セラミックポンプ(ceramic pump)は、耐食性が求められる厳しい環境で使うポンプです。
NGKケミテック社のセラミックポンプはその世界ではとても有名。
もうこのポンプ以外に使えそうなポンプが思いつかない!
これくらい緊迫感のあるプロセスで選定します。
セラミックポンプにはいくつかのオプションがあるので、万が一上手くいかない場合にもすぐに諦めることなく、いろいろな可能性をチャレンジしたいですね。
そのためにも、どういう選定をすればいいのか例を紹介しましょう。
材質
セラミックポンプというくらいなので、材質はセラミックです。
セラミックはワレモノなので、外部を保護します。
アーマーと呼んでいて、FCD(ダクタイル鋳鉄)で外部を覆っています。
ポンプ内物の圧力に耐えるための強度を持つという意味と、物がぶつかるなどのポンプ外部から加わる力でセラミックが割れないようにするという意味の大きく2つがあります。
MGKケミテックとしてはSiCやPFAなどの接液部もありますが、セラミックが基本になります。
他の選択肢はセラミックでどうしてもダメっ!という時の選択肢の1つくらいに考えておきましょう。
メカニカルシール
セラミックポンプは渦巻ポンプ型が一般的で、軸封はメカニカルシールです。
セラミック渦巻ポンプと呼ぶこともあります。
メカニカルシールはインサイド型が基本ですが、このポンプはアウトサイド型を基本としています。
スプリングがプロセス液に接触しておらず、高い耐食性を考慮しなくていい点が、セラミックポンプに向いています。
アウトサイド型のデメリットである、漏洩しだすと勢いよく漏れるという点は、しっかり認識しておきましょう。
フラッシング液は必要です。水が一般的です。
クエンチング液を使うかどうかは、プロセスの安全性に依存します。
漏れたらすぐに洗い流さないと、外部への影響が大きいもの(毒性ガスなど)は積極的にクエンチングしましょう。
耐酸性が求められるプロセス液はだいたいが危ない性質なので、水や空気などで洗い流すのが安全側です。
軸封はアウトサイド型メカニカルシール以外にいくつかパターンがあります。基本型で対応できない場合は、個別にメーカーと相談しましょう。
渦巻型が基本
マグネット
マグネット型は軸封を持たないポンプ構造です。
セラミック渦巻ポンプに対して、セラミックマグネットポンプと呼ぶこともあります。
マグネットポンプのメリットである、液漏れが起きないというのはとても重要。
メカニカルシールのように、固形分が詰まるとすぐにダメになるポンプに比べると、安心感があります。
一方でデメリットは、詰まりやすいということ。
マグネットポンプなどシールレスポンプは、軸封で発生する摩擦熱の代わりにベアリングで摩擦熱が発生します。
これをプロセス液で冷やすのが基本思想。
ポンプ内部を均一な温度分布にするためには、ポンプ内に液の通り道を確保しないといけません。
通り道を大きくすると、ポンプが供給できる流量のうちポンプ内部の循環量に割く割合が増えて、ポンプ外部に送る流量が減ってしまいます。効率が落ちます。
通り道を小さくすると、万が一詰まってしまったら、ポンプが熱を分散化させることができずにすぐに温度上昇が起こります。
耐熱温度を越えて、ポンプが壊れるというパターンですね。
マグネット型は漏れないが詰まりやすい
スラリー性
スラリー性はセラミックポンプの最大の課題です。
個人的には、セラミックポンプでスラリー液を送るのは反対です。
腐食性が高く・スラリー性が高いという条件は、非常に悩ましいです。
カタログスペックではある程度は使用可能と言っていますが、個別に考えないといけないでしょう。
試しに買うには高い設備なので、他の場所でも使えるような機種としてポンプを選定しておき、対象プロセスで使えなくても整備したうえで予備にしておきたいですね。
たいていの場合は温度も高かったりするので、フッ素樹脂のマグネットポンプも使えなかったりします。
運転時は問題ないけど、冷えると結晶が出るので温めたいという場合も、ポンプ部での内温が高くなる方向です。
100℃を越えるとフッ素樹脂マグネットポンプは使えないと思っていた方がよく、温度問題は非常に厄介です。
こちらはフッ素樹脂の話ですが、カタログスペックをそのまま信じるのは要注意ですね。
参考
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
セラミックポンプの使い分け方の基本を紹介しました。
高耐食性のポンプですが使い方は慎重になりましょう。
渦巻型だと漏れるのが怖く、マグネット型だと詰まるのが怖いです。
腐食性が高く・スラリー性も高く・温度も高いということが多いバッチ系には相当慎重になりましょうね。
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