The Engineering ToolboxのP&ID Templateを書いてみました。
P&IDをどのツールで書くか悩む人も居るでしょう。
CADを使うのが最も確実ですが、そこまでではない場合にはこういうツールが使えます。
いくつか使いにくい部分があるので、略フローとしての扱いの方が良いと思います。
The Engineering ToolboxのP&ID Templateはこちら。
このサイト、遅ればせながら本日知りましたが、相当勉強になります。
P&IDの例
早速ですが、バッチプラントの典型例のP&IDを書いてみました。
それっぽく書けたと思います。
いくつか省略している部分があります。
- ラインスペック
- 自動弁のタグ
- 計装記号の詳細
- 液の送り元・送り先
- 設備スペック
- レデューサなどのフィッティング
- フレキシブルチューブなどの伸縮接手
というのも右下の図枠が大きすぎるので、どうしても描画部分が小さくなってしまいます。
でも、この図枠があるだけで図面っぽく見えてしまうから不思議ですよね。
サイズを小さくするなど多少の工夫代はありますが、面倒なので省略しました。
このレベルだとP&IDというよりは略フローと捉える人も居るでしょう。
反応器が中心
P&IDのかんたんな書き方例です。
まずは大物の装置を真ん中に書きます。
バッチプラントの場合なら反応器が中心になります。
送りポンプが必ずついてくるので、右下に書きましょう。
これは液が左から右に流れるという、目線と同じ向きを意識しています。
ジャケットポンプがある場合が多いので左下に書きましょう。
コンデンサーは右上ですね。
これもガスの流れが左から右になるように意識したもの。
シェルアンドチューブのシンボルを使っても良いのですが、手を抜きました。
モノの流れ
装置を配置したら後は配管です。
これは左から右・上から下の流れが自然でしょう。
原料
原料は左上に書きます。
複数の原料を扱うため、装置を書かない左上がおススメです。
いくつかのパターンで書きました。
- ヘッド送液の流量制御を行う液体
- 流量指示計が付いた液体
- ゴミ取りフィルターが付いた液体
バッチの場合はこれらの配管が非常に多くなるので、左上はとにかく空けておきましょう。
後で困りにくくなります。
ジャケット
ジャケットは冷却水を循環ポンプで循環させる例を書きました。
ここもいくつかのパターンができます。
- ブライン・冷却水・循環水・温水を切り替える
- スチームを使う
スチームを使う例ではありませんが、ジャケット出口にはスチームトラップを書いてみました。(単にテンプレートにあったから・・・)
液送り
液送りはポンプのラインから繋がります。
分液を前提としたフローにしているので、ポンプヘッダーで切り分けができるようにしています。
汎用性を考えて循環ラインも付けています。
バッチプラントの場合は送り先が増えるので、右下も余裕を持たせたいですね。
ポンプが1台でなくて2台あることも多く、右下エリアはとにかく複雑になりがちです。
ガス
ガスのラインは一応蒸留を意識したものです。
コンデンサーでガスを凝縮させて、留出液として排出します。
一部のガスは凝縮しないので、大気に開放させてブロアーで吸引させます。
全還流が掛けれるように、反応器側に戻すラインも付けています。
右上のラインは還流を掛けるかどうかで、設備構成が大きく変わります。
還流が少ないバッチプラントではこのエリアは比較的余裕があります。
だからこそ、左上や右下のラインの一部を右上のエリアを使おうとして、複雑になっていきます。
この辺が書きづらい
The Engineering ToolboxのP&ID Toolboxで書きづらいと感じた部分を紹介します。
- シンボルと重なった配管が拾いにくい(最悪はシンボルを一度ずらす)
- 配管の長さを微妙に変えるのが面倒(自動調整が入る)
- 線種や太さなどは最初に調整しておくべき
- 別ページとやり取りするラインが複数あるときに、末端を揃えるのが面倒
- 拡大縮小が面倒
2D-CADの方が結果的に早い部分が多そうですね。
使えなくはないのですが、CADに慣れていない私としては手書きの方が好みです(笑
無料ですし、このテンプレートを基にカスタマイズしていけば、実用に耐えるかもしれませんね。
参考
関連記事
P&IDについてさらに知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
最後に
The Engineering ToolboxのP&ID Templateを使ってみました。
基本的な要素は揃っていますが、P&IDとして書くには少し物足りません。
略フロー目的で使うのが良いでしょう。
CADの方がきれいに掛けます。
社内ルールがない場合には、こういうものを使うのは1つの手です。
化学プラントの設計・保全・運転などの悩みや疑問・質問などご自由にコメント欄に投稿してください。(コメント欄はこの記事の最下部です。) *いただいたコメント全て拝見し、真剣に回答させていただきます。