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化学工学

真空系と常圧系でここが違う|化学プラントの運転

減圧真空単位操作 化学工学
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真空系(vacuum)について考えます。

化学プラントなどの運転では、化学工学の単位操作の理解が欠かせません。

プラントエンジニア初心者なら、常圧を前提とした勉強を最初は進めていきますが、蒸留など減圧操作の勉強をしていくと、ふと気が付きます。

今まで学んだことが減圧だと、どういうことになるだろうか。

実際の運転では減圧系での操作が多いですが、その時になって考えようとしても答えはすぐには出てきません。

現場で慌てなくて済むように、考えてみましょう。

真空系(vacuum)での一般的な注意

真空系という大気圧よりも低い圧力になると、注意することがいくつかあります。

  • 設備などの周囲にある空気が設備に入ってくる可能性がある(爆発性雰囲気の形成)
  • 体積が膨張する(ボイルシャルルの法則)
  • 沸点・凝固点が変化する
  • 気体の伝熱性が悪くなる

これらの理解をしているだけでも応用は効きますが、運転段階で応用を考える時間は無いでしょう。

もう少し細かく見るために、単位操作に着目しましょう。

流動

流動の分野では、圧損計算の前提であるタンクの内圧が影響してきます。

大気圧タンクから大気圧タンクに液を送る場合には、ゼロと見なして計算を省略します。

  • 減圧状態のタンクから大気圧タンクに送る場合は、ポンプが不足する
  • 大気圧タンクから減圧タンクに送る場合は、ポンプが不要になる

という可能性が考えられます。

条件的にややこしく危ない方向になるので、バッチ運転の場合はこういうケースは基本的にはありません。

伝熱

伝熱では蒸留と同じ考えで凝縮温度に影響が出てきます。

伝熱性そのものについては、例えば密度や粘度というパラメータに依存する部分はありますが、あまり意識しないレベルの場合が多いです。

本当に必要になる場合は、専任の部門が検討をすることになるので、機電系エンジニアレベルでの仕事とはならないでしょう。

ガス吸収

ガス吸収は大気圧系に比べて真空系は悪化します。

体積膨張するから同じ体積を吸収させるための液が多くなり吸収効率が悪くなりそう、と考えても良いと思います。

蒸留

蒸留は真空系と直結した話です。

もともと蒸留は沸点の違いを利用して液を分離する方法ですが、大気圧下での沸点と減圧下での沸点が違うために、減圧蒸留という方法があるくらいです。

大気圧下で蒸発させるには沸点が高すぎて危険

こういう例は化学工場では多いです。

新たなプロセス開発をしていくほど、厳しい条件での運転が要求させるため、減圧蒸留のニーズは高まるばかりです。

  • 沸点が下がる
  • 製品の劣化を防ぐ
  • 発生ガスの体積が増えるので、ガスラインの口径は大きくする
  • 比揮発度が上がる
  • 共沸組成が変わる

減圧度の変更による影響はとても多いので、機電系エンジニアはともかく製造管理者でもなかなか変更することはできないでしょう。

プロセスエンジニアなど専任の部門の出番です。

晶析

真空による溶解度の影響はあまりありません。

真空下で晶析する蒸発晶析という方法がありますが、私はあまり経験したことがありません。

濾過

濾過圧としての差圧に影響が出ます。

加圧濾過など(加圧-大気圧)という差圧で濾過をしようとしているときに、(加圧-減圧)と差圧を上げると濾過の効率は上がりそうです。

その代わり取り扱いが難しくなります。

ちょっとした差圧を求めるくらいなら、遠心分離機などの差圧が大きい機械を使う方が良いかもしれません。

乾燥

乾燥は蒸留と同じく、減圧下での運転がとても多いです。

メインの目的はこれです。

製品の劣化を防ぐ

ガスラインの設計・設備内への空気の混入など、配慮するべきポイントも蒸留と同じです。

参考

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真空ポンプについてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

最後に

化学プラントの運転で真空を行う時に、単位操作でどんな要素が変わるのか整理しました。

大気圧に比べて沸点・凝固点が下がり、体積が増えて、空気が混入するということが設備上の問題になります。

蒸留や乾燥では運転温度を下げるために多用します。

他の単位操作ではあまり変わらない・意識することは無いでしょう。

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