう。

現状を認めずに放置していたから、こんな問題が起きたと認識してもらわないといけません。

言葉通り痛みを伴ってしかDXが進まないかも知れないですね。

修繕費をしっかり計算する

DXで期待されることの1つに、今までメンテナンスできなかったものを見ることができた、というものがあります。

この場合に、今までメンテナンスしてなかった=ゼロ円・DX導入=コストアップ、という短期的な目線で言われがち。

今までメンテナンスしてなかったのではなく、できなかったのであって、ちゃんとしたら費用がこれだけかかるはずという試算をしましょう。

修繕費予算などが決まっていて、やむを得ず中断せざるを得なかった費用であることを主張し、DXの導入により例えば点検費用が下がってメリットがあるという言い方をする方が良いでしょう。

コストカットを目的に、導入を止める係がいますが反論はしっかりした方が良いです。

万が一ことが起こったら、止めた側の責任となるように・・・。

幅広い目線で

DXを進めるためには、仕事そのものを変える必要が出てくるかもしれません。

特定の部署だけで何とかできるわけでなく、多くの部署が関わり、それらを取りまとめる人が居ないと進まないでしょう。

例えば部品の在庫管理を取っても、部品の数・使用量・金額・置き場所・発注方法・入庫出庫管理など多くのことを考えないといけません。

これを特定の部署だけで解決することはできないでしょう。

複数の部署がどんな仕事をしていて、何が課題かを共有できないと、進まないです。

縦割りの組織ほど情報が公開されず、上手くいかないのは当然ですね。

DXを進めるために、異動・ジョブローテーションは1つの解決策になりえます。

ただし、少数の人だけが全体像を知っていても、周りが付いてこない可能性があり注意しましょう。

個人的には、特定の仕事だけをずっとしたいというのは、周りの仕事が見えない点で不安になりますが、一般にはそうは思わないようです。

参考

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最後に

設備保全のDXを進めるために費用対効果を考えるには、人の費用や生産停止機会という分かりやすい指標はできるだけ避けましょう。

単純計算ではコストメリットがでません。

人がいない・安全上の問題があるなど危機感をアピールしましょう。

小さな問題が起きて、メンテナンスの重要性を認識してもらわないと、DXは進まないと思います。

もちろん幅広い目線も必要です。

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