グラスライニング配管のトピックスの1つとして、閉止フランジを考えます。
閉止フランジは盲フランジやブラインドフランジ(BF)などとも呼ばれる、配管末端部に使う閉止板のことです。
例えばバルブから液抜きをするような場所では、バルブの出口に閉止フランジを付けて間違ってバルブを開けても液が漏れないようにします。
化学プラントのように耐食性が求められる環境で、グラスライニングの配管を使う場合に閉止フランジもセットで登場します。
ところが、これって高いので積極的に使いません。
どういう場合に使うべきか考えていきましょう。
閉止フランジと全面ガスケット
まずはグラスライニングの閉止フランジと対抗馬となる閉止フランジを見ましょう。
グラスラインニングの閉止フランジは、ガラスを張り付けるために丸い形をしています。
グラスライニングの配管とフッ素樹脂系のガスケットを付けて、閉止フランジで蓋をします。
これで液が接する部分は耐食性が確保できます。
一方で、右側のようにフッ素樹脂の全面ガスケットを使う場合があります。
この場合、閉止フランジはSS400など普通の鉄でも問題ないはずです。
であれば、グラスライニングの閉止フランジの価値がないように見えませんか?全部右側のガスケットでカバーすれば良いと思いませんか?
そうではなく、グラスライニングの閉止フランジにも使いみちがある、というのが今回の話です。
負圧に弱い
全面ガスケットは負圧に弱い特徴があります。
円形の全面フランジを端面のフランジだけで支えているので、内部には締付力は加わりません。
ボルトナットの締め付けが弱すぎる場合は、ガスケットが内部に引き込まれる可能性がありますが、そこまでいかなくても多少の変形はします。
これはガスケットの変形を伴い、シール性が悪くなったり、寿命が短くなったりします。
どれくらいの負圧までなら耐えるかは実績を基に判断することになりますが、1kPaレベルの負圧になるとグラスライニングの閉止フランジにしておく方が良いと考えます。
グラスライニングの配管は、液体と触れる加圧側だけに使うとは限りません。
例えば熱交換器の接続配管や、反応器の上部ヘッダーなどは、真空になります。
ガス透過に弱い
フッ素樹脂ガスケットはガスが透過しやすいです。
液体でも常温で多少気化するものもありますが、もっと一般的に起こりえます。
例えば、先に取り上げたガスラインやヘッダーなどは、通常は液体が接しない部分ですが、使用時に発生するガスが接触します。
このガスがフッ素樹脂ガスケットを透過します。
そのままガスケットとフランジの間に溜まってしまい、フランジを腐食させていきます。
液が漏れてしまったり、ガスケットを取り外すときに液が多めに流れてきて薬傷を起こしたりします。
見えない危険ですので、メンテ体制が弱かったり危険感受性が低いプラントでは、なるべく使わない方が良いでしょう。
ガスケットの選定が意外と難しい
負圧やガス透過の問題がある全面ガスケットタイプは、適正なガスケット選ぶのが実は難しいです。
指標は圧縮率や復元性というパラメータになるでしょう。
どれくらいの値なら良いかという目安はありませんが、値が高い方がリスクは高いと考えれるでしょう。
圧縮しやすい復元しやすいということは、ガスケット内部に空洞があると受け取れるので、例えばガス透過の性能に効いてくると期待できるでしょう。
とはいえ、これは絶対に正しいというわけではありません。
メーカーと相談しながら実績を積み上げていく形になります。
フッ素樹脂系のガスケットも1種類ではないので、贅沢な悩みとも言えます。
参考
下記の参考サイトも興味があれば確認してください。
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最後に
グラスライニングの閉止フランジを使う場所について解説しました。
フッ素樹脂の全面ガスケットに鉄の閉止フランジを使う安価なパターンもありますが、負圧に弱い・ガス透過するという問題を持っています。
グラスライニングの閉止フランジを使う場所は、ちゃんと選定しましょう。
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