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塩素を安全に扱うために必要な知識|危険性とプラント設計のポイント

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塩素ガス 運転
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 塩素は水処理や化学製品の原料として幅広く使われていますが、その危険性から化学プラントでの取り扱いには細心の注意が必要です。
 「塩素=危険」というイメージはあっても、設計や運転に必要な知識をしっかり理解しているエンジニアは意外と少ないもの。この記事では、塩素の性質やリスクを整理したうえで、安全に扱うための設計上のポイントを解説します。

塩素の危険性

塩素は危険なもの、とまずは認識しておきましょう。混ぜるな危険で有名です。

人にとって危険

塩素は人にとって有害です。刺激臭があります。眼・皮膚にとってよろしくありません。吸っても当然よろしくありません。毒性もとても強いです。

人に対する管理濃度として0.5ppmという数字が言われており、0.5ppm以上の塩素濃度の環境に作業者を暴露させないようにしましょう。

圧力が危険

塩素自体は通常はガスの状態で扱いますが、運搬や貯蔵するときは圧力をかけて液体の状態となります。液体になったりガスになったりするという性質は、危険そのもの。高圧ガスの世界になりえます。

水に触れると危険

塩素はガスの状態で扱うことが普通で、通常はドライのガスで扱います。水分が無い塩素ガスです。この状態だと比較的安全ですが、水に触れてウェットのガスになると危険です。

水に触れると塩酸と次亜塩素酸ができます。

Cl2+H2O→HCl+HClO

腐食性が急に上がります。チタンくらいの高級金属しか持ちません。

溜まりやすい

塩素ガスは空気よりも重く、溜まりやすい特徴があります。空気より重いから危険というわけではありませんが、思わぬ場所で塩素が溜まっていても気が付きにくいです。

設備材質

塩素ガス設備の材質は耐酸性を考慮して、フッ素樹脂ライニングが良いと思います。母材をSS400とするかSUS304などにするかは、思想として分かれます。FRPはあまり好ましくありません。

配管接続

配管接続は溶接接続を基本にしましょう。バルブなど要所にフランジ接続が必要となりますが、最小限にします。フランジ接続だとガスケットからの漏れの危険性が残って、危険です。

自プラントで雨風を防げる場所で完結して塩素を扱うなら気にしなくても良いですが、建物の外に塩素ガス配管を通す場合は注意することになります。

配管材質

塩素ガスはドライであると腐食性は高くなく、SGP系の鉄配管を使用することが多いです。圧力にもよりますがSTPGとしておくと、より安全でしょう。FRPや塩化ビニルを使うこともありますが、割れと透過と耐圧の問題が残ります。使う場合には、定期的な確認や交換など、運転やメンテナンスによるソフト対策が必要となります。

ガスケットはPTFE系にしましょう。これでも塩素ガスは漏れる可能性が十分にあります。漏れた塩素ガスが雨などの水に触れて腐食性が上がると危険です。この確率を下げるためにも、透過性よりは耐食性を重視したガスケットにしておきたいです。

ボルトナットはSUS304にしておくと良いでしょう。配管材質をSTPGにしていて、ボルトナットをSUS304にしていると少し変な感じがしますね。

窒素ブロー

塩素ガスラインは洗浄ラインもちゃんと設置しましょう。窒素ブローができるようにラインをあらかじめ作っておきます。塩素ガスが空気より重い性質も考慮して、窒素ブローは配管上部から下部に流すようにしたいです。かつ、配管は上がり下がりを極小化して溜まりが無いようにしましょう。

処理

塩素と取り扱った後の処理は、吸収塔での苛性ソーダなどによる処理が多いです。窒素ブロー先を吸収塔に繋げるようにラインを組みましょう。

参考

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化学物質に関する知識は、プラントエンジニアとして必要不可欠です。基本的な物質から理解を深めていきましょう。

最後に

塩素は化学プラントで重要な役割を果たす一方、強い毒性や腐食性を持つ危険な物質です。
安全に扱うためには、以下の点を押さえることが不可欠です。

  • 水分との反応による腐食を防ぐ材質選定
  • 漏洩を最小限にする溶接主体の配管設計
  • 塩素滞留を防ぐシンプルなライン構成
  • 窒素ブローと吸収塔による適切な処理

設計段階からこれらのポイントを考慮することで、事故を防ぎ、安全なプラント運営につながります。

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