グラスライニング設備の補修というと、「いろいろな方法があって、その中から最適なものを選んでいる」そんな印象を持たれがちです。
しかし実際のところ、グラスライニング設備の補修方法はそれほど多くありません。基本的にはいくつかのパターンに整理でき、考え方自体はとてもシンプルです。
この記事では、グラスライニング設備の補修を難しく考えすぎないために、現場で実際に使われる補修方法を「基本の考え方」として整理して解説します。保全担当者だけでなく、設計・運転に関わる方にも役立つ内容です。
樹脂を塗る
ガラスライニング設備に異常が認められた時は、樹脂を塗る方法が挙げられます。異常というのは一般には、ガラスが割れたり厚みが薄くなったりと、ガラスが機能しなくなったということ。
この機能を復元するために、ガラスと同じような物を塗って解決しようというのが、樹脂を塗る方法の考え方です。耐食性が高い樹脂を使います。ガラスライニングは、金属とガラスを張り合わせる技術。
このためには、焼成炉という特別な装置で高温の状態にしなければいけません。現場での補修は、そういう焼成炉がない状態です。
ガラスと同じような機能を付けようとして樹脂を使っても、ガラスと同じ状態には到達できません。液体部分に樹脂を塗っても、はがれやすい欠点もあります。残念ながら、樹脂を塗る方法はその場をしのぐためという扱いになります。ですので、樹脂を塗るという場合は、天板ノズルなどに限定されます。
- 樹脂を塗るだけなので、剥がれるリスクがある
- 液体が漬かる部分に塗っても、効果が薄い
- 天板ノズルのガラス剥離部の補修に使う
当て板
グラスライニングの補修の基本方法は当て板です。タンタルという耐食性が高い高級金属を使います。樹脂を塗ることが難しければ、金属を使おうという発想。
ガラスと金属を漏れなく貼り合わせることはできないので、シール材を使います。グラスライニング設備は円筒胴と鏡板を合わせた形ですが、金属板は円板です。補修する部分の面積が大きいと、金属板を貼ってシールすることができなくなります。
小さな穴が多数開いているという状態なら、小さな金属板を何枚も使うという方法が考えられなくはありませんが、大きい穴が開いているとどうしようもありません。
- タンタルなど金属板とシール材で蓋をする方法
- 形状が複雑な部分や、補修範囲が大きいと使用できない
交換をする
樹脂を塗ることも当て板をすることもできなければ、交換するしかありません。新品と交換する方法と、再焼成をする方法の2パターンがあります。新品交換が最近では一般的です。というのも再焼成は以下のデメリットがあるからです。
- コストメリットがない
- 再焼成をしている間、その設備は使えない
- 再焼成は何回もできるわけではない
再焼成は、コスト的には母材の金属部を再利用するに過ぎません。
作業的にはガラスや装置を剥がすことがプラスされるので、金属費の削減と労務費の追加の合計で、差が出なかったり労務費の方が勝ったりします。
もちろん、再焼成をしている間は現場に設備はありませんし、再焼成ができる頻度も限られている、というのであれば、再焼成の価値はかなり低いでしょう。
新品と交換して、古くなった設備を再度予備化するために再焼成ということは考えられますが、それでも費用が高いので、それなら新品を買って予備化する方が良いという思考になります。
この辺りは、会社としてのメンテナンス方針として決めておいた方が良いでしょう。
液面を下げる
内側の補修で樹脂を塗れないし、範囲が大きいので当て板もできない場合、液面を下げて運転することは1つ考えられます。
これは何も補修をせずに、交換するまで耐えるという戦法です。プロセス液から腐食性のガスが発生しない、という前提が付きます。使用している部分の腐食は進んでいきますので、液面を徐々に下げていって運転負荷を下げていく形になるでしょう。
全く生産しないよりはマシ、という選択をすることになります。
例えば、昔使っていたグラスライニング設備で内部に腐食がある状態のものを、別の用途に使うという場合に、やむなく使うという場合もあります。
液面を減らして運転する、ということは考えとして持っておきたいですね。
参考
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最後に
グラスライニング設備の補修は、実はそれほど複雑ではありません。
- 応急的な対応としての樹脂補修
- 基本となる当て板補修
- 対応不可なら交換
- それまでのつなぎとして液面を下げる運転
このように、考え方はシンプルなパターンに整理できます。
補修方法を難しく捉えすぎず、「どこまで対応できて、どこからは交換なのか」
その判断軸を持つことが、保全では何より重要です。
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