プロジェクトの現地工事において、全体工程を考えるエンジニアが最初に考えておくことは、ボトルネックの特定と回避でしょう。
良く分からないまま何となく線を引いて、関係部署と調整する。
その結果で工事を進めていき、問題があれば現場で調整。
一度実施した工事の工程を振り返り、次回の工事で問題が起きないように学習する。
こんな感じのPDCAサイクルを回していけたのは、過去の話。
余裕があった時代ならでは。
人も少なくなり工期も伸びていく現在では、工程を設定する最初の段階から大きな問題が起きないように考えないといけません。
工事工程の基本形
工事工程を考えるときに、まずは基本形を知っておく必要があります。
多くの反応器があるバッチプラントで、1つの反応器を交換する例を考えましょう。
設備を更新するためには、以下の5つのプロセスに分けて考えます。
工事工程でキーポイントになるのは、設備本体に関する工事です。
理由は以下の通り。
工事に関する条件がいろいろと制約されています。
設備本体以外の工事では、これらの条件が多少緩和されます。
大型機器の工事重複を回避
1つの設備を更新するという基本形から、複数の設備を更新する例に展開させましょう。
ここで、設備本体に関する工事は、日程をずらさざるを得ません。
制約が厳しいからですね。
場所・空間の問題が解決したとしても、人の問題で日程を考えざるを得ません。
プロジェクトの規模が大きくなると、交換する設備の数が大きくなり、それだけ日数が伸びてしまいます。
工程を考えるときに、設備本体の撤去・据付の部分は最初に抑えるようにしましょう。
規模が大きくなれば、設備本体以外の部分の工事ボリュームも大きくなってきて、マンパワー不足により工程が伸びていきますが、それはまた別の話。
建築の方が遥かに重要
設備本体の撤去・据付の工事が分かりやすい形で重要ですが、実は建築の方が遥かに重要です。
建設プロジェクトなどの本格的な工事なら分かりやすいでしょう。
建築でも、設備本体の撤去・据付と似たような制約条件があります。
設備本体の制約と比較してみましょう。
建築工事はサイズが大きく、日数も長いです。
設備本体工事も同じですが、その工事をしている間に他の業種の工事ができません。
日数が長いがゆえに、工事工程の全体日数を考える上では非常に重要です。
まさにボトルネック。
ちょっとした増改造などランクが相対的に低い工事では、建築関係への視点が急になくなります。
予算設定時に工事日数を適当に見積もっていて、実際には日数が2週間~1カ月レベルで伸びてしまい、生産計画に多大な影響を与えるという悲劇が起こりやすいです。
単純に基礎工事が発生すると工程が伸びていくため、基礎が変わらないような設備更新の方法を考えていきましょう。
周辺プラントの状況もチェック
大型機器の撤去・据付では、周辺プラントのチェックも必要になります。
これは工事のサイズが大きいという部分に関係します。
大型設備や重機を移動させるために道路閉鎖をすることで、周辺プラントの現場作業を邪魔する可能性があります。
例えば、原料の受け取りや廃棄物の払い出しのためのトラックが物理的に通ることができなくなります。
周辺プラントでも同じような大型設備の工事があるかもしれません(こちらは人の問題で、重複しにくいですが)。
工事の日程を抑えるときには、自担当のプラントだけでなく周辺プラントにも目を配りましょう。
参考
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最後に
全体工事工程を考えるときには、大型機器の据付がキーポイントです。
サイズが大きい・時間が短い・人数が少ないという制約が大きいです。
似たような制約にある建築工事も含めて、工程を立案する最初の段階で考えましょう。
そこに合わせるように付帯設備の工程を見ていきます。
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