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働き方

工場に深く根付いて取れない考え方

染みつく考え方 働き方
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化学工場に限らず製造業の工場に長くいると、「(工場なら)当たり前」という考え方を身に付けます。それは気が付かないうちに染みついてしまって違和感を覚えなくなるでしょう。

工場内に居たら王道の考え方であり、本社など工場外の人もその考えを理解して議論がされるので、間違ってないと思い込んでしまいます。それが必ずしもそうでもないという話をします。

特に化学プラントの場合は、装置産業で社内でコンペとなる工場もあまりないので、危機感を持っている人の方が少ないという特徴もあります。どこでも工場を作れるわけでも無いですからね・・・。

会社は工場の稼働の最大化を考えるべき

会社は自社工場の稼働を最大化させるように動く。

これが当たり前だと思っていました。一般的には当たり前の話ですよね。ところが、別に自社工場で作る必要は化学工場といえども100%成立するわけではありません。子会社・他社など国内外問わず色々選択肢が出てきます。

既成事実化されて、自社工場の製品がどんどん外部工場に流れていったとしても、イマイチ危機感に掛けます。

会社が工場に生産品目を入れないのが悪い。

言い過ぎかもしれませんがこれくらいの感覚です。工場外から見たら、自社工場と外部工場をコスト面で比較して、外部工場が勝っているという当たり前の事実から目を背けます。気が付いているけど本気で思っていない。そんな感じでしょうか。

少なくとも稼働の最大化を考えるのは工場の役目であって、会社全体の役目ではありません。工場の稼働を開けると作業員が遊んでしまって大問題になる。こういう脅し的な言い方を工場はします。これが実は逆効果だったりします。

工場は会社で最も辛い環境にある

工場は会社の中で最も辛い環境にある。これは工場側からしたらそうでしょう。僻地に居たり、化学薬品に侵されるリスクはあり、土日も呼び出しがあったり、体力勝負のところがあったりと辛いです。

でもだからといって、本社が辛いわけではありません。工場から見えないだけで、数々の辛いことを本社もしています。

  • 急な出張で海外を動き回る
  • 英語で会議がある
  • 満員電車で疲れる
  • 多くの部署と関わり調整しないといけない

工場で文句を言っている人の中には、こういう仕事ができないのに工場が辛いアピールをする人が居ます。

でも、工場で通用して本社に送り込まれた人が、本社で病むなんていう話も聞いたりします。

本社は工場を分かっていない

本社は工場を分かっていない。

工場側からしたら自分たちの辛い事を含めて、卑屈なニュアンスでこの表現を使ったりします。もしくは、「本社でカードキーをピッしつつ、おしゃれな雰囲気で仕事をしながら、僻地の工場のことなど考えようともしない」というニュアンスだったりします。

これはある意味では当たっています。入社してずっと本社に居る事務系がイメージですね。仮に事務系で工場に居ても、事務所にずっといる仕事(人事とか総務)なら、やっぱり同じ見られ方をします。技術系で工場出身者の本社勤務者ならこういうことは言われません。

この構図を考えてみると、本社にずっといる人が工場を知れるはずがないですよね。事務系の人はそれを割り切って工場に居る人が多い気がします。

一方で工場の人が工場を良く知っているか、というとこれも実は怪しいものです。若手なら現場を知れるけど工場全体を見ることはできず、幹部になって工場全体を見るころには若い人と考え方が合わなくなってきます。工場という巨大な物を全部知ろうとすること自体がおかしい、というのが私の考えです。

私は20年以上工場に居て、工場全体を知ったとは今でも思っていません。

工場は最速で物事を進めている

工場は物事を最速で進めている。遅いのは本社。会議だらけで進めていない。

こういう見方をする人は残念ながら居ます。でも、これは勘違い。工場の方がよっぽど判断が遅かったりします。これは役割分担や過去の慣習の問題が強いです。

仕事の仕方は変えることができず、人が少なくなり、工場の規模に対して判断する人数は同じ。これでは毎日のように会議をすることになります。単なる連絡会レベルの物も含めれば、1日に4~5個の会議ということも珍しくないでしょう。

そうしている間に本社は何を考えているかというと、他社のスピード感を考えています。自社で何かを検討しようとして掛ける時間の半分くらいの時間で物事が決まってしまう。これなら自社の各種システムは実は過剰すぎないか、と。

工場の人は逆に、「他社が速度が速いのは、安全を軽視しているから」と考えます。その工場では実は安全に関するトラブルが起きていたとしても、それなら外部はもっと多いはずだと考えます。自分たちのやり方が標準で最も優れている、という考え方です。

参考

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最後に

工場にずっと居たらその工場の考え方に染まってしまいます。他の工場や本社を知ると、考え方は変わってきます。同じ工場に居れば居るほど保守的になり、卑屈にもなってしまうもの。

勤務地が同じというのは少なくとも私にとっては健全ではなかったですね。

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