バッチ系化学プラントでは外国語(foreign language)を使う機会はない事情を紹介します。
化学プラントでもグローバル化が進んでいて、英語を使う環境もあるように思うでしょう。
少なくとも、バッチ系化学プラントではほぼ使いません。
ドメスティックな仕事です。
強引にグローバル化を進めようとしてもうまくはいきませんね。
そもそもグローバル化が絶対的に正しいわけでもないのに、グローバル化を進めようとすることの方がおかしいと思っています。
プラントエンジニアとしては外国語ができたほうがいいですが、そんなに高い資格が必要というわけではありません。
気合で何とかなると言われがちですよね。
外国語(foreign language)を習得する必要がない理由
ドメスティックなバッチ系化学プラントで外国語を習得する必要がない理由をまとめました。
外来語が多い
そもそも化学プラントで使う技術用語は日本語ではありません。
化学プラントでは思った以上に「外来語」を使います。
IT関係と同じで外来語が無いと技術の進歩はなかったでしょう。
日本語化することを諦めてしまったという意味では、化学プラントの方が遥かに先を進んでいます。
そういう外来語を除くと、バッチ系化学プラントでは外国語を使う機会はほぼありません。
例えば英語で話したり・英語の記事を読んだりする機会はほぼ皆無です。
JIS以外の基準を使わない
バッチ系化学プラントではJIS以外の基準を使うことはありません。
連続系化学プラントならASMEやANSIなどを使うこともあるでしょう。
プロセスも設備もほぼ確立されているので、世界中どこでも似たような構成になります。
同じ基準を使う方が効率的ですよね。
バッチ系化学プラントでは製造方法や設備構成が競争力を左右する要素です。
国だけでなく地域によっても違いが多く、同じ工場の隣り合うプラントでも構成は違います。
反応器とポンプと熱交換器を繋ぎ合わせているだけのはずなのに、不思議です。
ASMEやANSIを使う必要がないので、英語の基準や記事を見る必要すらないのが実情。
化学プラントの機電系エンジニアのキャリアとして良いか悪いかは、ちょっと分かりませんけどね^^
日本の設備で十分
バッチ系化学プラントの設備は日本製で十分です。
これは誇るべきこと。
新興国では自国で製造設備を作ることができず、国外から調達しないといけませんからね。
日本語だけで相当深い研究ができるのと同じで、日本製だけで構成できる化学プラントも技術力の高さを示しています。
とはいえ、化学プラントが発展したときには海外から技術を輸入したわけで、
単に自国で製造できるようにしたという側面が強いですけどね。
コアの技術は海外のモノをそのまま使っている、というケースはままあります。
それでも、自国で製造できるだけでも十分でしょう。
何にしろ、海外で作った設備を船で輸送する、というケースはほぼありません。
工場の規模が小さい
バッチ系化学プラントの規模が小さいことは、外国語を使う機会を削いでいる要因です。
ローカル社員で構成された場所に、外国人が1人来ても仕事をするのは辛いでしょう。
かといって、複数の外国人が来るほどの価値もないです。
日本人の社員を配属することは考えても、外国人の社員を積極的に配置しようとは思わないでしょう。
もちろん、連続プラントのようにASMEで仕事をする環境でもないですし。
工場の規模が小さいから工事の規模も小さく、作業者も日本人がほとんどです。
最近は、外国人の労働者も少しずつ出ていますが、英語で注意喚起をするかどうかで揉めているのが実情です。
工事会社の監督が英語を使えないことが、言い訳として成立しています。
でも、監督が英語をある程度使えるようになった時が怖いですね。
オーナーエンジニアは英語を使えず、工事会社の日本人の方が英語を使える
成長しないオーナーエンジニアの側面がまた1つできる将来が目に見えています。
施工会社では外国人も働き始めていますが、日本語でのやり取りを基本としています。街中の工事では監督が外国人で日本語での会話をしない現場もあるようですね。
外国語(foreign language)を習得するメリット
化学プラントの機械エンジニアとしては、外国語を習得していてよかった場面が数少ないけどいくつかあります。
私は外国語として、TOEIC700点程度・HSK5級を持っています。
これは。化学プラントの機械エンジニアとしてはかなり高級の部類に入るでしょう。
でもまともに口頭会話ができないから、大したことないと思っています。
議論の方向性が分かる
海外出張をしたときなどに、会議などでの議論の方向性を理解できます。
中国での議論は典型例でした。
中国語オンリーでの会話が普通で、中国語と日本語の通訳が付く程度。
日本人側が中国語を習得しない限り、通訳者頼みになります。
この通訳者が適正に仕事をするとは限りません。
技術的な内容が意図通りに伝わるとも限りません。
同じ現地人同士、守りあう関係を築く場合もあります。
また、中国語で議論は明後日の方向に進みがちです。
会議が無駄に長引くだけで何の生産性もありません。
通訳者の負担を降らしつつ、議論の軌道修正をする意味でも、言語をある程度知っていると早いです。
この議論でこの単語が出るはずがない
そう判断した段階でストップを強制的に掛けれるからです。
「議論が明後日の方向に行く」という点について、お国の問題があるかと思ったのですが、そうとばかりも言っていられません。
日本語での会議や業務でも明後日の方向に飛びまくっていますからね・・・。
何となく尊敬される
化学プラントの機械エンジニア程度だと、言語を少し知っていると尊敬されます。
TOEIC700点で凄いと言われるレベルです。
でも、これが人事評価の何気ない部分にプラスに作用する場合はあります。
評価が上がっても意味はほとんどないのですが、精神衛生上は健全です。
それだけのために、言語を習得すべきかは極めて疑問です。
文化を少し知ることができる
言語を勉強すると、その国の文化を少し知ることができます。
完全に文化を知るには長い時間が掛かりますが、言語を勉強すると理解は速くなります。
言語を勉強しないと、常に日本語で生活できる環境に身を置かないといけません。
せっかく現地に行っても行動範囲が狭く、人生にとってはプラスになりません。
そもそも日本の文化や風習だけに染まることは好ましいことか。
これに疑問を持てば、自ずと外国語を勉強しようと思うでしょう。
仕事面でプラスになる以上に、人生でプラスになる確率の方が高いと思います。
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さらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ヤンさんのプラントエンジニアに英語は必要か?現役エンジニアが徹底解説!が参考になります。
最後に
バッチ系化学プラントで外国語を使う機会はない背景について考えました。
外来語が多い・JISで十分・日本の設備が良い・工事の規模が小さい
外国語を知っていると外国語の議論で方向性が分かったりちょっと尊敬されたり文化を知る機会が増えたりするささやかなメリットがあります。
先に技術的な知識を習得する方が良いでしょう。
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